第1話「勇者降臨!!(前編)」宇宙忍者バルタン星人登場
ネオアースセンチュリー66年、人類は危機的状況に陥っていた…。
謎の怪奇現象、環境破壊の影響により突然変異した生物達、凶暴な古代生物の復活、地球外生命体の襲撃…。
これらの状況を人々は「アンバランスゾーン現象」と呼んだ…。
人類は、そんな「アンバランスゾーン現象」に対処するため地球防衛軍を設立、世界の平和を守る任についた…。
これは人類の平和を脅かす脅威に立ち向かった勇者達の物語である…。
ここは月にある地球防衛軍月面基地。
この日、月面基地では新たな宇宙ステーション『宇宙ステーション717』の打ち上げに関する記者会見が行われた。
記者会見が終わると、廊下の窓の前で一人の女性が宇宙の景色を眺めていた。
「笠原さん。」後ろから男性が話しかける。
『星川宇宙航空』の若き社長兼パイロットの千葉である。
「ぁら千葉さん…。」「毎度御搭乗ありがとうございます。どうしたんですか?こんなところで?」千葉も一緒に並び外を見る。
「私、宇宙に来たの初めてなんです…。そしたら、地球があんなに綺麗だなんて…。」
と女性は窓の外の地球を見ながら言う。
女性は『円谷新聞社社会部』の記者、笠原優香である。
「僕も子供の頃、初めて父に連れられて宇宙に来たときは驚きましたよ…
この広い宇宙に存在する、小さな星の一つに僕らは住んでいる…感動したなぁ。」
千葉も地球を見ながら、しみじみと言う。
「兄ちゃん!兄ちゃん!」千葉と笠原のところに少年が走って来る。
千葉の弟、翔である。「あら弟くんも来てたんですか?」
「ぇえ、僕は毎日仕事、ウチは父と母を怪獣災害で亡くしていますからね…。弟はいつも家で一人なるんですよ。
だから宇宙に行く今日だけは弟も連休だし特別に乗客の一人として連れてきてあげたんですよ」
千葉の父で『星川宇宙航空』の前社長、政雄は怪獣災害で命を落としのだ。

千葉は亡き父の会社を継ぎ現社長となったのであった。
「そうだったんですか。仕事が忙しくても弟さん思いのお兄さんなんですね…。」と笠原。
走って来た翔は千葉の上着の裾を引っ張り話しかける。
「ねぇねぇ兄ちゃん!!向こうの窓見てよ!地球防衛軍の戦闘機が飛んでるよ!!」
向こうの窓の外、三機の戦闘機が飛んでいる。
『地球防衛軍養成校研修小隊第3班』が実技訓練を行っているのだ。「全機フォーメーションD!!」声の主は先頭を行く小型戦闘機『スターアロー』を操縦する教官兼、隊長の高橋だ。
「了解!!」続くのは中型戦闘機『スタービートル』。
操縦するのは心優しく、普段は冷静な性格で訓練生の中ではリーダー的存在の鈴木である。
最後尾を行く大型戦闘機『スターホーク』は『フォーメーションD』の指示を受け、素早く三機の戦闘機に分離する。
「こちら畠山、α号分離完了。」力自慢で射撃の名手、熱血家の畠山。
「こちら冴島、β号分離完了。」ムードメーカーでメカニック担当の冴島。
「こちら柴崎、γ号分離完了。」紅一点、普段はオペレーターを担当する柴崎。
「よし、続いてフォーメーションQに移る。」「了解。」高橋教官の指示で新たなフォーメーションを展開する。
「畠山、遅いぞ!!実戦では敵は待ってはくれないぞ!!」高橋教官が一喝する。
「すみません。」と畠山。「大丈夫。落ち着け畠山。」と鈴木。
「へへっ、ありがとうよ鈴木。」畠山が礼を言う。「そうそう落ち着けよ。」とあっけらかんと冴島が言う。
「冴島!!お前は前に出過ぎだ!!実戦なら真っ先に敵に撃たれて死ぬぞ!!」と高橋教官。
「ははは…オレ真っ先に死ぬってさ…」冴島が肩を落とす…。柴崎がクスりと笑う。
一方、基地内部の通信室は騒然としていた。「ステーション717、ステーション717、応答せよ…。」

オペレーターが必死でステーション717と連絡を取ろうとする。
そこへ五十嵐長官が入ってくる。
「どうした?」「ステーション717、応答がありません…おそらく…何者かに破壊されたとしか…」
周囲にいた作業員が静まり返る。レーダーを確認していた作業員が口を開く。
「長官、宇宙ステーション717の方角から未確認飛行物体が急接近…今…基地の上空に…」と同時に基地は、爆音と爆風に包まれる。
「なんだっ!?」「未確認飛行物体から攻撃を受けています!!」「第五、第六ブロック損傷!!」慌てる作業員。
「全員落ち着け!基地内部にいる一般市民に避難指示を出せ!!第二ブロックに非常用シャトルが八機ある。
そいつを使えば十分だ!!機動部隊は未確認飛行物体を迎え撃て!
それと外の映像をモニターに映し出せ!!」
五十嵐長官が叫ぶ。指令室のモニターには基地に攻撃を加える飛行物体が映し出される。
「ダメです第四ブロック破壊されました!!出撃可能な戦闘機がありません!!
未確認飛行物体を応戦するのは不可能です!!」報告をするオペレーター。
絶望的状況に、さすがの五十嵐長官も呆然とする。
「いや…まだ三機…分離すれば五機残ってます…」別のオペレーターが口を開く。「本当か!?」と五十嵐長官が顔を向ける。
「今、高橋教官率いる養成校の研修小隊が実技訓練に戦闘機を五機、使用中です。」
「訓練生か…。しかし今はパイロットの交替している時間もない…。その研修小隊に通信を繋げ!!」
月面基地を数キロ離れた地点で第3班は飛行訓練を続けていた。
そこへ基地から緊急の通信が入る。「こちら高橋。」
「長官の五十嵐だ。今、月面基地が未確認飛行物体の襲撃を受けている…至急基地に戻って来てくれ!!」
「なんですって!?」驚く高橋教官。鈴木達四人にも緊張が走る。
五十嵐長官が話を続ける。

