第1話「選ばれし者」邪悪生命体ブルーコア、古代怪獣ゴメス登場。
北海道の夜の山林地帯をテスト飛行する一機の小型セスナ機。パイロットは札幌郊外の小さな航空会社に務める速水 大地である。
大地は通信機で会社に待機している修二に、今から戻ると連絡し帰還しようと準備をする。
しかし、その直後、セスナ機の前に赤い発光体が現れ、大地は避けきれず発光体に吸い込まれてしまう!
その様子を見ていた合宿中の山岳部の部員達は、すぐに地球防衛軍に通報する。
地球防衛軍の女性長官の間宮 千鶴は、この事件には新設されたばかりのチームAMKSが適任として、
メンバーに出撃するように命じる。
長官とオペレーターの奈緒隊員は、基地であるAMKSドームの作戦室に待機し、
ジェイコブ隊長とボムス隊員は吾郎博士が開発した主力戦闘機、
フジヤマ1号機に、ロベルト隊員と誠也隊員は同2号機で出撃する。
東京から北海道の距離、チームAMKSが到着した時には、もう深夜であった。
メンバーは大地が勤めている航空会社を訪れる。
社内には修二を含む社員達と、大地の彼女で新聞記者の香坂 深雪が大地の生還を祈りながら待っていた。
ジェイコブ隊長は修二達に行方不明になっている人物について尋ね、その人物が速水 大地と知り、
非常に驚く。
名前を聞いてもピンと来ないロベルト、ボムス、誠也。ジェイコブ隊長は大地について語り出す。
地球防衛軍札幌支部に務めていた大地は防衛軍の上層部が目を置く程の腕前のエースパイロットだった。
ある日、怪獣出現の一報を受け、仲間の瀬戸 光輝と共に出撃した。
人々の避難が進まない街を襲撃する怪獣。大地と光輝の二機の戦闘機は攻撃を仕掛けるが苦戦をしいられる。
大地は怪獣の喉を目掛け攻撃しようとするが、逆に撃墜されそうになる。
ここで怪獣を逃せば街は壊滅、多くの人々の命が奪われる…。しかし、大地は今にも攻撃を受けそうになる。
それは死を意味する。光輝は大地と人々の命を救う為、怪獣に突攻を仕掛ける。
突攻により怪獣は絶命。間一髪の所で大地と人々の命は救われたが、
光輝が命を落とす結果となってしまった。
光輝の死を悔み、責任を感じた大地は地球防衛軍を辞め、
現在の航空会社に就職したのであった。

ジェイコブ隊長の話が終わると社内の通信機が鳴り響く。修二は慌てて通信機を手に取る。
何と行方不明の大地からであった!泣いて喜ぶ深雪、社員達は喜び、
チームAMKSのメンバーは大地の生存に驚く。
泣きながら修二が「大地さん今まで何処にいたんですか?」と問い詰める。
大地「すまない修二、それより大変なんだ地球に新たなる危機が訪れようとしているんだ!」
修二「新たなる危機?」
ジェイコブ隊長は「すまんが通信機を貸してくれないか?」と修二から通信機を借りる。
ジェイコブ「私はチームAMKSの隊長のジェイコブ・バーナードだ。新たなる危機とはどういう事だ?」
大地「地球に邪悪生命体ブルーコアが侵入したんです。」
ジェイコブ「防衛軍のレーダーは何も捕えてなかったぞ?」
大地「奴はレーダーには反応しません。」
ジェイコブ「その情報は、どこから得たものなんだ?」
大地「ウルトラマンです。新たに地球に飛来したウルトラマン、
ウルトラマンフォルテが僕に伝えました。」
ジェイコブ「ウルトラマンだと…?」
その言葉に誰もが驚く。
一方、夜空を凄まじい早さで青い発光体が駆けて行く…
大地が言っていた邪悪生命体ブルーコアである。
ブルーコアは空を彷徨った後に北海道C地区、航空会社があるすぐ近くの工事中のトンネル内に侵入する。
トンネルの奥底には古代怪獣ゴメスが深い眠りについてた。
ブルーコアはスライムのように広がりゴメスを包み込む。
ブルーコアと融合したゴメスは目を大きく見開き目覚める。
それと同時にAMKSドームでも奈緒隊員が何かを感じ取ったように目を大きく見開く。
奈緒隊員は手際良く、レーダーとデータを照合して異変を発見し、通信機でメンバーに連絡を取る。
奈緒「近くに巨大なエネルギー反応を確認。至急攻撃体制を取ってください。」
誠也「何や巨大なエネルギー反応って…!??」
ボムス「恐らく、ブルーコアと言うやつじゃないでしょうか…?」
ロベルト「どうやら敵に先手を取られてしまったようだね…。」

ジェイコブ「1号機には私が乗る、2号機にはロベルトとボムスが乗り、
敵が現れ次第、攻撃を開始する。誠也は社員達の避難誘導を頼む。
奈緒は引き続き情報収集にあたってくれ!」
メンバー「了解!」(ワンダバ♪ワンダバ♪)
誠也の指示で避難が開始する中、トンネルを破壊し、砂煙をあげながらゴメスが出現する。
ロベルト「過去の資料で見た事がある…アイツは古代怪獣ゴメスじゃないか。」
ボムス「エネルギー反応はブルーコアとか言う奴じゃなかったのか…?」
ジェイコブ「いや、ゴメスは本来身長10数m位の怪獣だ。あんな巨大な怪獣ではない。」
奈緒「恐らく、ゴメスはブルーコアと融合した事で強力な進化を遂げたのだと思われます。」
ジェイコブ「こうなれば過去のゴメスのデータはあてにならん!心してかかれ!」
ロベルト&ボムス「了解!!」
チームAMKSとゴメスは激しい攻防戦を繰り広げる。
チームAMKSの攻撃はゴメスには、あまりダメージを与えてはいないようだった。
しかし、ゴメスは頭部の角を振り回し、腕で1号機と2号機を捕まえようとするだけで
空中で距離さえ保っていればチームAMKSはやられることは無かった。
一通り避難も完了する中、誠也も両手にアンカスガンを取り戦闘に加戦する。
一方、人々が避難する中、大地が現場に駆け付ける。
修二「だ…大地さん!」
深雪「大地くん!?心配したんだから…。」深雪は再び泣きそうである。
大地「すまない深雪、修二。」
修二「大地さんも早く逃げましょう!」
大地「それは出来ない…。」
修二&深雪「!?」
大地「オレには、やらなきゃいけない事があるんだ…。光輝のように逃げずに…やらなきゃいけない事が!」
修二はそれでも大地を避難させようとした。
しかし、深雪は大地の力強い言葉を素直に受け入れた。
大地の何かを守る為に本気になった目は、光輝が殉職した時以来の物だったからだ。
深雪「大地くん無理はしないでね…。」
大地は頷くと、ゴメスの方向へ駆け出す。
一方、ゴメスとチームAMKSの戦闘は、じわりじわりとでもチームAMKSの方が有利のように見えた。
しかし、ゴメスは突然、破壊光線を吐き出した!

破壊光線はブルーコアと融合した為に使えるようになったのだ。
過去のゴメスでは有り得ない攻撃に不利になるチームAMKS。
そして、再び吐かれる破壊光線が2号機に命中。
2号機コントロールが効かなくなり地面に向かい真っ逆さまになる。
誠也「あかん!!ロベルトさーん!!ボムスさーん!!早く脱出してください!!」
ロベルト「脱出不能!!」
ボムス「コントロールも効きません!!」
ジェイコブ「ロベルト!!ボムス!!」
誰もが絶望した、その時、現場に駆け付けた大地がインプラズマを手に取る。
大地が赤い発光体に吸い込まれた時、そこにはM78星雲からの使者、
ウルトラマンフォルテがいた。
フォルテが地球で戦う為には地球人の強い体と勇気が必要であり、
適切な地球人として大地を選んだのであった。
大地が手にしたインプラズマを天に掲げると光を放ちながら、
大地はウルトラマンフォルテへ変身を遂げる。
フォルテは両手で2号機をキャッチし、地面に置き、ポーズを取りゴメスに向かい構える。
誠也「ウルトラマンや…!!ほんまにウルトラマンが来てくれたんや!!」
ロベルト「この巨人がウルトラマン?」
ボムス「実物を見るのは初めてだ…。」
ジェイコブ「ウルトラマンフォルテ…。」
奈緒「来たわね…ウルトラマン。」
フォルテはゴメスに立ち向かい、ゆったりと滑らかな動きでパンチやキックで攻撃をする。
まるで初代ウルトラマンを思い出されるような動きだ。
しかし、ゴメスの猛反撃を前に苦戦を強いられる。ロベルトとボムスが2号機から無理やり脱出し、
ジェイコブ隊長は「ウルトラマンフォルテを援護せよ!!」と指示を出す。
ロベルトとボムスはアンカスガンを取り、誠也と共にゴメスに攻撃をする。

ジェイコブ隊長も1号機から攻撃をする。
チームAMKSの援護で再びフォルテが有利になる。
カラータイマーは赤に変わり点滅を始めている。
フォルテは腕を十字に組み、必殺光線フォルテッシモインパルスを放つ。
光線を浴びたゴメスはブルーコアと共に大爆発を起こし、粉砕されるのであった。
それを見てチームAMKSのメンバーも社員達も喜ぶ。
フォルテは朝日が昇り始めた空の彼方へ去って行く…。
変身が解け修二と深雪と共に無事を喜ぶ大地。
そんな大地の前にジェイコブ隊長が歩み寄る。
ジェイコブ「君の過去の実績を見せてもらった。
チームAMKSの入隊条件には充分過ぎる腕前だ、是非入隊してもらいたい。」
その言葉に大地は少し戸惑う。
修二「大地さん…前に少し言ってたじゃないですか。
防衛軍辞めて後悔したような話…。」
大地「そうだけど…。」
そう、大地は呟き深雪の方を向く。
深雪「私なら心配ないよ。大地くん、
自分の道は自分で決めなきゃ…。それに、誰かを守ってる時の大地くん、
すごくかっこいいんだから…私、大地くんのそんなところ好きになったんだよ。」
その言葉を聞き、大地は黙って頷き、ジェイコブ隊長に
「これからお世話になります」と頭を下げる。修二と深雪は笑顔で大地を見る。
こうして、大地はチームAMKSに入隊することとなった。AMKSドーム、
隊員服に身を包んだ大地がAMKSドームの作戦室に入ってくる。
ジェイコブ「改めて自己紹介させてもらうよ。
私が隊長のジェイコブ・バーナードだ。」
ロベルト「オレはロベルト・グレイシー。よろしく。
同い年なんだってね?アミーゴが増えてうれしいよ。」

ボムス「僕はチャン・ボムスです。よろしくお願いします。」
誠也「俺は浪花のガンマン、松本 誠也。よろしくお願いしまーす!」
奈緒「私は宮里 奈緒です。よろしくお願いします大地隊員…。」
と奈緒は意味有りげに微笑む。
大地「速水 大地です。みなさん、よろしく。」
こうして新しいメンバーが加わった事でチームAMKSは団結力を高め、
新たなる出発の日を迎えた。
大地の姿は再び北海道にあった。
深雪「隊員服、似合ってるね…。」
大地「ありがとう…深雪…。」
大地が微笑むと同時に通信機が鳴る。
奈緒「大地隊員、秋田県B地区に怪獣が出現したもようです。
すぐに現場に向かってください。」
大地「了解!」
深雪「大地くん!体に気をつけてね…。」
大地「深雪もな…。」そう笑顔で応え、大地は北海道の地を去るのであった。
大地が乗ったフジヤマ3号機が見えなくなるまで深雪は空を見続けた。


次回予告 観光客で賑わう渓谷に地震と共に出現する灼熱怪獣ヴォルケレス。
火山エネルギーを蓄えたヴォルケレスを前に
ウルトラマンフォルテとチームAMKSは勇気と聡少年との友情を胸に立ち向かう!
次回「祈りを込めた流れ星」
_______________________________________________________________________第2話「祈りを込めた流れ星」
灼熱怪獣ヴォルケレス登場

マンションのベランダで夜空を眺める少年。少年の名前は篠原聡、
近くの小学校に通う3年生である。何やら思い詰めた表情だ。
そこへ一つの流れ星が駆ける。聡少年は、自分の兄が仕事を無事に行う事を祈る。
聡少年は幼い頃に父を亡くし、二十歳の兄は地球防衛軍長野支部に務めている為、
東京で母親と2人暮らしをしている。
どうやら聡少年は、遠く離れた兄の心配をしているようだ。
聡がベランダにいる事に気がついた母親は、部屋の中に入るように呼ぶ。
テレビでは地震情報の字幕が流れる。どうやら長野県で小規模の地震が発生したらしい。
母「あら、やだ、また長野で地震?お兄ちゃん大丈夫かしら…?」
三日前から頻発する不自然な地震。
地球防衛軍長野支部は、この地震調査に力を入れていた。一方、
東京のチームAMKSでも、この怪しい地震について調査を行っていた。
AMKSドームでは奈緒が長野支部と連絡を取り合い情報を収集していた。
最新の情報では震源地は長野県と群馬県の県境の火山「浅間山」の地中を自由に行き来していることが分かった。
ロベルト「震源地が移動している?」
誠也「まるで震源地が生きてるみたいやないか…。」
ジェイコブ「いや、震源地が生きているのでは無く、おそらく巨大生物が地震を引き起こしているのだろう…。」
大地「震源地のエネルギー反応が昨日より倍増しているのも気になりますね…。」
ジェイコブ「うむ。敵は地下のマグマをエネルギーとして吸収し、
成長しているのだろう。早く手を打たないと厄介な事になるな…。」
チームAMKSが対策会議を開いている頃、
浅間山では聡少年の兄を含む長野支部の調査隊が夜を徹して調査活動を行っていた。
現場は真夏のような暑さで包まれていた。
調査隊が汗を流しながら作業を行っていると、
今までで最大規模の地震が発生し、
土砂崩れが起る。

調査隊は生き埋めにならなかったものも、全員が負傷してしまう。
目の前では、渓谷を削り、怪獣が現れる。
二足歩行、岩石のような体、背中から尻尾までは、
無数の赤い結晶体で覆われた灼熱怪獣ヴォルケレスである。
調査隊の隊長は通信機で長野支部の基地と連絡を取る。
「こちら調査隊、浅間山に怪獣出現。隊員4名全員負傷、
至急救援をたの…ザー…。」
通信機が壊れ連絡は途絶えた。長野支部の基地は騒然とする。
オペレーターが呼び掛けても返事は無い。
長野支部は急いでチームAMKSに連絡を入れる。
奈緒「長野支部から緊急連絡です。長野支部の調査隊6名、浅間山で消息を絶ちました。」
その言葉で作戦室に緊張が走る。一方、篠原家にも兄が消息不明の知らせが入り、
聡少年と母親はAMKSドームの応接室に招かれ、間宮長官から説明を受ける。
母親は泣きながら無事を祈る。聡少年が窓の外を見ると、また流れ星が流れる。
聡少年は再び、兄の無事を祈り、きっと大丈夫だと一人呟く。何やら廊下が騒がしい。
チームAMKSに浅間山に向け出撃要請が出たようだ。
それを聞いた聡少年は「よ〜し、僕がお兄ちゃんを助けるんだ!」と言い、
母親の目を盗み応接室をそっと出る。
作戦室には席を外していたボムスと吾郎博士が入って来る。
今回の事件に対応する為に作られた高性能ドリル戦車「ドリルニンポウ」が完成したのだ。
早速、チームAMKSはフジヤマ1号にドリルニンポウをドッキングさせ、フジヤマ2号と3号と共に浅間山に
向かいメンバー全員、朝日が昇る中出撃する。
聡の母親は聡少年がいない事に気がつき間宮長官と作戦室に残っていた吾郎博士
と共にAMKSドーム内をくまなく探す。しかし、それは意味が無い。
浅間山に向かう一号機にドッキングされたドリルニンポウの中、
ちょこんと足を組んで座り込んでる聡少年。
聡「二回も流れ星にお祈りしたんだ…。大丈夫、お兄ちゃん待っててね…。」
現場では地球防衛軍の長野支部と群馬支部の救援隊が捜索を行っていた。
怪獣の姿は無い、どうやら再び地中へ戻ったようだ。
救援隊と合流したチームAMKSは調査隊の捜索と、地震及び怪獣調査に分かれようとするが、

ドリルニンポウの中に子供が乗っているのにロベルトが気がつく。
ロベルト「君!なにしてるんだ!」
慌てて逃げる聡少年を誠也が強引に捕まえる。
奈緒「この子、行方不明になっている隊員の弟さんです。」
ジェイコブ隊長は聡少年に何故こんな無茶をしたのか聞いた。
小さい頃、病弱だった聡少年のそばには、いつも兄がついていた。
困った時はいつも兄が助けてくれた。
三年生に進級する時、兄は長野支部に配属が決まった。
兄が遠く離れてしまう事はとても不安だった。
そんな聡少年に兄は、これからは自分の力で生きて強い人間になるように約束した。
何かが起きたら母親、そして地球を守れるような強い人間に。
聡少年は今度は自分がお兄ちゃんを助ける番なんだと言う。
それを聞いたジェイコブ隊長は内ポケットからチームAMKSのロゴが
入ったピンバッチを取り出し聡少年の胸に着ける。
ジェイコブ「いくら、お兄ちゃんを助けたくても無茶はいけない。
今から君は、チームAMKSの特別隊員だ。
ここから先は隊長の私の指示に従ってもらう。いいかい?」
聡「了解!!」
ジェイコブ「よし。では、奈緒は一号機、ロベルトは二号機、
ボムスは三号機で空中から捜索を行ってくれ。

大地はドリルニンポウで地中を捜査、敵を発見次第攻撃を開始。
私と誠也、そして聡君は歩いて調査隊を捜索をする。」
全隊員「了解!!」
ジェイコブ隊長の指示通りに散らばるメンバー。大地はドリルニンポウに乗り、
レーダーに映る巨大なエネルギー反応に向い真っ直ぐ掘り進む。しばらくすると地下洞に到達し、
奥にはヴォルケレスが眠りながら潜んでいた。
大地は先制攻撃を仕掛けるが、敵の体は想像以上に固く、まるで通じない。
目を覚ましたヴォルケレスは容赦無くドリルニンポウに襲いかかり大地は窮地に陥る。
その頃、ジェイコブ隊長は調査隊の通信機が最後に電波を発した地点より少し下の地点に着く。