「基地内部の戦闘機は全滅した…。パイロットを交替している時間もない…。
君達には未確認飛行物体の撃墜を命ずる。」
「初めての実戦…。」柴崎が呟く。
「ハハハ…。うそだろ…。」冴島が顔がひきつらせながら言う。
「任せろってんだ!」意気込む畠山。「長官、避難の状況は?」いつも通り冷静なのは鈴木
。鈴木の質問に五十嵐長官が答える。「第二ブロックの非常用シャトルで避難の準備を始じめている。」
それを聞き高橋教官が提案をする「長官、非常用シャトルの発進は我々が到着するまで待ってください。
今シャトルを出せば敵に撃ち落とされるだけです。」
「よし、わかった時間はない急いでくれ…。」「了解!!」長官の指示で第3班は月面基地へと向かった。
その頃、第二ブロックは避難する人々で溢れかえっていた。
「負傷者、女性、子供が優先です。みなさん落ち着いてください!!」指示を出す防衛軍の作業員。
「笠原さん、翔を頼みます。」千葉は翔を笠原に預ける。「兄ちゃんも逃げようよ…。」
心配そうな表情で翔が言う。「そうですよ千葉さん。」と笠原。
「いや…。負傷者や女性に子供が優先。当然のことです。僕は後からいきます。さぁ早く…。」
笑顔で答える千葉。「兄ちゃん気をつけてね。」翔が笠原とシャトルに乗り込みながら言う。
「あぁ。また後でな!!」千葉は笑顔で二人を見送った。
基地の外では第3班が到着し、攻撃体制を取り高橋教官が指示を出す。
「全機、フォーメーションBで攻撃をして敵を引きつける…。いいか落ち着いて、いつも通りにやればいい…。」
「了解!!」

「いつも通りにやったら…殉職だなオレ…。」冴島が呟く。
敵は五機を発見すると同時に攻撃を仕掛ける。
五機は素早く回避し、アロー号とビートル号がミサイルを発射する。それに続きα、β、γ号がビーム砲を放つ。
その隙に非常用シャトルが第二ブロックから避難を始める。「ねぇ新聞記者の姉ちゃん…あれ…」
隣り同士に席についた二人は翔が指差す方向を見る。そこには激しい戦闘を行う第3班の姿があった。
敵の攻撃を避けシャトルの方を向くビートル号。コクピットの鈴木とシャトルの中の笠原が一瞬目が合う。
「あっ…。」「どうしたの?」翔が尋ねる。「なんか今、あのパイロットと目が合ったような…。」と笠原。
コクピットの鈴木は「気のせいだよな…。」と呟く。
アロー号はビームバルカンを放ち敵を攻撃、続く四機もビーム砲で攻撃をする。攻撃を正面に未確認飛行物体は炎上し煙を吐きながら墜落、大爆発を起こした。
「よっしゃぁあ!!」畠山はコクピットで思わずガッツポーズをとる。「意外とあっさり倒せたな…。」と冴島。
「あとは安全に、みんなを避難させるだけですね。」と柴崎が胸をなで下ろしながら言う。
「…いや、まだだ…。」鈴木の一言で再び緊張が走る。爆発した飛行物体からは蝉のような顔。
両手に大きな鋏をもつ巨大な宇宙人から現れた。
「地球人ニ継グ。私ハ、バルタン星カラ来タ者ダ。地球ハ宇宙侵略ノ第一段階トシテ占領スル事ニシタ」バルタン星人は「フォフォフォ」と不気味に笑っている。
「全機、フォーメーションCでヤツを撃て!!」
「了解!!」高橋教官の指示で五機の戦闘機はバルタン星人に攻撃をするが星人は瞬間移動で回避をする。
「フォフォフォ…諦メロ、貴様ラノ科学デハ私ニハ勝テナイ。」星人は両手の鋏から笠原達が乗るシャトルに向け光線を放つ。
「危ない!!」すぐに鈴木のビートル号が回り込み盾となる。

「ぅわぁぁあ!!」右翼を損傷し墜落するビートル号。「鈴木!!」高橋教官が叫ぶ…。
「ぅそ…私達をかばって…」笠原は落下するビートル号を見つめる。
「くっ…諦めて…たまるか…。」冷静に体制を立て直そうとする鈴木。
しかし、状況は良くならず地面まであとわずか、地面に叩きつけられ爆発するのを待つだけである。
誰もが諦めかけたその時、上空から赤い発光体が急接近し、ビートル号を包み込む。
「ぅわぁぁあ!!」ビートル号は赤い発光体と共に消滅してしまった。
「鈴木…鈴木!!」叫ぶ高橋教官。畠山達もショックで声も出せずにいた。
「ここは…?」鈴木は光の中をさまよっていた。
「オレは死んだのか?」すると突然眩しい光が集結し鈴木の目の前に銀色の巨人が現れた。
唖然として見上げる鈴木に巨人が話しかける。
「私はM78星雲から来た宇宙警備隊の隊員カイザーだ。」
「宇宙警備隊?」鈴木が聞き返す。
「この太陽系を観測する途中、敵の攻撃から多くの命を守る為に盾となった君を見て、その勇気に共感を覚えた。君に協力したい…。」
「協力…?」すると鈴木の手に短く光彩を放つスティックが現れる。
「これは…?」
「カイザーフラッシャー。それで君は私と一心同体となり戦える…。共に地球を救おう。」鈴木は『カイザーフラッシャー』を握り腕を高くあげた。
すると鈴木は光に包まれM78星雲人カイザーと同化。まばゆい光を放ち月に姿を現しバルタン星人の前に立ちふさがる。
「あれは…。」驚く高橋教官。
「また別の宇宙人か?」額に汗を流しながら見つめる五十嵐長官。
「かっこいい…。」見とれる翔。「貴様…。M78星雲人カ…?」と言いながら構える星人。「デュワッ!!」と言い構えるカイザー。
「ウルトラマン…。」そう呟く笠原。果して、カイザー、鈴木はバルタン星人を倒すことができるのであろうか…。(後編へ続く。)
次回予告
月面で戦うウルトラマンカイザーとバルタン星人。
しかし地球にも迫るバルタン星人の恐怖。無数のバルタン星人が地球防衛軍日本支部を襲撃する。
ウルトラマンカイザーはバルタン星人から地球をすくえるのであろうか?
次回、ウルトラマンカイザー「勇者降臨!!(後編)」
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第二話「勇者降臨!!(後編)」宇宙忍者バルタン星人登場
宇宙侵略を企むバルタン星人は、地球占領を目的とし宇宙ステーション717を破壊。
地球防衛軍の月面基地を襲撃し壊滅状況に追い込んだ。
バルタン星人の攻撃からシャトルを守り絶対絶命の危機に陥った地球防衛軍養成校研修小隊第3班の訓練生、鈴木隼人は
M78星雲の宇宙人、カイザーに救われ一心同体となりバルタン星人の前に立ちふさがるのであった。
「あれは…。」驚く高橋教官。「また別の宇宙人か?」モニターを見ながら五十嵐長官。「かっこいい…。」見とれる翔。
「貴様…。M78星雲人カ…?」と言いながら構えるバルタン星人。「デュワッ!!」と言い構えるカイザー。
「ウルトラマン…。」そう呟く笠原。非常用シャトルが一機、また一機と月を離れて地球に向かう。
カイザーとバルタン星人が互いに向き合い距離を取って構えている。
「フォフォフォフォフォ…。」不気味に笑いながら星人がカイザーに向かい突進をする。
「デュワッ!!」カイザーも星人に突進をし互いに掴み合う。「あの銀色の巨人は何者なんだ?」カイザーと星人の回りを旋回しながら高橋教官が言う。
星人はカイザーを突き飛ばし、両手の鋏から破壊光線を放つ。
カイザーは素早く回避し、エネルギーをリング状にして『カイザースラッシュ』を放ち星人の左腕の鋏を破壊。星人は一瞬怯むが、残された右腕の鋏から光線を放ちカイザーに命中させる。
「フォフォフォ…。」体勢を崩したカイザーに再び光線を発射しようと構える星人。
カイザーは腕を十字に組み、星人に向かい光線を放つ。
光線が直撃したバルタン星人は大爆発を起こし月に散った。「何て威力だ…。」五十嵐長官が呟く。
「ターゲット消滅を確認。」と柴崎が報告をする。
カイザーは両手を広げ宙に飛び去って行く。
星人は倒された。しかし鈴木の安否が確認できず動揺する第3班。