すると人の声が、そこには怪我を負いながらも自力で
下山してきた調査隊のメンバーの姿が。
聡「お兄ちゃん!」
篠原隊員「聡…?お前、何でここに!?」
驚く兄に聡少年は今までの出来事を話す。
ジェイコブ隊長は救援隊に現在地を教え、調査隊の救助を要請し、
ロベルト、ボムス、奈緒に連絡を入れる。しかし大地だけ応答が無い。
ジェイコブ隊長と誠也に不安が駆け巡る。
その時、突然大規模な地震が発生、浅間山は噴火し、地中からヴォルケレスが出現する。
口には捕食しようとしたのであろう、ボロボロのドリルニンポウを
がっちりと咥えている。
誠也「大地さん!!」ロベルト、ボムス、奈緒も現場に駆け付けるが、
大地がいては攻撃ができない。
しかし、ジェイコブ隊長は攻撃の指示を出す。
ジェイコブ「いいか大地。我々は今から怪獣に攻撃を仕掛ける。
敵はお前を口から離すだろう。そこをタイミング良くマシーンから脱出するんだ。」
大地「了解…。やってみます。」
ジェイコブ「頼むぞ。一か八かだ。
失敗したら君の命は保証できないからな…。全機攻撃用意!」
チャンスは一度、誠也もアンカスガンを手に取り、
ジェイコブ隊長の指示で一斉攻撃が開始される。
ヴォルケレス狂い口からドリルニンポウを放す。
大地「脱出!!」
全員が見守る中、大地はドリルニンポウから脱出し、地面を転がる。
大地「だ…脱出成功しました…!」
その知らせに誰もが喜ぶ。しかし、それもつかの間、
暴れるヴォルケレスはジェイコブ隊長や調査隊に向い襲いかかる。
大地はインプラズマを取り出しウルトラマンフォルテに変身。怪獣を蹴り飛ばし構える。
聡「ウルトラマンフォルテだぁ!!」
戦いはフォルテが一方的に攻め、圧倒的に有利。しかし、ヴォルケレスの体は急激に赤みを帯びていき、体から蒸気を出し威嚇する。

フォルテは怪獣を投げ飛ばそうと掴み掛かるが両手に大火傷を負い、敵を放してしまう。
ヴォルケレスはマグマエネルギーを体に巡らせ、高熱を発したのである。
これにより形勢逆転。今度はフォルテがピンチに陥る。
チームAMKSの援護も通用しない。カラータイマーの点滅が始まる中、
フォルテは全神経を両腕に集中させ、ヴォルケレスに向ける。
すると、ヴォルケレスの体は全く動かなくなり、その場に止どまる。
フォルテの念力技「サイキックアタック」が発動したのだ。
フォルテはそのまま敵に触れる事なく念力でヴォルケレスを投げ飛ばす。
後頭部から落ちたヴォルケレスの熱は冷め、フォルテは反撃を開始。
フラつくヴォルケレスにフォルテッシモインパルスを放ち粉砕する。
勝利を喜ぶ聡少年。空に去って行くウルトラマンフォルテを誰もが笑顔で見送る。
変身が解けた大地はジェイコブ隊長達と合流し浅間山を下山する。
浅間山のふもとにはロベルト、ボムス、奈緒、そして防衛軍のヘリで
駆け付けた間宮長官と聡少年の母親の姿があった。
担架に乗せられた篠原隊員は救急車に乗せられようとした時
「聡…、お前しばらく見ないあいだにデカくなったな…。」と言う。
聡「えっ!?うん。お兄ちゃんが長野に行ってから2cmも伸びたよ。」
篠原隊員「馬鹿…身長の事じゃねぇよ。人として成長したって事…。昔のお前とは大違いだったよ。」
その言葉を聞いた聡少年は「お兄ちゃんと、みんなのおかげだよ。」と笑う。
篠原隊員「そっか。」母親と兄と共に救急車に乗った聡少年は
ジェイコブ隊長の方を向き
「隊長!僕、いつか特別隊員なんかじゃなく、本物の隊員になるよ!」と叫ぶ。
ジェイコブ「何言っているんだ!もう君は立派なチームAMKS隊員だよ!」
その一言に聡は大喜びし勇ましく敬礼をしたのであった。

次回予告
東京に向かう、地球防衛軍ワシントン支部の空中要塞。
背後に浮かぶ侵略者イレーツ星人の影。旧友の危機にジェイコブ隊長は空中要塞に突入を決意する。
次回「奪われた空中要塞」
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第3話「奪われた空中要塞」元宇宙海賊船長イレーツ星人登場
AMKSドーム内、ジェイコブ隊長は自分の部屋で書類の整理を行う。
コーヒーでも入れようと席を立とうとすると、腕を引っ掛けて飾ってあった写真立てを床に落としてしまう。
写真立ては砕けて破片が飛び散る。ジェイコブ隊長は破片を拾いながら写真を手に取る。
写真は防衛軍のニューヨーク支部にいた時に撮影した、仲間達との集合写真である。
ジェイコブ隊長の隣りに写る人物は同い年で、よくコンビを組むことが多かった
ウィリアム・レオーニ隊員。現在はワシントン支部の長官である。
ジェイコブ隊長は不吉な予感を抱きながら破片を片付ける。
一方、ワシントンの上空に浮かぶ巨大要塞。地球防衛軍のあらゆる科学
を結集して作られた、ワシントン支部の最新基地「空中要塞ペガサス」である。
レオーニ長官はペガサス内の自分の部屋で葉巻を吸いながらアルバムを眺めている。
ニューヨーク支部にいた時の写真が詰った思い出のアルバムだ。
レオーニ長官の目が、ジェイコブ隊長の机に飾ってあったのと同じ集合写真に止まった時、
ペガサス内に侵入者発見の警報が鳴り響く。レオーニ長官は作戦室に向かおう
と部屋を出ようとした時ドアが開く。
レオーニ「き…貴様、確か…うわぁああ!!」
ペガサス内にレオーニ長官の叫びがこだまする。
数十分後、ペガサスは所定の位置を外れ、移動を始める。
地球防衛軍はペガサスが突然レーダーから消えた事を不審に思い、
各支部で連絡を取り合い情報を収集する。もちろんこの一報はAMKSドームにも入る。
奈緒「(英語で)こちらAMKSドーム、ペガサス応答せよ。
ワシントン支部応答せよ。」
ジェイコブ「何事だ?」
奈緒「ワシントン支部の空中要塞ペガサスが所定位置から消えたそうです。
通信も取れません。」
ジェイコブ「なんだと!?」

奈緒「ペガサスの現在地はアメリカの防衛軍各支部が調査中です。」
緊迫するAMKSドーム。一方、地球防衛軍サンフランシスコ支部は、
今まさにアメリカの地…と言うより空を離れようとするペガサスを発見する。
サンフランシスコ支部隊員「(英語で)こちら地球防衛軍サンフランシスコ支部、
アメリカ西海岸上空にペガサス確認!」
サンフランシスコ支部の情報を元に分析を進める奈緒。
その結果、ペガサスは東京を目指している事を割り出す。
ペガサスが何故、東京に向かっているのかジェイコブ隊長を始め誰もが分からなかった。
数時間後、青空の中ペガサスはいよいよ東京に迫っていた。
その時、作戦室のメインモニターにはレオーニ長官が映し出される。
ジェイコブ「ウィリアム!!」
レオーニ「ジェイコブ、奴だ…イレーツ星人が再び…。」
そうレオーニ長官が言うと画面は乱れ通信不能となる。
ジェイコブ「どうしたウィリアム!!ウィリアムー!!」
大地「隊長、イレーツ星人って何ですか?」大地の質問にジェイコブ隊長は
イレーツ星人について語り出す。ジェイコブ隊長がまだ、
ニューヨーク支部にいた頃の話である。宇宙の数々の星で侵略と略奪を繰り返す
宇宙海賊イレーツ星人の集団は海賊船のような宇宙船で地球にやって来た。
もちろん地球侵略の為である。地球に侵入したイレーツ星人達は、
地球防衛軍ニューヨーク支部を襲撃!ニューヨーク支部はすぐに戦闘体制を取り、
星人を迎え撃つ。ジェイコブとウィリアムは宇宙船に乗り込み
星人の一般船員に白兵戦を挑む。等身大のイレーツ星人達の
戦闘レベルは決して高くは無く、日頃厳しい訓練をこなす地球防衛軍
の敵ではなかった。この戦いで宇宙海賊は壊滅、しかし、惜しくもイレーツ星人の
船長だけ攻撃を逃れ行方を眩ませてしまう。
アメリカの防衛軍各支部の調査もむなしく、結局イレーツ星人の船長の行方は掴めなかった。
その宇宙人が、今まさにペガサス内にいると言う。

ペガサスとは再び通信不能。旧友にもきっと危険が迫っている。
ジェイコブ隊長はペガサス内に突入を決意する。
奈緒はオペレーターとしてAMKSドームに残り、他のメンバーはペガサス
に向いフジヤマ1、2、3号機で出撃する。
間宮長官もAMKSドームの作戦室のモニターでメンバーを見守る。
ペガサス内に突入したメンバーは、各機から降り警報が鳴り響く通路を行く。
ワシントン支部の隊員が多数倒れているが、一命は取り留めている。
奈緒の分析で先程のレオーニ長官からの映像はペガサスの作戦室からだと割り出される。
ジェイコブ隊長を先頭にメンバーは急いで作戦室に向かい中に入る。
レオーニ「ジェイコブ!!罠だ!!来てはいけない!!」
作戦室ではレオーニ長官が椅子に拘束されている。
隣りには白い髭に青いドクロの顔、海賊の船長のような帽子と服装。
右腕は巨大な銃、左腕は鉤爪になっている例のイレーツ星人の船長がいる。
星人「来たなジェイコブ・バーナード!!」
イレーツ星人の銃口はチームAMKSのメンバーに向けられる。
誠也「やめときな…。早撃ちなら負ける気せえへんで。」
そう言い誠也はアンカスガンを二丁手に取り構える。
星人「馬鹿め!早撃ち勝負などする気はないわ!お前達は罠にかかったのだよ!!」
ジェイコブ「どういう事だ!?」
星人「この要塞のコントロールシステムは全て破壊した!
お前達はまもなく要塞と共に市街地に墜落し、この世から消えて無くなるのだ!」
大地「なんだと!!」
星人「本当はジェイコブ・バーナード、お前だけを誘い出し、あの時、
地球侵略を邪魔したウィリアム・レオーニと共に吹き飛んでもらう作戦だったが、
これからの計画に邪魔だったチームAMKSの主力メンバーも連れて来てくれるとはな。
ありがたい事この上ないわい!!」
怒った誠也は星人に向け発砲するが、テレポーテーションで逃げられてしまう。
ロベルトは墜落する前にペガサスから全員脱出したらどうかと提案するが、
要塞内で働いている全員の脱出は不可能だとレオーニ長官は言う。
もし、その作戦に出るとしたらレオーニ長官は他の隊員達を優先し自分は最後まで残ると言い出す。