すると基地とアロー号、ホーク号各機に通信が入る。
「…こちら高橋。」「教官!僕です!鈴木です!!」「鈴木っ!?鈴木なのか!?無事だったのか?」驚く高橋教官。
喜ぶ畠山達。それは赤い発光体と消滅したと思われていた鈴木からの通信だった。
「鈴木、今どこにいる?」高橋教官が尋ねると鈴木が答える。
「基地の第1ブロックです。あの銀色の巨人に救われました。彼は我々の味方です。」
鈴木の報告を聞き高橋教官が呟く。「味方…あの巨人が…。」
「鈴木訓練生。この基地は数時間後には全機能が停止する。
すぐ隣りの第二ブロックに非常用シャトルが二機待機している。
それに乗り先に地球へ向え。高橋教官及び、ホーク号の訓練生は悪いが、そのまま日本支部に向ってくれ。」
と五十嵐長官が指示を出す。
「了解!」怪我を負っている鈴木は、よろめきながら第二ブロックへ歩く。
「教官。さっさと帰って、たっぷり地球の空気を吸いたいですね。」と冴島。
「おいホーク号は早く合体しろ。分離したままだと大気圏で消滅するぞ。なぁ冴島!」と高橋教官。
「ハハハ。教官…悪い冗談好きですね…。」と冴島。
一方、鈴木は第二ブロックに到着。係員に誘導されシャトルに乗り込み席に着こうとする。
「隼人?…隼人じゃないか!!」鈴木に声をかける男。千葉だ。「千葉さん!!」驚く鈴木。
「お久し振りです!」「ほんと久しぶりだな…そうか地球防衛軍に志願したんだっけか…。」
と千葉が鈴木の制服を見ながら言う。「はい。まだまだ訓練生ですけどね…あの千葉さんは、どうしてこちらに?」
と鈴木。「今日は記者会見があっただろ。うちの会社のシャトルが使われたのはいいが、さっきの騒ぎでお釈迦だよ…。」
と肩を落とす千葉。「命だけでも助かったことをよろこびましょう。」と笑顔で鈴木。
「そりゃそうだな。」千葉が笑いながら言う。

数時間後、月面基地の機能は全て停止し全てのシャトルが地球防衛軍日本支部に到着。
アロー号とホーク号も無事に到着した。「鈴木!!」シャトルから降りて来た鈴木を高橋教官と第3班のメンバーが迎える。
「兄ちゃん!!」千葉を迎えるのは翔と笠原だ。「翔!!」千葉が翔を抱き上げる。
「えっ!?翔くん?大きくなったなぁ!!」鈴木が驚きながら翔を見る。
「彼は?」と高橋教官。「星川宇宙航空社長の千葉さんです。僕の中学時代の先輩なんです。」
と鈴木が紹介する。「あぁ、あの宇宙航空会社の…。」と畠山。
「非難用のジェット、怪獣災害発生時にはいつもお世話になってますもんね。」と柴崎。
「笠原さん、翔を見て頂いて、ありがとうございました!」と千葉。
「あっ…。」と鈴木。「どうした鈴木?」と冴島。「あぁ!!あなた、あの時の…!」と笠原。
「なんだ知り合いなのか?」と千葉。「いや、ちょっとだけですけど…。」と千葉に言い、鈴木は笠原を見る。
「地球防衛軍養成校の鈴木隼人です。」「円谷新聞社社会部の笠原優香です…。あの…あなた、赤い光に…。」
と不思議そうな表情で笠原が尋ねる。「あぁ、助けられたんですよ。銀色の巨人に。」
と鈴木「ウルトラマンに?」と笠原。「ウルトラマン…?」と鈴木が聞き返す。
その時、空から基地全体が攻撃される。「なんだ!?」構える鈴木。「あそこだ!」と千葉が指差す。
その方向にはスマートなボディではあるが、バルタン星人が宙に浮き、鋏を広げ気味悪く笑っている。
「バルタン星人!!」と高橋教官も構える。「月面基地を襲撃したバルタン星人とは別固体のようですね…。」と柴崎。
すぐに基地から出撃した地球防衛軍本隊の戦闘機が攻撃をする。
しかしバルタン星人は次々と現れ、基地の滑走路に降り立ち攻撃を開始する。
「なんて数だ…。」唖然とする畠山。すると第3班に通信が入る。
「五十嵐だ。第3班に継ぐ、高橋教官はアロー号、畠山、冴島、柴崎訓練生はホーク号で本隊の支援に向ってくれ。
私もスターファルコンで出撃する。」「長官!僕は…。」と鈴木。
「鈴木訓練生、君は月面基地でのことがある。その体では無理だ。」と五十嵐長官。
「しかし…!」鈴木が言いかけるが、
「長官の言う通りだ。鈴木は三人を安全な場所に連れてってやるんだ。」
と高橋教官が千葉達を見ながら言う。「了解…。千葉さん、こっちです。」
鈴木は千葉達を連れ避難を始め、高橋教官ら四人はアロー号、ホーク号に向った。
「あいつら、こんなに数が多いなんて…。」と笠原。
「宇宙侵略を目的としているなら当然の数だよ。」と翔。「でも、なんで月面基地の時は大群で攻めてこなかったんだ?」と千葉。
「知らないよ、そんなの!」と翔。その時、鈴木がはっとする。
「月面基地では単独で攻めて来た…もしかして…。」鈴木は通信を地球防衛軍総合科学センターに繋ぐ。
「こちら養成校研修小隊第3班の鈴木です。江口博士はいらっしゃいますか?」「私だよ。鈴木くん!久しぶりだな。」と江口博士。
「博士、すぐに調べてもらいたいことがあるんですが…。」と鈴木。