墜落まででは要塞内の隊員は半分も脱出できないであろう。
最後まで残ると言うのは確実に死を意味する。
仮に脱出してもペガサスは市街地に墜落し多くの犠牲者が出る。
メカニック担当のボムスはペガサスを手動でコントロールしようと
通信機で吾郎博士と連絡を取り、ペガサス作戦室のコンピューターに向かう。
ボムスと吾郎博士のタッグならペガサスのコントロールを奪い返すのは何て事はない。
問題は時間だ。ジェイコブ隊長達もできる事は手伝う。
その時、作戦室には次々とペガサス内のメカニック担当者が負傷した体を
引きづりながら駆け付ける。ボムス達は総力を注ぎコントロール奪還作戦を決行する。
ペガサスの高度は市街地に向かい徐々に下がり始めている。
体の痛みに耐えながら作業を行う担当者達。ボムスが星人に切断されていた
回路を繋いだ時、ペガサス内に鳴り響いてた警報が止まる。
見事コントロールシステムを取り戻した瞬間だ!
誰もが歓声をあげる。早速ペガサスの高度を上げようとするボムス。
しかし、その表情は一瞬で曇る。
大地「…どうしたボムス?」
ボムス「この要塞にエネルギーの残量は、もう、ありません…。」
ロベルト「…と、言う事は?」
誠也「墜落…どのみち墜落じゃないですか!!」
星人に攻められたペガサスは、定期的なエネルギー補充も行われずワシントンから東京まで飛んで来たのだ。
エネルギーのなど残ってはいない…。再び訪れる墜落の危機に静まり返る作戦室。
絶望の中、とっさのひらめきでAMKSドームと連絡を取るジェイコブ隊長。
ジェイコブ「奈緒、東京湾エリアCを封鎖してくれ。」
奈緒(奈緒)「了解。でも、どうするつもりです?」
ジェイコブ「ペガサスを東京湾に着水させる!」
レオーニ「ジェイコブ無茶だ!!」
吾郎(通信)「んだ、無理だ!着水した場合、ペガサスが大破する確率は…
えっと…80%だっぺ!!」
ジェイコブ「助かる確率は20%、想像以上に高くて安心したよ。」
レオーニ「正気かジェイコブ!?」

ジェイコブ「一般市民を巻き込んで市街地に墜落する訳にはいかないんだ!!」
ジェイコブ隊長の一喝に作戦室は再び静まり返る。
大地「…やりましょう、着水。」
もう誰も反論しない、ペガサスは高度を下げながら東京湾を目指す。
吾郎(通信)「少しでもバランスを崩したら確実に大破します。慎重に、
平行を保ちながらで着水してくださいよ!」
ペガサスの目の前には着水予定のエリア。気は緩められない。
しかし、東京湾沖のコンビナート地帯に、突如、巨大化したイレーツ星人が現れる。
星人「君達には消えてもらわなきゃ困るんだよ!!」
星人は右腕の銃からレーザービームをペガサスに向け放つ。
ペガサスの一部が破損するが、ここで引く訳にはいかない。
星人は何度もビームを放つ。次第にボロボロになるペガサス。
大地は作戦室を飛び出し、非常口から外に出てる。
星人「とどめだ…。」作戦室のある位置に狙いを定めるイレーツ星人。
大地はペガサスから飛び降り、落下しながらフォルテ変身し、星人を蹴り倒す。
絶望の縁に立たされた隊員達はフォルテの登場に勇気づけられる。
星人は起き上がりフォルテに向けビームを放つが、フォルテは見事に回避。
フォルテは接近戦に持ち込み星人を追い詰める。
星人の右腕は接近戦用に剣に変形させ応戦する。
ジェイコブ「着水3分前!!」
その時、ペガサスは先程の星人の攻撃の影響で着水直前にバランスを崩す。
フォルテは星人を投げ飛ばし、ペガサスを安定した形で着水させようとサイキックアタックを発動させる。
ペガサスはバランスを取り戻すが、フォルテは星人に背中を斬りつけられてしまう。
その場に倒れたフォルテのカラータイマーは点滅を始める。
ロベルト「あぁ!ウルトラマンフォルテが!!」
ジェイコブ「着水30秒前!!」
星人はペガサスに攻撃を仕掛けようとする。
ボムス「着水20秒前!!」
フォルテは起き上がり星人に掴み掛かる。
奈緒「着水10秒前!!9、8、7、6…」

フォルテは掴んだ星人を振り回す。
奈緒「…5、4、3、2、1!!」
レオーニに長官が、ロベルトが、ボムスが、誠也が、奈緒が、間宮長官が、
吾郎博士が、ペガサス内の隊員達が、そしてジェイコブ隊長が、
それぞれの思いを胸に、その瞬間を迎える。
ジェイコブ「着水!!」
ペガサスは大きな音と水柱を立てながら東京湾に着水する。
フォルテは振り回してた星人を投げ飛ばす。
激しい振動の後、静まるペガサス内。
誠也「…生きてる?」
ロベルト「…成功だ。着水は成功したんだ!!」
歓喜に包まれるペガサスとAMKSドーム。
よろめきながら立ち上がるイレーツ星人はフォルテを真っ二つにしようと
右腕の剣を天に掲げ振り下ろすが、真剣白刃取りで防がれる。
フォルテはそのまま剣を折り、星人に投げ付ける。
剣は星人の体を貫き、その場に倒れた星人は爆発、炎上する。
星人の最期を見取ったフォルテは空へ去って行く。
現場には海上保安庁の船が到着し、ペガサス内から隊員達が次々と救助される。
ジェイコブ隊長はレオーニ長官と固く握手を交し、お互いに久々の再会を喜んだ。
事件から数日後、AMKSドームの自分の部屋で書類の整理を行う。
机の上には、写真が新たに増えている。
それは、あの日、ジェイコブ隊長とレオーニ長官を中心に撮影された
チームAMKSとワシントン支部の隊員達の集合写真であった。

次回予告
遺跡から発掘された石盤に書かれた死神怪獣ヘルドランの脅威。
3000年の昔から復活したヘルドランから、ウルトラマンフォルテと
チームAMKSは街を守りきれるのだろうか?
次回「遥か昔の警告文」
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第4話「遥か昔の警告文」死神怪獣ヘルドラン登場
AMKSドームの廊下、窓際に立ち、海を見つめる奈緒。
大地「奈緒隊員、どうしんだ、こんなところで?」
奈緒「…聞こえませんか?」
大地「えっ?」
奈緒「海が泣いているんです…。」
そう言われ、驚きながら大地も海を見つめる。
大地「いや、オレには何も聞こえないけど…?」
奈緒「そうですか…大地隊員なら聞こえると思ったんですけどね…。」
そう言うと、奈緒は黙って作戦室に向かい歩き出す。
大地は不思議そうな顔で奈緒の後ろ姿を少し見つめ、再び海を見つめる。
大地「海が泣いている?」と呟きながら。

この世界には、まだ人類が足を踏み入れてない地が数多く存在する。
東京湾から数十キロ離れた離島に存在する遺跡もその一つである。
誰が何の為に遺跡を建てたのか?謎は調べてみないと解けないものである。
そこで、世界各国の考古学者達は調査団体を設立し、この遺跡の調査を行った。
遺跡内は白い霧のような物が漂い、風の音であろうか?何やら呻き声みたいなのも聞こえる。
土器や琥珀、昔の民族衣装など数々の物が発見される中、調査団体が最も注目したのは、古ぼけた石盤である。
石盤は古代文字で何かが書かれていたが、損傷が激しく解読不能。
調査団体はAMKSドームの吾郎博士に石盤の復元、ついでに解読を依頼する。
吾郎博士は非常に面倒くさがりながらも作業を順調にこなし、見事に石盤を復元させる。
吾郎博士は石盤を作戦室に移し、損傷が激しかった石盤
をここまで復元させた自分の腕を高々と、そして長々と自慢する。
みんなが、うんざりとして聞き流しているのに気がついてもらいたいものだ。
さて、調査団体に頼まれたのは復元だけではない。
次は古代文字の解読である。考古学者なら後は自分達でやれよと誠也が呟くが、
吾郎博士が調査団体の代表の人には普段から世話になっているしと言い、解読も引き受ける。
面倒くさがり家の吾郎博士がそう言うのも、解読は吾郎博士の仕事ではないからである。

奈緒「私の名はガイル、今ここに闇の龍ヘルドランの封印に成功した。しかし、
奴の暗黒の力は凄まじく、封印の効力は3000年も保たないだろう。
本来なら我々で奴を葬り去るべきだが、とてもかなう敵ではない。
未来の人類なら今よりは科学が進歩し、奴を撃退できる力を持っている事を信じている。
必ずやヘルドランを倒してくれ。奴の襲撃で滅んだ我が故郷マーラット共和国の仲間達の為にも。」
何の資料も見ずに古代文字をスラスラ読む奈緒。驚く大地。
誠也「あっ、そっか。大地さん知らなかったですよね。」
ボムス「奈緒隊員は大抵の古代文字とか宇宙文字は読めるんですよ。」
ロベルト「奈緒は地球の言葉が通じない宇宙人とも会話する事ができるんだぜ。」
大地「…すごいな。」驚く大地を奈緒はチラっと見て得意げに微笑む。
ジェイコブ「マーラット共和国…インド洋に沈む、あの巨大古代都市か…。」
ボムス「今までマーラット共和国が何故、海に沈んだのかは謎でしたからね。
これは想像以上の大発見ですけど、まさかそんな恐ろしい奴が…。」
ジェイコブ「うむ、しかも奴は今も遺跡内にいるとなると即急に対処しなければならんな…。
奈緒、調査団体に避難指示を出してくれ。」
奈緒「了解!」
遺跡では連絡を受けた調査団体が撤収の準備を始める。
考古学者の一人はさっきより白い霧が多く漂っている事と、呻き声のような音も大きくなってきた事に気がつく。
復活の時が一刻、一刻と迫っているのだ。
ジェイコブ隊長が下見の為、大地を1号機で出撃させる。AMKSドームから遺跡まで続く青い海。
大地は廊下で奈緒が言ってた事を思い出す。
大地(海が泣いている…。マーラット共和国の人々がヘルドランの復活を知らせているのか…?)
そう考え海を見つめる大地。目をつむると確かに海が泣いているようにも聞こえる。
大地は目を開き、驚いた表情を見せる。その視線の先には遺跡が白い煙りを噴出しながら、
みるみる崩れていくのが見える。