一方、星人の数に苦戦する本隊と高橋教官率いる第3班。
「くそ。数が多過ぎる…。」と畠山。「撃っても撃ってもきりがない…。」と冴島。
その時、鈴木から通信が入る。「どうした?」と高橋教官。
「教官!江口博士に分析してもらった結果、上空から、もの凄いエネルギー反応が…星人はそこにいます!」
「何ぃ?」驚く高橋教官。「それって…ここにいるのは?」と聞き返す柴崎。
「みんな、星人の分身なんだ!!」と鈴木が強い口調で言う。
「ハメやがって…。」と薄ら笑いを浮かべ冴島。
「冴島!柴崎!合体だ!!」と畠山。「任せろ!!」と冴島。
「了解!!」と柴崎。α号、β号、γ号は合体し上空へ向う。
すると月面基地を襲撃した飛行物体と同型の円盤が浮いている。
「マグナムレイカー砲スタンバイ!!」と冴島。
「エネルギーチャージ…完了!!」と柴崎。「喰らえ!!マグナムレイカー砲…ファイヤー!!」と畠山が叫ぶ。
スターホークの最大の武器、『マグナムレイカー砲』が発射され、光線は星人の円盤を破壊し、地上で暴れていた星人達は姿を消した。
爆発を起こした円盤から星人が現れ、滑走路に飛び降りる。「フォフォフォ…。私ノ居場所ヲ見破ルトハナ…。」
と笑うバルタン星人。「ここで待機してて下さい。すぐに戻ります。」
鈴木は千葉達を待機させ来た道を戻ろうとする。「どこ行くの?」と笠原。
「僕も、みんなを援護して、星人と戦います。」と鈴木。「その体じゃ無理よ!!」笠原が叫ぶ。
「大丈夫ですよ…。僕は勇者なんですから…。」と言い鈴木は走り出す。
鈴木は人目のつかない場所で『カイザーフラッシャー』を取り出し見つめる。
「ウルトラマンカイザー…力を貸してくれ…。」鈴木は『カイザーフラッシャー』を片手に腕を掲げる。
光を放ちながらウルトラマンカイザーがバルタン星人の前に現れた。
「あっ!!ウルトラマン!!」と翔。

「地球にも現れるなんて…。」と笠原。
「巨人…ウルトラマン…。」高橋教官が呟く。
カイザーは向ってきた星人にカウンターキックを喰らわせ続けてウルトラチョップで攻撃をする。
両腕をあげ、攻撃をしようとするバルタン星人を掴み、その場に投げつける。
カイザーは腕を十字に組み、必殺技の『メテオスペシウム』を放つ。
しかし、星人の胸が突然両側に開き、現れた反射板が光線を弾き返しカイザーに直撃する。「デュワッ…!!」
崩れるカイザーを星人は蹴りあげ、踏みつける。「ウルトラマン…!」翔が叫ぶ。
カイザーは星人の攻撃を避け立ち上がるものも、星人が鋏から放った光線を浴び。再度体勢を崩す。
エネルギーの残量を知らせるカラータイマーが青から赤に変わり点滅を始める。「どうしたんだ…ウルトラマン!?」と冴島。
「ウルトラマンのエネルギーが切れてきたんだわ…。」と笠原が言う。
「そんな…。」心配そうな表情の翔。「冴島!柴崎!ウルトラマンを援護するぞ!!」と畠山が叫ぶ。
「さっきマグナムレイカー砲発射したばかりだから無理ですよ…!」と柴崎。
トドメを刺そうと俯せで倒れているカイザーに星人がゆっくりと忍び寄る。
すると星人目掛けミサイルが次々と発射される。アロー号の高橋教官とファルコン号の五十嵐長官だ。
「地球は我々の星だ…。」と高橋教官。「私だって、まだまだ現役なんだよ…。」と五十嵐長官。
「高橋教官、フォーメーションUで行くぞ!」「了解!!」高橋教官のアロー号がビームを放つがバルタン星人は胸を開きビームを反射させる。
「掛かったな!!」五十嵐長官のファルコン号はミサイルを星人の胸に発射し、見事、反射板を破壊する。
「今だ!!ウルトラマン!!」高橋教官が叫ぶ。カイザーは頷き立ち上がる。

腕をL字に組み、『サンシャインショット』を放ち、反射板を失ったバルタン星人は大爆発を起こし消滅した。
「やった…勝った!!ウルトラマンと地球防衛軍が勝った!!」と翔が言う。喜ぶ第3班のメンバー。
「歳だな…もう疲れた…。」と五十嵐長官。「さっきは、まだまだ現役だって言ってたじゃありませんか…。」と高橋教官。
「忘れたわ…そんなこと…。」と笑いながら五十嵐長官が呟く。カイザーは両手を広げ空に飛び去って行く。
「ところで彼の名前は…?」と五十嵐長官。「若い連中が言ってましたよ…。彼の名はウルトラマンってね。」と高橋教官。
「ウルトラマンか…。」五十嵐長官が呟く。「おーい!!」鈴木は千葉達のもとに走る。
「あっ!!隼人兄ちゃんだ!!」翔が気が付き駆け寄る。「勇者の出る幕じゃなかったな」と千葉が笑う。
「あはは…。本当ですね。」鈴木が笑う。鈴木達を置いて笠原が歩き出す。
「どこ行くんです?」と鈴木。
「仕事よ。今から会社戻って今日の出来事記事にするの…。この目で見た勇者達の記事。
朝刊の一面にでっかく載せるんだから!!」と軽く微笑み笠原は去って行く。
「明日の朝…。楽しみに新聞待ってます。」と鈴木は一言、彼女の背中にかけて見送った。
「ありがとうウルトラマンカイザー。」鈴木はそう心の中で呟き空を見上げた。
次回予告
ごく普通の小さな島に怪獣達が出現。
救助にあたっていた鈴木と畠山は、笠原と島の住民と共に遭難してしまう。
鈴木達は無事に怪獣島から生還することが出来るのであろうか?
次回、ウルトラマンカイザー「脱出!!怪獣島!!」
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第三話「脱出!!怪獣島!!」
どくろ怪獣レッドキング、始祖怪鳥テロチルス、
大蛙怪獣トンダイル、怪奇植物スフラン、友好珍獣ピグモン登場。
人口約150人が住むポイントU―08の小さな島。しかし、島は昨日までの島ではない。
今は破壊と捕食の為に人々を襲い、怪獣同士が縄張り争いを繰り返す怪獣達の島へと変貌を遂げていたのである。
島の住民の救助を行う地球防衛軍日本支部では対策本部を設置し、万全の体勢に備えていた。
「長官、行方不明者の名前がわかりました。」と隊員の一人が五十嵐長官に報告をする。
「誰かホワイトボードに書き込んでおけ。」と五十嵐長官。
「行方不明になっているのは、島の漁師、菊地大輔さん二十八歳。現地を取材していた円谷新聞社記者、笠原優香さん二十四歳。
そして救助にあたっていた、地球防衛軍養成校研修小隊第3班の鈴木隼人訓練生二十二歳、
畠山雄太郎訓練生二十二歳の以上四名です。」と報告が終わる。「あの島の状況では四人の生存率は絶望的だな…。」
ホワイトボードを厳しい目で見つめ、五十嵐長官が呟く。
「一人にさせてくれ!俺はこの島から出る気はねぇんだよ!!」声を荒げているのは島の住民、菊地だ。
「何言ってんのよ!あなた死んじゃうわよ!?」と怒りながら笠原が言う。
「うるせんだよガキが!!」と菊地。「ガキですって…隼人くん、雄太郎くん、こんな腐れ男置いて早く行きましょう。」と笠原。
「落ち着いて下さい。菊地さんも、優香さんも…。」鈴木がなだめる。
「防衛軍の仮免野郎が俺に指図するんじゃねぇよ!」と叫ぶ菊地。「何だと!?」聞き捨てならんと畠山。
「やめろ畠山。」鈴木が止める。
「菊地さん、こんな形で故郷を去りたくない気持ちはわかります。でも、今は状況が違うんです。
島に残る事は死ぬのと同じ事なんです!」と説得する鈴木。
「…なら、尚更島からは出る訳には行かねーよ。」と菊地は鈴木を睨み島の奥に進む。
「菊地さん…。」追う鈴木。畠山と笠原も、うんざりとした表情でついて行く。

島では全ての通信手段がダウンし、携帯電話はもちろん、防衛軍の通信機さえ使えない状況であった。
「うゎぁぁ!助けてくれぇ!」菊地に巨大な蔦が絡み付く。
「菊地さん!!」鈴木が腰からレーザーガンを取り出し構える。
「鈴木、オレに任せろ!」と畠山が大型万能銃『スパイダーEX』を構え、火炎放射で蔦を焼き切る。
「よっしゃあ!!」と畠山。「はぁ…はぁ…助かった…。」と菊地。
「本で見た事あるわ。古代吸血植物スフラン…あなた雄太郎くん達がいなかったらミイラになってたわよ?」と笠原。
「ほっ…ほっといてくれ!!」と菊地が言う。すると突然、辺りに激震が走る。「何だ!?」
と言う鈴木達の目の前には二匹の怪獣が暴れている。始祖怪鳥テロチルスと、どくろ怪獣レッドキングが縄張り争いを行っているのだ。
テロチルスは口から糸を吐きレッドキングをがんじがらめにしようとするが、
レッドキングは力ずくで糸を破りテロチルスに頭突きを喰らわす。
吹っ飛ばされ倒れるテロチルスにレッドキングは容赦無く踏み付け強引にテロチルスの翼を引き裂いていく。
「ひどい…。」と笠原。笠原と菊地は震えながら戦いを見ていた。「…行きましょう。奴は次に僕らを襲うかも知れません。」
と鈴木。しかし、菊地は必死な表情でさらに奥に走り出す。「あのわからず屋!!」と畠山が後を追う。
「ちょっと…置いてかないで…。」恐怖で動けず座り込む笠原。
「優香さん!!」鈴木は笠原に手を伸ばす。「大丈夫です…僕がついてます。」と微笑む鈴木。
笠原は鈴木の目を見つめ、何も言わずにゆっくりと手を取り立ち上がる。「さぁ、行きましょう!」と鈴木。
「うん!」と笠原が頷き、二人は菊地と畠山の後を追う。
島の奥へと進むと怪獣達によって、荒れ果てた村につく。
菊地は一生懸命に倒壊した家を一軒、一軒調べて何かを探していた。

「菊地さん、戻りましょう。海岸に星川宇宙航空の非常用ジェットが待機しています。」と畠山。
しかし、菊地は聞く耳を持とうとしない。溜め息をつく畠山。そこに鈴木達が追いつく。
「菊地さんは何を探しているんだ?」と鈴木が畠山に尋ねる。畠山は両手をあげ首を傾げる。
すると菊地の動きが止め何か…いや、誰かを抱える。「菊地さん…?」鈴木達が菊地に駆け寄る。
菊地は怪我を負った等身大サイズの怪獣を抱き上げていた。「怪獣!?」驚く畠山。
「コイツはピグモンって言ってな…オレの弟の命の恩人なんだ…。
突然、島に現れた馬鹿デカい怪獣から、コイツ、小さな体を張って弟を守ってくれたんだ…。」
と涙を浮かべながら菊地が言う。「この怪獣が…。」と笠原。
「弟の命の恩人、こんな島に置いて行けるかよ?さっき、お前言ったよな?島に残れば死ぬのと一緒だって…。
オレはピグモンと一緒にウチの船で脱出するつもりだったんだ…。」と菊地。
「菊地さん…どうして最初から言ってくれなかったんですか…?」と鈴木が尋ねる。
「半人前とは言え、お前ら防衛軍が一緒だからだよ。
お前らは怪獣退治の専門家。ピグモン見たら射殺するに決まってる…」
と鈴木と畠山を睨む菊地。「菊地さん…それは違います…。」鈴木が口を開く。
「僕らは一人でも多くの命を救う為、守る為に戦っているんです。分かってもらえませんか?」と鈴木。
下を向く菊地。「それと、確かに僕らは怪獣退治の専門家です。
でも、怪獣退治の専門家が怪獣を必ず殺さなきゃいけないなんて誰が決めたんですか?」
と鈴木が菊地の目を見て言う。「一緒に島を出ましょう…五人で!!」と意気込む鈴木。頷く畠山。
「お前ら…。」と菊地が三人を見る。
「あなた、いいとこあるのね。ちょっと見直しちゃった。」と笠原が微笑みながら菊地を見る。