瓦礫の中からは、背には大きな翼、右腕は鋭い鎌、二足歩行で、全身黒づくめの
ドラゴンのような怪獣が姿を現す。死神怪獣ヘルドランである。
大地「こちら一号機!遺跡からヘルドランが現れました!攻撃を開始します!」
連絡を受けたジェイコブは攻撃をしないように指示を出す。
ジェイコブ「ターゲットの周りには調査団体がいる。うかつに攻撃は出来ん!
威嚇弾で敵の注意を一号機に向けるんだ。」
大地「了解!」
3000年振りに目覚めたヘルドランは、まず食事を取ろうと調査団体に迫る。
一号機は怪獣の頭上に向け威嚇弾を発射、弾は大きな音を立て花火のように空に咲く。
一号機は上を見上げる怪獣の周りを旋回し、再度威嚇弾を発射した後、全速力で遺跡から離れる。
ヘルドランは大きな翼を広げ、一号機を追うために飛び立つ。
敵の速度は、予想していたより遥かに速く、一号機はぴったりと後ろにつかれる。
必死で敵から逃れる一号機、敵は大きく口を開き嘲笑うかのように迫る。
大地「何て素早い奴だ!!」
一号機が絶対絶命の危機に陥った時、敵は背後に攻撃を受ける。
攻撃をしたのは二号機で駆け付けたジェイコブ隊長とボムス、三号機のロベルトと誠也である。
突然の攻撃に怯むヘルドラン。
大地「助かりました。ありがとうございます!」
ジェイコブ「まだ油断はするな!全機フォーメーションβで一気にかたをつけるぞ!」
メンバー「了解!!」
二号機が怪獣の前を横切り、気を取られている隙に、背後から一号機と三号機が攻撃。
怒った怪獣が振り向き一、三号機に攻撃をしようとしたところを二号機が攻撃。
よろめく怪獣を目掛け三機の戦闘機は一斉攻撃を仕掛ける。
怪獣は攻撃に耐えきれず、雄叫びをあげながら撃墜され海に沈む。
誠也「よっしゃー!!」
ロベルトとボムスも歓喜をあげ敵が沈んだ海を見つめる。
奈緒「…まだです!」
通信機から奈緒が叫ぶ。それと同時にヘルドランは水柱を立て一号機目掛け飛んで来る。

大地「しまった!!」
一号機は回避出来ず怪獣と衝突する。ヘルドランはそのまま猛スピードで飛び去り、一号機は海に落ちる。
ジェイコブ「大地!!」
寸でのところで無事に着水する一号機。
大地「隊長!オレに構わないで奴を追ってください!!あの方向は市街地です!!」
ジェイコブ「わかった!奈緒に救助隊を手配させる、後は任せろ!!」
全速力で怪獣を追う二号機と三号機。しかし敵との差は広がり、
ヘルドランはあっという間に港町に到達し砂煙をあげ着陸する。
慌てて逃げ惑う人々に建物を破壊しながら迫るヘルドラン。
大地は海に浮かぶ一号機の中でウルトラマンフォルテに変身し、二号機と三号機を抜いて、全速力で港町に向かう。
ジェイコブ「おお!ウルトラマンフォルテ!来てくれたか!!」
奈緒「…救助隊は必要ないみたいですね。」
モニターでフォルテを見て微笑みながら奈緒が一人呟く。
港町に着いたフォルテも砂煙をあげ着陸し、敵に向かい構える。
怪獣は雄叫びをあげながら鎌で斬り掛かるが、
フォルテは軽々と回避。敵の隙を見て打撃攻撃で応戦する。しかし、
ヘルドランは口から火炎を吐き、フォルテは直撃を受け、怯んでしまう。
ヘルドランはフォルテを再び斬りつけ、倒れ込んだところを踏みつけ、蹴りつける。
フォルテが危機に陥った時、やっと追いついた二号機と三号機がヘルドランに向かい攻撃を開始する。
ヘルドランはターゲットをチームAMKSに変更し口から火炎を吐きながら応戦する。
フォルテは立ち上がろうとするが体に痛みが走り、なかなか立ち上がれない。するとフォルテの耳に何やら声が聞こえて来る。
いつものように平和に暮らしていたマーラット共和国の人々。しかし、突如現れたヘルドランにより共和国は炎に包まれ、
人々は苦しみながら海に沈む。そんか光景がフォルテには見える、人々の叫びが聞こえて来る。
大地「海が泣いている…!」
フォルテは目を覚ましたかのように立ち上がり再びヘルドランに立ち向かう。

カラータイマーの点滅は既に始まっている。敵の戦闘能力はフォルテを上回っているが、
二号機と三号機の援護で、戦況はフォルテの方が有利である。
フォルテがヘルドランを突き飛ばしたところに、二号機と三号機がミサイルを打ち込む。
フォルテは素早く腕を十字に組みフォルテッシモインパルスを放ち、ヘルドランを粉砕する。
ロベルト「やった!」
確実に敵を仕留め今度こそと歓喜をあげるチームAMKSのメンバー。
ガイル「ありがとう…光の巨人よ…。」
どこからか声が聞こえたような気がしてフォルテは空を見つめ、黙って頷く。
夕方、古代遺跡の跡地に集まった調査団体とチームAMKSのメンバーは、瓦礫の上に花を手向け、黙祷を捧げる。
遺跡の跡地を背に海を見つめる奈緒。
大地「奈緒隊員、そろそろ帰るってよ!」
奈緒「大地隊員、海が…ありがとうって…。」
そう呟く奈緒。大地も海を見つめる。
大地「…オレも聞こえたよ。」
そう笑いながら大地も呟くのであった。

次回予告
メカに熱い情熱を捧げる新人女性整備士の菅野。彼女のメカにかける想いを信じボムスが出動する。
次回「鋼の魂」(蛇足怪獣コブラス登場)
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第5話「鋼の魂」蛇足怪獣コブラス登場

AMKSドームの整備室。ここでは今、対ヴォルケレス戦で大破したドリルニンポウの修復作業が行われている。
その様子をゆっくり見学するボムス、大地、誠也の三人。
そんな大地達に声をかける小太りの中年男性、整備班の班長である柳本だ。
チームAMKSのメカニック担当であるボムスと柳本班長は、メカニックに注ぐ熱き想いが意気投合し、
お互いの暇を見つけては討論を交しているのである。
少々マニアックな会話で、二人の間に入れない大地と誠也は後ろから向かって来る、まだ幼さが残る小柄な女性に気がつく。
菅野「あなた達チームAMKSの方ですね?私、整備士の菅野です。」その目付きと口調は明らかに怒りを露にしている。
大地「そうだけど…?」
菅野「あなた達、もっとマシーン達を大切に扱ってください!」
突然怒鳴られボムスの会話も止まり、顔を見合わせる大地達。
誠也「そう言われても、オレ達、十分丁寧に扱っているつもりやけど…?」
菅野「この数日で二回も撃墜されて何が丁寧に扱っているんですか!だいたいドリルニンポウに至っては、初めて出撃した日にお釈迦にするなんて、ホント信じられません!」
(第1、2、4話参照)
菅野「あなた達の腕が未熟なだけで傷つき、命を落とすマシーン達が可哀相です!!」
誠也「お、オレ達の腕が未熟やと?」
菅野の一言にカチンとくる誠也。
ボムス「…いや、君の言う通りだよ。マシーンにだって命はあるし、僕らがもっと腕を上げれば傷つける事も、撃墜される事もない。」
誠也「ボ…ボムスさん…。」
大地「確かにその通りだ。申し訳ない事をしてたな…。」
今までの戦果を反省する大地とボムス。誠也も渋々だが反省する。
ボムス「菅野整備士って言ったね?君も随分とメカニック思いなんだね!これから出撃の際には、マシーンを傷つけないように、僕らも気をつけるよ。」
そうボムスはにこやかに菅野を見る。