鈴木達を和やかな雰囲気が包む。しかし、それは一瞬の事であった。「ビキ〜!!」ピグモンが叫ぶ。
「どうしたんだピグモン!?」と菊地。「…!?後ろだ!!構えろ畠山!!」気配を感じ取り、叫びながらビームガンを構える鈴木。
慌ててスパイダーEXを構える畠山。木々をなぎ倒し姿を現したのは大蛙怪獣トンダイルである。
「こ…コイツ…昨日、弟を襲った奴じゃねぇか…。」と顔を引きつらせる菊地。トンダイルは捕食のため舌舐めずりをしながら鈴木達を見下ろす。
「気をつけろ…コイツの舌は伸びるんだ!!」と菊地。しかし、トンダイルの舌は既に鈴木達に迫る。
「うぉぉおお!!」畠山がスパイダーEXをビームガトリングモードにセットし、連射をする。
トンダイルは慌てて舌を引き戻し構える。鈴木はすかさずビームガンでトンダイルを撃つ。トンダイルは両手をあげ鈴木と畠山を叩き潰そうとする。
鈴木と畠山は回避し、同時に敵を撃つ。トンダイルは口を開き火炎放射で応戦する。「何!?」回避する鈴木。「くそっ…火まで吐くのかよ!?」と畠山も回避する。
トンダイルは次は外さぬように二人に狙いを定める。
「これまでか…。」畠山が諦めかけたその時、上空からトンダイル目掛けミサイルが放たれる。
連絡が取れなくなっていた高橋教官のアロー号、そしてホーク号β機の冴島、γ号の柴崎が駆け付ける。
「行方不明者四名を確認!」と柴崎。「怪獣野郎!この冴島様が相手だ!!」
「冴島、怪獣の殲滅より人命救助が優先だ。」と高橋教官。トンダイルは狙いを高橋教官達に変更し火炎を吐きながら暴れ狂う。
「…よし。教官達が怪獣を引きつけている間に海岸に出ましょう!」と鈴木。
笠原も菊地も頷き、海岸へ向かおうとする…しかし、状況は最悪の事態に向かってしまう。「教官!怪獣がもう一体接近中です!」と柴崎。
「何だと!?」高橋教官が西の方角を見る。

テロチルスに圧勝した、この島の王者、レッドキングが迫る。「さっきの怪獣…。」怯える笠原。
「いざとなったらオレはいいからピグモンだけでも連れてってくれよ…。」と菊地。「何縁起でもないこと言ってるんですか!」
と畠山。「僕が囮になる!畠山、後は頼む!!」と鈴木はレッドキング目掛け走り出す。
「隼人くん!」叫ぶ笠原。「頼んだぞ鈴木。」畠山は菊地達を連れ海岸に向かう方へ走る。「冴島!危ない!」と高橋教官。
しかし時既に遅い。「うゎぁぁ!!」上空ではトンダイルの舌に冴島のβ号が捕らえられ、身動きが取れないでいる。
鈴木は陰に入りカイザーフラッシャーを取り出し、上空に掲げる。光と共に鈴木はウルトラマンカイザーに変身する。
カイザーはハンドショットをトンダイルの舌に命中させる。舌は緩るまり、β号は脱出に成功する。
「助かった〜!」と体勢を立て直す冴島。カイザーは冴島の無事を確認するとトンダイルを蹴り飛ばしし
向かってきたレッドキングと組み合う。しかしレッドキングの腕力はカイザーを上回り、カイザーはその場にねじ伏せられ、
起き上がったトンダイルも加戦し二大怪獣の容赦無い猛攻撃を喰らう。「ウルトラマンを援護しろ!!」と高橋教官。
三機の戦闘機は二大怪獣に向け攻撃を開始。怪獣達が怯んだすきにカイザーは脱出し構える。
トンダイルはカイザー目掛け火炎を発射。カイザーはウルトラバリヤーを張り火炎を防御。驚くトンダイル。
レッドキングは再びカイザー目掛け突進する。
カイザーはレッドキングを頭から受け止め力を振絞り投げ飛ばす。立ち上がるレッドキング。
トンダイルはカイザー目掛け舌を伸ばし、締め付けようとするが、カイザーは舌を掴み
、トンダイルを振り回しレッドキング目掛け投げ捨てる。
レッドキングはトンダイルの下敷きになり身動きが取れない二大怪獣。
カラータイマーが赤に変わり、カイザーは腕を十字に組みメテオスペシウムを放つ。

二大怪獣は光を放ちながら大爆発を起こし消滅した。怪獣の最期を確認しカイザーは空へ飛び去って行く。
夕日が沈む怪獣島の海岸、星川宇宙航空の非常用ジェットが待機している。
海岸まで無事に辿り着いた笠原、畠山、菊地、そしてピグモン。「無事でしたか!」と千葉が迎える。
「私達はね…でも、まだ隼人くん達が…。」と心配そうな笠原。「大丈夫ですよ…。」と畠山。「おーい!!」と鈴木の声。
「ほらね!」と畠山。鈴木が高橋教官達と共に海岸に来る。「隼人くん…。」安心して笑顔を見せる笠原。
菊地が鈴木に駆け寄る。「ありがとよ、お前のおかげでオレもピグモンも助かった…。」と菊地。
「僕も菊地さんにお礼を言わなければなりません。菊地さんには大切なものを守る勇気を学ばせて頂きました。
…少し無茶しすぎですけど。」と鈴木。「へへっ…お前こそ無茶し過ぎだろ!」と菊地。二人は笑い合う。
その後ろで高橋教官がピグモンを鋭い目で見ている。慌てて菊地は高橋教官とピグモンに駆け寄る。
「お願いだ!ピグモンには手を出さないでくれ!」と菊地は高橋教官に頼む。
「ピグモンと言うのか…。ピグモンの事は五十嵐長官からもう指示が出ている。」と高橋教官。
「教官!?」鈴木と畠山が息を飲む。「そんな…。」と菊地。呆然とする笠原。
「先に救助された島の住人の証言によると、この怪獣は命をかけ巨大怪獣から数々の人々を守ってくれたそうだ。
その事は上層部で高く評価され。地球防衛軍特別隊員に大抜擢されることになった。」と高橋教官。
「それって…?」と言いかける鈴木。高橋教官が続ける。
「そこでまずピグモンは養成校に特別編入される事となり配備先は…我が第3班だそうだ。」驚く四人。
「ピグモンがオレ達の新しい仲間?」キョトンとしながら畠山。
「良かった…おめでとうピグモン!!」ピグモンを抱き締める菊地。
「よろしく。ピグモン!」敬礼をする鈴木。「ビキィ!!」ピグモンも真似をして敬礼を送る。
「ハハハ…頼もしい奴だな。」と千葉。「勇者がまた一人増えたのね…。」と笠原が呟いた…。
次回予告
街に現れた宇宙怪獣エレキングを見て愕然とする高橋教官
。復讐の為、エレキングに戦いを挑む本隊の女性隊員藤原。
二人の過去に一体何があったのか?次回、ウルトラマンカイザー「ダイヤのエース」
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第4話「ダイヤのエース」宇宙怪獣エレキング登場
夜、ポイントS―03の市街地全体の電気が次々と消える。それと同時に姿を現したのは宇宙怪獣エレキングである。
「やっぱり最近の停電騒ぎは怪獣が絡んでたのね…。」と以前から異変を調べていた笠原が遠くからカメラを回す。その上を高橋教官の同期、
三浦隊長率いる地球防衛軍第6小隊の立花、吉川の三機の戦闘機『スターハイヤー』が飛んで行く。その後を養成校第3班が行く。「うれしいよなぁ。
今回は本隊の援護なんて!」と畠山。「月面基地といい、怪獣島といい、僕ら最近前線で働き過ぎですもんね〜。」と冴島。
「バカ!そんなつもりで言ってんじゃねぇよ!オレは実戦で本隊の先輩達の腕を見れるチャンスが嬉しくてだなぁ…。」と畠山が言いかけるが
「でも訓練ならいいんですけど、本隊の先輩の実戦が見れるのって良くない事なんじゃないですか?怪獣暴れてますし…。」と柴崎がツッコむ。
「柴崎の言うとおり。不謹慎だよ畠山。」と鈴木。同乗していたピグモンも頷く。目の前には街を破壊するエレキング。「ターゲット確認。」
と柴崎。「教官指示を。」と鈴木。しかし高橋教官から指示は無い、魂が抜けたように怪獣を見ている。「教官?」
鈴木が高橋教官を呼び掛ける。その時、エレキングが第3班目掛け、口からV字形の電撃弾を放つ。「回避!!」鈴木が叫ぶ
。緊急回避する畠山達。高橋教官も我に返り回避する。「高橋!何しているんだ!?」と三浦が叫ぶ。「すまない。」と高橋教官。「エレキングか…。」
眉間にしわを寄せ三浦が言う。そこに新たにハイヤー号が一機飛んで来る。「おい、ありゃ誰だ?誰か連絡受けているやついるか?」
と三浦が誰にとも無く尋ねる。「さぁ?わかりません。」と吉川。「こちら第6小隊三浦。前方のハイヤー号応答せよ。」「こちら第7小隊藤原。」
パイロットは第7小隊の女性隊員藤原恵美である。「藤原…。」驚く高橋教官。「藤原、どういうつもりだ、第7小隊は出動要請は出て無いはずだぞ?」
と三浦。「私の判断で来ました。あの怪獣は私が倒します。」と藤原は言いエレキングに向かいビーム弾で攻撃を開始する。
「藤原よせ!奴はオレ達に任せろ!」と叫ぶ三浦。

「ダイヤのエース…。」と立花。「ダイヤのエース?あの人が?」と畠山。エレキングは口から電撃弾を放つが藤原は回避しミサイルを撃つ。
ミサイルが命中し、再びエレキングは攻撃を仕掛けるが、藤原はまたも回避し、ビーム弾を発射。
攻撃を喰らったエレキングは不気味に吠えすぅーっと姿を消した。「やったのか?」と冴島。「いや、まだだ…各機着陸して地上を調査しろ。」と三浦。
第6小隊と第3班は市街地に降り調査の準備にかかる。上空を藤原が飛んで行く。「ダイヤのエース…。」鈴木が呟く。「何?ダイヤのエースって?」
と後ろから笠原が出て来る。「優香さん!?」驚く第3班のメンバー。「こんばんわ!」と笠原はピースをする。「何してんですか?
このエリアは非難指示が出されてるんですよ?」と鈴木。「だから来てるんじゃない。非難指示が出てるから他の新聞社はいない、
私だけのスクープが撮れるってわけ!」とあっけらかんと笠原。「何言ってるんですか!危険ですよ!」と言う鈴木に笠原は「危なくなったら、
またウルトラマンが助けに来てくれるもん。」と言い鈴木の写真を撮る。「そんな甘い考えはやめてください。」と言いながら鈴木は笠原からカメラを
取り上げる。「はぃはぃ…それで、何なのダイヤのエースって?」と、ふてくされカメラを取り返しながら笠原が聞く。「本隊の先輩のニックネーム
ですよ。」と鈴木。「なんかカッコいいニックネームね…。ニックネームの由来はトランプか何か?」と笠原。「何があっても表情が変わらないから
固いダイヤモンドに例えられてるんですよ。そして地球防衛軍のエースパイロット、だからダイヤのエース。」と説明する鈴木。「昔は笑顔が素敵な
明るいやつだったんだぞ…。」と後ろから高橋教官が来る。「教官…。」第3班のメンバーと笠原が振り向く。「さっきは、すまなかった…。
危うくみんなを死なせるところだった…。昔の部下、永井のようにな…。」と高橋教官。「永井?誰です?」と冴島。「永井はな…。」
と高橋教官が口を開く。「よせ、高橋。」と止める三浦。「いや…永井智也の事を話しとかなければならんよ…。」と高橋教官。三浦は下を向く。
第3班と第6小隊、そして笠原は高橋教官に耳を傾ける。「あれは二年前、まだ私が本隊にいた頃の話だ…。」高橋教官が過去を振り返る。

二年前のある夜、どしゃぶりの街に三人の人の影。地球防衛軍第7小隊、高橋隊長、藤原隊員、そして永井隊員である。
街では死傷者が数人出ている。負傷者の中には当時も第6小隊の隊長を務めていた三浦もいる。「三浦!しっかりしろ!」大けがを負った三浦に駆け寄る
高橋隊長。「高橋気をつけろ…。第1小隊は全滅した…。奴だ…先月の殲滅作戦で一掃したはずのエレキングだ…。」と三浦。「エレキングだと?
何故まだ奴がいるんだ?」と高橋隊長。「近くのホームレスが食料にしようとエレキングの卵を持っていたそうだ…それが孵化して急成長してたん
だよ…。」と三浦。その背後に潜んでいたエレキングが迫る。「隊長!」永井がビームガンを発砲する。奇妙な呻き声をあげエレキングが倒れる。
「ナイス智也!」と藤原。しかし、エレキングは再び起き上がる。「永井、藤原!構えろ!」と高橋隊長が指示し、第7小隊はビームガンを構える。
しかし、エレキングは向きを変え一般市民に襲いかかる。「しまった…。」高橋隊長はビームガンを発砲する。振り返るエレキング。しかし今度は別
の一般市民に向け電撃弾を放つ。「危ない…!」永井が市民を庇い、電撃弾を直撃で喰らう。永井は倒れ、動かない。「智也ぁ!!」藤原が叫びながら
永井に向かう。エレキングは再び攻撃体勢を取る。「藤原!構えろ!」高橋隊長が叫ぶ。「でも、智也が…。」涙目の藤原。「藤原ぁ!構えろぉ!」
高橋隊長の声はさっきよりも強い口調になる。泣きながら構える藤原。「撃てぇぇぇ!!」高橋隊長と藤原は怪獣に発砲する。怪獣は攻撃を受け大爆発
を起こし絶命する。「智也…。」藤原が永井を抱き締める。しかし、もう永井の息は無い。雨は一段と強くなり、高橋隊長達を打ち付ける。まるで
悲しみを煽る様に。高橋教官の話を聞いた鈴木達はただ黙っている。「殉職した永井は藤原の婚約者だった…。永井の死が、彼女を無表情に
変えた…。」と高橋教官。「そんな事があったんだ…。」と笠原。その時、緊急通信が入る。「こちら三浦。」「五十嵐だ。ポイントMー02に
エレキングが出現した。至急向かってくれ。」「了解!敵はすぐ近くだ行くぞ!」「了解!!」三浦の指示に従い、全員戦闘機に戻る。
「あっ…もしもし、千葉さん?急いでヘリ出して!」と笠原が携帯電話で千葉を呼ぶ。