メカニック思いの一言で菅野は照れて顔を赤くする。
菅野「…そ、そんな事、私に言われる前に気がついてください!」と怒りは治まっていないようだが、恥ずかしそうにして、その場を去る。
誠也「何なんやアイツ…。」
柳本「彼女は、今年、配属されたばかりの新米整備士だよ。仕事の飲込みも早いし、メカが好きなんだなぁ…。今回のドリルニンポウの修復作業は彼女の担当なんだ。今後、期待のルーキーだよ。」
ボムス「僕も、あの子には整備士としての底しれない素質を感じられます。」
メカが絡むと熱くなるボムスと柳本班長。
みんなが、仕事に戻る菅野の後ろ姿を見つめている時、大地達の通信機が鳴る。
大地「こちら大地。」
奈緒(通信)「緊急招集がかかりました。三人共、すぐに作戦室に戻って来てください。」
大地「了解。ボムス、誠也、行くぞ!」
ボムス「柳本班長、また後で!失礼します!」
三人は柳本班長に礼をし、急いで整備室を後にする。
作戦室に戻った大地達は、間宮長官から東京R地区で不自然な地震が頻発している事を知らされる。
奈緒の分析によると、R地区の地中には、巨大生物の反応があり、地震は、この生物の影響ではないかと推測される。
ジェイコブ隊長は、大地と誠也にR地区に向かい調査をするように指示を出し、二人はすぐにチームAMKSの専用車ブシドーで現場に急行する。
ジェイコブ隊長達は万が一の事態に備え、出撃の準備を始める。
その時、現場にいる大地から通信が入ってくる。
地震の影響で地盤が緩み、現場は陥没していると言うのだ。
何の情報も入っていなかったチームAMKSにとって、被害状況は想像以上に深刻だった為、驚きを隠せない。
さらに奈緒から、中心部の下を走っていた地下鉄が埋もれてしまったとの情報が入り、
救助作業に参加するように要請が出ていると通路が入る。
ジェイコブ隊長は、大地と誠也に地下鉄の救出作業を行うように命じ、急いでロベルトとボムスと共に整備室に向かう。
ジェイコブ「柳本班長、ドリルニンポウの修復作業は終わっていますか?」
柳本班長「修復作業は今終わりましたが…。突然どうしたんですか?」
ボムス「地下鉄が埋もれる事故が発生しました。ドリルニンポウに出動要請が出ています。」

大地達の情報から地下鉄が埋もれている地点には、わずかな空洞の部分がある事が分かった。
作戦はドリルニンポウを使い、地上からこの空洞に向かい、安易的な通路を開け、
その通路からレスキュー隊を地下鉄の救助に向かわせるというものだった。
埋もれている人の体力、通路が保てる時間を考えると全てが時間との勝負である。
菅野「それは出来ません…。」
ドリルニンポウの修復作業担当の菅野が呟くように言う。
ジェイコブ「何故だ?」
菅野「ドリルニンポウは、修復作業を終えたばかりで試運行が行なわれていません。安全な作業が行える保証はありません。」
ロベルト「何言ってんだよ、安全面なら大丈夫だって!」
菅野「安全な保証が無いマシーンに、人を乗せる事は出来ません!!」
菅野の叫ぶような口調に静まり返る整備室。ロベルト「でも、今は一刻を争う事態なんだ…。」
しばらくして菅野が泣きそうになりながら再び口を開く。
菅野「私の父は、地球防衛軍某支部のパイロットでした。」
ジェイコブ「…?」
菅野「ある日、怪獣出現の一報を受け、父はいつも通り戦闘機に乗り出撃しました。
現場に到着した父は怪獣に攻撃をしようとしたけどミサイルは発射されず、
何も出来ないまま撃墜されました。さらに脱出ポッドも開かず、
父は戦闘機と共に地面に叩き付けられ…殉職しました…。」
静まり返る整備室で、菅野が泣きながら語る。
菅野「ミサイルを発射出来なかったのも、脱出ポッドが開かなかったのも、
大丈夫だと最終チェックを怠った整備士が招いた事故でした。
私は、二度と父のような事故を起こさない為に整備士になったんです。
だから、今のドリルニンポウにあなた達を乗せる訳にはいかないんです。」
そう菅野は言い切り下を向く。再び静まり返る整備室。
ボムス「…僕達、チームAMKSは、死ぬか生きるかの現場で命をかけて戦っているんだ。」菅野「…?」
ボムス「君はさっき、僕達の腕が未熟だって言ってたけど、僕達は、この腕を信じて戦ってきたんだ!
命をかけて現場で戦ってきたんだ!
だから、君も、命をかけて治したマシーンと、自分の腕を信じてもいいんじゃないかな?」
突然口を開き、いつになく熱く語り出すボムス。

そんなボムスの一言に菅野の感情も揺れ動く。
ボムス「僕は君の腕を信じる…。隊長、ドリルニンポウの操縦は僕にやらせてください!」
ボムスは強くそう言いジェイコブ隊長の方を見る。
ジェイコブ「よし、ボムスはドリルニンポウに乗り現場に急行せよ!」
ボムス「了解!ありがとうございます!隊長!」
ジェイコブ隊長が許可を下ろしたその時、現場の大地から通信が入る。
地中から怪獣が出現し誠也と共に応戦中だと言う。
慌ただしくジェイコブ隊長は、一号機で、ロベルトは二号機で出撃する。
菅野「必ず無事で帰って来てください!!」ドリルニンポウに向かうボムスの背に菅野が叫ぶ。
ボムスは菅野の方を振り返り「約束する!!」と言い、再びドリルニンポウに向かい走り出す。
その姿を見つめる菅野と柳本班長を奈緒が特別に作戦室に案内し、モニターで現場の様子を見させる。
モニターの画面には一体の怪獣が建物を破壊しながら暴れている所が映し出される。
コブラのような顔、鋭い二本の牙、両腕は長い鞭、しっかりとした両足、
長い尻尾、地中に潜み、地震を発生させていた蛇足怪獣コブラスである。

コブラスは高層ビルを破壊しながら、地上の大地達に襲いかかる。
大地と誠也は苦戦しながらアンカスガンで敵に応戦。ジェイコブ隊長とロベルトも合流し、
敵に総攻撃をかける。
ジェイコブ「敵を倒す事より、地下鉄に閉じ込められている人々の救出を優先する!」
チームAMKSメンバー「了解!!」
大地達は、攻撃しながら怪獣の注意を引きつけ、地下鉄の埋まっている地点から敵を離していく。
その隙にドリルニンポウは、巨大なドリルを回転させながら地中に潜り、地下鉄の救助に向かう。
現場で戦うチームAMKSのメンバーも、作戦室で見守る菅野達も息を飲み、地下鉄が無事に救出される事を祈る。
しかし、怪獣は地中に潜っていくドリルニンポウに気がつき、進行方向を変え襲いかかる。
ジェイコブ「しまった!!」
コブラスは両腕の鞭をドリルニンポウに絡め襲いかかる。
チームAMKSのメンバーが敵を背後から攻撃してもドリルニンポウを離そうとしない。
菅野はいてもたってもいられず通信機でボムスに話しかける。

菅野「危険です!すぐに脱出してください!」
ボムス「何言ってんだ…!ここで僕が脱出したら、地下鉄に乗っている人達を助けれないじゃないか!!」
菅野「でも、それじゃあ、あなたが…!」
ボムス「約束したはずだよ…僕は必ず無事で帰るって!!」
そう言いボムスは敵を必死に振り払おうとドリルニンポウを操作する。
しかし、一向にこの状況を突破する事は出来ない。
大地は瓦礫に隠れ、ウルトラマンフォルテに変身!コブラスの背後に掴みかかり後ろへ引きづり出す。
ボムス「すまない!ウルトラマンフォルテ!!」
そう言いボムスは目標地点に向かう。
引きづり出され、怒り狂うコブラスは両腕の鞭を振るいながらフォルテに襲いかかる。
容赦ない猛攻に苦しむフォルテの首に、敵は片腕の鞭を巻き付け引き寄せる。
身動きの取れないフォルテに、コブラスは大きく口を開き、鋭い牙で噛み付き、離そうとしない。
コブラスに噛まれる事で体に毒が回り、ウルトラマンフォルテの意識は朦朧(もうろう)としてくる。
その時、ジェイコブ隊長とロベルトがミサイルでコブラスを攻撃。ダメージを受けたコブラスは怯み、フォルテから離れる。
敵の攻撃からは開放されたが、体に毒が回り意識がハッキリせず、その場に倒れるフォルテ。
カラータイマーの点滅も始まる。フォルテは右手で自分の頭を強く叩き、コブラスに向かい攻撃の構えを取る。
どうやら頭に強い衝撃を与えて、意識をスッキリさせたようだ。
ジェイコブ「ウルトラマンフォルテを援護せよ!!」
ロベルト&誠也「了解!!」
近距離戦に持ち込むフォルテと、それを援護するチームAMKSのメンバーは敵を確実に追い込んでいく。
そんな中、ボムスは着々と地下鉄の埋まっている地点に向かう。
ボムス「あと…少し…。」
祈る気持ちで見守る菅野。
コブラスの鞭攻撃に慣れ、フォルテは軽々とかわしていく。
その時、ボムスはついに目標地点に到達。
対策本部はすぐに救助部隊に通路から地下鉄事故現場に向かわせ、人命救助にあたる。
フォルテはメゾフォルテスラッシュを放ち敵を怯ませる、そこをジェイコブ隊長、ロベルト、誠也が総攻撃をしかけ、コブラスを見事撃破する。
しかし、怪獣を倒して終わりではない、問題は地下鉄に閉じ込められた人々の安否である。

フォルテもチームAMKSのメンバーも誰もが奇跡を信じ通路を見つめる。
ボムス「こちらボムス。全員の生存を確認…全員の生存を確認!!負傷者多数、至急搬送をお願いします!!」
負傷者は大勢出ていたものも、これだけの大事故で全員生存の奇跡の一報を受け、各地で歓喜が沸く。
救助部隊とチームAMKSの手際よい作業で、要救助者は短時間で救出され、チームAMKSは無事任務を終え、AMKSドームに帰還する。
AMKSドームの整備室、帰還したドリルニンポウから降りるボムスを、菅野と柳本班長、そして奈緒が笑顔で出迎える。
ボムス「約束は守ったよ、僕は無事に帰って来た。」
そう言って笑顔を見せるボムス。
菅野「約束…守ってないじゃないですか…。」
ボムス「えっ…!?」
菅野「マシーンに傷つけないようにするって言ったのに…。」
そう言ってドリルニンポウを見つめる菅野。ボムスも振り返って見つめる。
ボムス「ご…ごめん!!」
菅野「いいですよ。これが私の仕事ですから。」
顔をこわ張らせて謝るボムスに笑顔で声をかける菅野。
そこへ帰還したジェイコブ隊長達もやって来る。
ジェイコブ「どんな事でも約束を破った場合は、その償いをしなくてはならない。
これよりチームAMKSは整備班の作業の助手を行なう。これは命令だ!」
菅野「えっ…!?」
大地「了解!!」
誠也「よっしゃあ!!気合い入れてやったるでぇ!!」
ロベルト「力仕事は任せとけぇ!!」
奈緒「菅野整備士、指示を!!」
キョトンとしている菅野にボムスが声をかける。
ボムス「ほら、早く、菅野整備士!」
菅野「…みっちり働いてもらいますからね。みなさん覚悟してくださいね。」
菅野はそう言い、チームAMKSのメンバーは笑顔で作業に取り掛かるのであった。

次回予告
負傷して病院に搬送される誠也。
そこで出会った椎名看護士と、入院中の子供達の笑顔に迫る黒い影。
夜に張り込む恐怖の植物怪獣に、今、誠也が立ち向かう!!
次回「サプライズルーキー」(肉食植物怪獣ウツボガドラ登場)
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第6話「サプライズルーキー」肉食植物怪獣ウツボガドラ登場
夜の市街地をチームAMKSの専用車「ブシドー」に乗り、パトロールをする大地と誠也。
そんな二人を乗せたブシドーの前に、車道だというのに、男がふらふらと不気味に、ゆっくりと歩み寄る。
大地がクラクションを鳴らしても男は止まる気配が無い。
仕方がなく、大地と誠也はブシドーを降り、注意しようと男に近付く。
ところが、男は不気味に笑いながらは二人に襲いかかって来る!
突然の事に驚きながらも大地は男を掴んで投げ飛ばし、構える。
気がつけば男と似たような状況の、人々が、五人で輪になり、大地と誠也を中心に、不気味に笑いながら囲んでいる。
大地と誠也はアンカスガンを殺傷力の無いショックガンモードに変え、襲い来る人々を次々に撃ち気絶させる。
静まり返った現場で顔を見合わせる二人。
その時、大地は後ろから迫り来る気配を感じ取る。
大地「誠也!後ろだ!」
しかし、出遅れた誠也は背後から襲いかかる触手ような蔦に捕えられる。
後ろには、植物のウツボカツラのような容姿で、無数の牙の生えた口を持つ、全長二メートル程の奇妙な植物怪獣が、誠也を口の中へ引きづり込もうと、自分の腕でもある蔦を引き寄せる。
大地はアンカスガンをレーザーガンモードに変え、植物怪獣を撃ち抜く。
敵は不気味な声をあげながら、ゆっくり崩れ、絶命する。
大地は急いで誠也に駆け寄るが、気絶している為、返事は無かった…。
翌日、日が差し込む病室のベットで誠也は目を覚ます。
聡「あっ!誠也さんが気がついた!」
誠也「さ…聡君?…ここは?」
聡「病院だよ!待ってて、今、先生呼んでくるから!」
誠也の意識が戻った知らせを受け、担当医が病室に駆け付ける。
診察を終え、誠也は、昨夜の事件からの出来ごとを聡から聞かされた。
あの後、誠也は現場より程近い、この病院に搬送され、
操られた人々は再び暴れ出す危険性があるのでAMKSドームのメディカルセンターへ、
植物怪獣の死骸はチームAMKSによって回収されたのである。
聡「チームAMKSのみんなは、昨日の事件で誰も手が離せなくなったって言うからさ、
チームAMKS特別隊員である僕が、誠也さんのこと、付きっきり見てたって訳!!」

誠也「そうなんだ、ありがとな、聡君!」
聡「どういたしまして!…それじゃぁ、誠也さん、僕、もう一つ寄らなきゃいけない場所があるから。」
誠也「えっ?どこに行くんや?」
聡「誠也さんも、ついてくる?」
誠也「…?」
何も説明されないまま、誠也は聡に別病棟へ案内される。
そこは、幼い子供達が入院する小児病棟。
朋美「あっ!聡くん!」
聡の姿に気がつき、ベットの上から明るい笑顔で手を振る少女。
椎名「こんにちは。聡くん!あら…そちらの方は…?」
少女を横で世話していた看護師は聡に挨拶をし、後ろにいた誠也の存在に気がつく。
誠也「は…初めまして!聡くんの知り合いの、松本誠也です。よろしく!」
朋美「私、朋美!」
椎名「私、小児病棟の看護師の椎名すみれです!初めまして!」
爽やかな椎名の笑顔に誠也は思わず「綺麗な人やなぁ…。」と見とれながら呟く。
聡「あれぇ?誠也さん、もしかして椎名さんに一目惚れ…?」
誠也「さ…聡君!!」聡の一言に慌てる誠也。そんなやり取りを見て朋美と椎名はクスリと笑う。
誠也「聡君こそ、その子ガールフレンドちゃうんかい?」
聡「ち…違うよ!!この子は、僕と同じクラスの朋美ちゃん。
入院中で学校に来れないから僕が授業の内容をメモしたノートとか持って来てるんだよ。」
誠也「へぇ、いいとこあるじゃん聡君!」

聡「それほどでも…。あっ!朋美ちゃん、誠也さんはね、チームAMKSの隊員なんだよ!」
椎名「えぇ?あのチームAMKSの隊員さんなんですか?」
驚いたのは椎名と朋美だけではない。周りにいた入院中の子供達も誠也の周りに集まる。
少年A「えぇ!?チームAMKSの隊員!?」
少年B「すげぇ!!」
少年C「サインもらっていいですか?」
押し寄せる子供達に驚き圧倒される誠也。でも嫌な気分ではない。
誠也「よっしゃあ!!じゃあ握手でもサインでも、何でもやったるでぇ!!」

子供達「やったー!!」
誠也は、病室の子供達の要望に応える為に、陽気に振る舞い、優しく接する。
怪獣災害時以外は縁も無いチームAMKSの隊員と触れ合えて、目を輝かせる子供達。
楽しい時間はあっと言う間に過ぎ、夕方、検査結果に異状がなかった誠也は、
AMKSドームに戻る為、聡と一緒に病院をあとにしようとする。
椎名「誠也さん!」
病院の玄関を出ようとした誠也を呼び止める椎名。
椎名「今日は色々とありがとうございました。」
誠也「いやぁ、そんな、お礼を言われるほどなんかじゃ…。」
礼を言われ、照れる誠也は、椎名が少し暗い表情を浮かべているのに気がつく。
椎名「あんなに明るい子供達を見たのは久しぶりで…。」
誠也「久しぶりって?」
椎名「子供達は不安なんですよ。自分の病気は治るのか。
せっかく病気が治っても、怪獣や宇宙人に襲われて命を落とすんじゃないかって…。

それを聞いて心が締め付けられる誠也。
椎名「私は、子供達の笑顔が好きなんです。苦しんでる子供達を助けて、
元気な笑顔にさせたいから小児科の看護師になったんです。
でも、今の私には子供達に寄り添う事しかできない…。」
突然、悩みを打ち明けられ戸惑う誠也。
誠也「子供達に伝えてください、
病気からは、椎名さんや、病院の先生がみんなを守るって!
怪獣や宇宙人からは、オレが、チームAMKSが、ウルトラマンフォルテが全力で守るって!」
そう言って、ガッツポーズを取り、少しカッコつける誠也。しかし、そのまなざしは真剣だ。
椎名「誠也さん…。」誠也の一言で、気持ちが前向きになる椎名。
誠也「寄り添うだけでもいいじゃないですか!
自分にできる事をすればいいんですよ…。
それじゃあ、椎名さん、失礼します。」
そう言って、聡と共に病院を後にする誠也。その背を見つめる椎名。

椎名「自分に出来る事か…。」
そう呟いた椎名は、誠也のようにガッツポーズを取り、笑顔を作って、子供達が待つ病室に戻る。
聡「誠也さん、カッコつけ過ぎ。」
誠也「い…いいだろ別に!」
誠也を冷やかして笑う聡。
その様子を、茂みの中から何かが伺っている。
聡「あれ?」
誠也「どないしたん?」
聡「今、そこに誰かいたような…?」
聡が異変に気がつき茂みを指差す。
誠也「気のせいやないのか?」
聡「だといいんだけど…。」
そう言い、その場を去る二人。
その後姿を、あの植物怪獣が茂みの中から不気味に見つめていた…。
一方、AMKSドームの作戦室では、メインモニターに植物怪獣の映像を映し出され、吾郎博士が今回の敵の解説を始めていた。
吾郎博士によると、敵は「人喰い植物怪獣ウツボガドラ」。
口から甘い香りを吐き、狙いを定めた獲物を操って誘い込み、捕食する、宇宙生物だと言う。
昨夜の事件は、怪獣が人間を操り、捕食しようとしたところを、たまたま通り掛かかった大地と誠也が邪魔になり、操った人々で襲撃したのだと言う。
吾郎「厄介なのは、この怪獣は、一匹いれば周りに五匹、いると考えられるべさ…。」
ボムス「あと五匹!?」
間宮「こんな奴、放って置く訳にはいかないわね…。」
あまりにも衝撃的な話に驚くチームAMKSのメンバー。
誠也「だったら直ぐに敵を叩きましょう!!」
大地「誠也!」
重い空気を破るように、作戦室に入る誠也。
誠也「奴らは人々を食べる為、いつ街に現れてもおかしくありません!みんなで手分けして奴を見つけ出し殲滅させましょう!」
ロベルト「お前いつになく気合いが入ってるけど病院で何かあったのか?」
ロベルトの一言にドキっとする誠也。
誠也「べ…別に!オレはいつも通りですよ!!」
慌てる誠也を見ながら不思議そうな顔をするメンバー。
奈緒「恋ですね…。」と、モニターを見つめながら奈緒が、全てを知っているかのように一人ボソッと呟いた。