一方、発電所があるポイントMー02ではエレキングがエネルギーを補給している。そこへ藤原のハイヤー号が駆け付け攻撃を開始する。
しかし、エレキングはビクともしない。「そんな…。」驚く藤原のハイヤー号にエレキングは尻尾を巻き付け高圧電流を流す。苦しむ藤原。
そこへ駆け付けた第3班と第6小隊が一斉に怪獣に攻撃を仕掛ける。エレキングは尻尾を緩め、その隙に藤原機は逃れる。「大丈夫か藤原?」
と高橋教官。「高橋隊長?」息を切らしながら藤原。「高橋はもう隊長じゃなく教官だよ…。」と三浦。「教官、まだ発電所の警備員が非難を
終えてません!」地上の数人の人影に気がついた柴崎が高橋教官に報告する。「ビートル号、鈴木とピグモンは地上に降り非難誘導にあたれ!」と
高橋教官が指示を出す。「了解!」鈴木とピグモンは着陸し、警備員達のもとに走る。「大丈夫ですか?」鈴木の呼び掛けに頷く警備員達。
「ピグモン、この人達を頼む。」と鈴木はエレキングに向かい発電所の陰に隠れ、『カイザーフラッシャー』を取り出しウルトラマンカイザー
に変身する。エレキングを前に構えるカイザー。そこへ千葉と笠原を乗せたヘリが現場に到着する「グッドタイミングですよ千葉さん!
ありがとうございます。」と笠原がカメラを回す。「お客様の為なら、たとえ火の中、水の中…星川宇宙航空はどこにでも飛びますよ。」と
千葉が操縦桿を握る。カイザーは向かい来るエレキングの角を両手で掴み抑えつける。しかし、エレキングは角に電流を流し、カイザーは手を離して
しまう。その隙を突きエレキングはカイザーに頭突きを喰らわし、倒れるカイザーを踏み付け、蹴りつける。何とか立ち上がるカイザーにエレキングは
尻尾を巻き付け締め付ける。尻尾に流れる高圧電流、カイザーのカラータイマーは赤に変わり点滅を始める。「ウルトラマンを援護しろ!」三浦の
指示でエレキングに攻撃を仕掛ける第6小隊と第3班、そして藤原。しかし、発電所でエネルギーを補給しパワーアップしたエレキングに
防衛軍の攻撃は通用しない。「マジかよぉ!」頭をかく冴島。「くそっ!何か弱点はないのか!?」苦悩の表情を浮かべる三浦。「…弱点は角です。」
と藤原。「角…?」と高橋教官。

「角がアンテナになっています。アレを破壊すれば敵の戦力は半減する筈です。…この日のために調べて置いたんです。」と藤原。
それを聞いて高橋が黙って頷く。「よし、全機怪獣の角を狙え!」「了解!」三浦の指示で角に向かい一斉攻撃を開始するが角はなかなか壊せない。
「マグナムレイカー砲スタンバイ!!」突然冴島が言い出す。「お前…何言い出すんだよ!?」突然の事に焦る畠山。「角を破壊するには
これしかないだろ!?」と冴島。「冴島、その案は採用だ!頼のんだぞ!」しばらく考え許可を出す高橋教官。「了解!そんじゃあスタンバイだ!」
と冴島。「了解!エネルギーチャージ…!」と柴崎。高圧電流から逃れられないカイザーはカラータイマーの点滅が一層激しくなり、意識が朦朧
とし始める。「エネルギーチャージ完了!」と柴崎。「マグナムレイカー砲ファイヤー!!」と畠山が叫ぶのと同時にホーク号から発射されたビームが
エレキングの角を見事破壊する。「やったぁ!」ガッツポーズを取る第3班のメンバー。エレキングは頭を抑え、尻尾が緩みカイザーはその場に倒れる。
「行くぞ藤原!」と高橋教官。「了解!」続く藤原。高橋教官のアロー号がビーム弾で攻撃をし、藤原のハイヤー号がミサイルを撃つ。フラつく
エレキングは立っているのもやっとの状態だ。「今だウルトラマン!」高橋教官が叫ぶ。カイザーはよろめきながら立ち上がり腕を十字に組み
メテオスペシウムでエレキングを撃破する。「やったぁ!」喜ぶ笠原。カイザーは両手を広げ朝日が昇る空へ飛び去って行く。「高橋隊長、
ありがとうございました。また隊長の指示で戦えるとは思いませんでした。」と礼を言う藤原。「礼を言いたいのはこっちの方だ…。」と笑う高橋教官。
通信機からはすすり泣きが聞こえて来る。「藤原…泣いているのか?飛行中涙目になるのは危険だぞ…。お前は、もうダイヤのエースなんかじゃないよ…
今日からはハートのエースだ。」と高橋教官。「ハートのエース…何かダサいですよ?」と笑う藤原。三浦も第3班のメンバーも吹き出す。
「ネーミングセンスなんてどうでもいいんだよ。…また、お前が笑ってくれるんだからな。」と高橋教官が呟いた。

次回予告
交通事故にあった良太少年のお見舞いに行く為、友達と待ち合わせをする翔少年。しかし、待ち合わせ場所に現れたのは
「遊ぼう…」と言いながら車を襲撃するグリッドマンだった。暴れ狂うグリッドマンは警視庁を破壊し、国会議事堂に迫る。
次回ウルトラマンカイザー「グリッドマンVSウルトラマン」
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