こうしてチームAMKSによる敵の掃討作戦が開始される事になった。
大地とボムスは、それぞれチームAMKSの専用バイク「ヨコヅナ」で、誠也とロベルトは「ブシドー」で昨夜の事件現場の街に向かう。
ロベルト「こちらロベルト!五番地の路地裏でターゲットを撃破!」
大地「こちら大地。廃墟ビルでターゲットを撃破!」
ボムス「こちらボムス!地下通路でターゲットを撃破!」
誠也「こちら誠也!二番倉庫でターゲットを撃破!」
作戦室で待機しているジェイコブ隊長のもとには通信で各隊員から報告が入る。
ジェイコブ「よし、よくやった!残るはあと一匹のみだ!」
ここまで段取り良く敵を撃破してきたメンバー、しかし残りの一匹が発見されず、
捜査は夜遅くまで続くが、何の手掛かりも見つからない。
一方、夜の明りの少ない不気味な病院の外に、自転車でやって来た少年が一人、聡である。
どうやら、先程の不気味な気配が気になるようだ。
身を潜めるように慎重に病院に近付く聡。
しかし、その背後から突然の男に捕まってしまう。
白衣の服装から男は、この病院の医師だと思われる。
どうやらウツボガドラの吐息で操られているようだ。
聡「離せ!離せぇ!!」
必死で抵抗する聡。しかし、男の力には敵わない。
聡は、無我夢中で男の手に噛み付き、隙をついて逃げ出す。
怯んだ男を目にもせず、聡はその場から走って逃げ去り、公衆電話ボックスに駆け込む。
聡からの通報を受け、ジェイコブ隊長は大地達四人に連絡を取る。
病院が、狙われていると聞いて、黙っていられない誠也は、ロベルトを連れ、急いで現場に向かう。
聡は、通報した、公衆電話ボックスで、チームAMKSの到着を待っていた。
すると、誰かが近付いて来る気配を感じ取る。
なんと、電話ボックスの周りを例の状況の人々が囲み、じわじわと歩み寄って来る。
万事休すかと思った、その時!誠也とロベルトを乗せたブシドーが到着。
ロベルトは、おとりになる為、迫り来る人々を格闘で応戦し、
誠也は隙を見て、聡を後部座席に乗せ、その場を突破する。

ブシドーを最高速度まで上げ、病院前に滑り込むように到着する誠也。
病院の中からは子供達の泣き叫ぶ声が聞こえてくる。
誠也は聡にブシドーの中で待っているように説得し、一人で病院内に突入する。
薄暗い内部、各病室や通路にいる筈の医師達や入院患者の姿が無い。
もう手遅れだったのか?誠也は焦る気持ちを抑え、通路を進み、子供達がいる小児病棟に向かう。
通路を進めば進む程、子供達の泣き声が近づき、到着した誠也が目にしたのは、子供達が互いに身を寄せ合い、震え上がっている光景だった。
朋美「誠也さん!!」
誠也「みんな、もう大丈夫やで!!」
しかし、子供達はまだ泣きながら震えている。
誠也が、子供達を励まそうと、手を伸ばしたしたその時!
突然、誠也は背後から何者かに両腕で首を絞められる。
誠也「し…椎名さん!!」
苦しむ誠也が見たのは、操られ、自分の首を絞めている椎名の姿だった。
椎名は、両手に力を入れ、誠也を絞め殺そうとする。
誠也「子供達の笑顔が好きなんやろ…?」
苦しみながら口を開く誠也。
誠也「子供達の笑顔が好きなんやろ!見てみい!みんな泣いてるやないか!」
振り絞る声で叫ぶ誠也。
それを聞き椎名の目には、泣きながら震えている子供達が映る。
すると突然、腕の力が抜け、誠也の首から両腕を放す。
椎名「私は…一体?」誠也「子供達を想う気持ちが、怪獣に勝ったんや!」
自分に何が起こったか分からない椎名の肩をポンと叩き、誠也が優しく声をかける。
しかし、今度は廊下が何やら騒がしい。
怪獣に操られた医師や、入院患者達がゆっくりと小児病棟に向かって来ているのだ。

誠也「椎名さん、子供達と下がっていて下さい!」
子供達を守る為に必死に両手に持ったアンカスガンで応戦し、次々に操られた人々を、その場に倒す誠也。
しかし、その目の前に操られ、アンカスガンを構えたロベルトが現れる。
驚く誠也をよそに、何も言わずアンカスガンをレーザーガンモードで誠也を狙い、がむしゃに撃ってくるロベルト。
誠也は必死に交わすものも、遂にロベルトの攻撃がかすり、バランスを崩しその場に膝をつく。
これまでかと誰もが思った、その時!突然、ロベルトが大きく崩れ、倒れ込む。
後ろには病院内を聡に案内されて駆け付けた、大地とボムスがアンカスガンを構えて立っている。
聡「何とか間に合った…。」
ボムス「誠也、子供達を連れて、ここを離れるぞ!」
誠也「了解!」
操られていた人々は、その場に置き去りにし、誠也達は子供達を連れ非常口へ向かう。
途中、奈緒から通信が入り、病院の地下にある霊安室から宇宙生命体反応をキャッチしたとの報告を受け、大地だけが、みんなの元を離れ、霊安室に向かう。
非常口に向かう際にも、操られた人々は次々に現れるが誠也とボムスは難無く倒し、前へ進む。
大地も、操られた人々と何度も遭遇するが、軽々と倒して、霊安室に到着する。
室内の奥に潜んでいた、一匹のウツボガドラは不気味に笑いながら両腕の蔦で大地に襲いかかるが、大地はこれをかわして、アンカスガンで敵を撃つ。
体をレーザーで貫かれ倒れる怪獣を目の前に、ターゲット撃破の報告を入れようとする大地。
だが、怪獣は再び、ゆっくりと起き上がり、不気味に笑いながら体を急激に成長させる。
通信で誠也達に早く病院の外に脱出するように呼び掛ける大地を目の前に巨大化を続けるウツボガドラ。
激しい震動と共に少しづつ崩れる病院から無事に外に出る誠也達。後を振り向くと、全長五十メートル程に成長したウツボガドラが笑いながら暴れている。
崩れゆく霊安室で大地はインプラズマを手に取りウルトラマンフォルテに変身し、怪獣を目の前にして構える。
誠也とボムスは、この場をフォルテに任せて子供達と椎名を連れ、安全な所に向かおうとするが、ロベルトを先頭にした操られた人々が、目の前から迫って来る。
聡「いくらなんでも、しつこ過ぎるよ!」
誠也「上等やないか!子供達と椎名さんには指一本触れさせねぇ!!」
そう言い、誠也とボムスはアンカスガンで構え、操られた人々に勝負を挑む。
病院を背に戦うフォルテとウツボガドラ。
怪獣は、その場からあまり動かず、腕である蔦を伸ばし、フォルテに攻撃を仕掛ける。
しかし、フォルテは軽々と攻撃をかわし、逆に蔦を掴み、怪獣を投げ飛ばす。
倒れて起き上がろうとすり怪獣に、空かさず打撃攻撃で攻めるフォルテ。
しかし、突然怪獣が吐き出した息にフォルテは体の自由を奪われる。
さらに怪獣は蔦を絡みつけ、口から吐き出す溶解液でフォルテを圧倒し、不気味に笑いこける。
子供達を守る為に戦っていた誠也とボムスは、アンカスガンが弾切れになり素手で人々に挑むが、その数に圧倒され、絶対絶命の危機に陥る。
今度こそ終わりかと思われた時、ジェイコブ隊長を乗せた一号機が現場上空に到着。
吾郎(通信)「待たせたな、みんな!対ウツボガドラ用、完成したばかりの、とっておきが到着だべさ!」
そう通信機から吾郎博士から連絡が入ったのと同時に、ジェイコブ隊長は一号機から消臭弾を発射。
弾は白い煙を発生させ、ウツボガドラの催眠ガスを中和させ、操られていた人々は、その場に倒れ、
フォルテの体も、本来の感覚がよみがえる!
カラータイマーを点滅させながらも完全復活を遂げたフォルテは、体に絡みついた蔦を、破り抜け、慌てふためく怪獣に向けフォルテッシモインパルスを放ち、撃破する。
恐るべき怪獣の最期と、恐怖から開放され歓喜に溢れる子供達に見送られ、フォルテは朝日が昇り始めた空へ去って行く…。
…数日後、誠也とボムス、ロベルトに大地の四人は、後片付けが終わり、復興しつつある病院の子供達のもとを訪れる。
ちょうど外で遊んでいた椎名と子供達はメンバーに詰め寄る。
椎名「この前は、どうもありがとうございました!」
誠也「いやぁ、オレ達は当然の事をしたまでですよ!」

ロベルト「おいおい、随分と調子がいいじゃないか誠也!」
ボムス「調子がいいのはロベルト隊員じゃないですか!一人だけ操られてて何も覚えてないのに!」
ロベルト「そりぁ…その…。」
ボムスに突っ込まれ慌てふためくロベルトを見て、一同どっと笑い出す。
誠也「あの、椎名さん!もし良ければ今度お茶でも…。」
みんなに気がつかれないように、こっそりと緊張をしながら椎名をデートに誘おうとする誠也。
しかし、タイミングが悪いところで通信機が鳴り、その声はかき消される。
ジェイコブ(通信)「お前達、どこで油を売っているんだ!今から臨時の作戦会議がある。すぐに本部に戻ってくるんだ!」
大地「了解。みんな、急ぐぞ!」
誠也「何でこのタイミングで…。」
ボムス「ん?どうした誠也?」
誠也「いや…ハハハ…何でもないです…。椎名さん、それじゃあ、また来ますので…。」
苦笑いをして肩を落とし、椎名に挨拶をする誠也。
作戦室で椅子にもたれかかる奈緒は
奈緒「恋なんて、そう上手くいくもんじゃないんですよ。」
と、全てを知っているかのような口調で、コーヒーを飲みながら一人呟いていた。

次回予告
傷ついた少年の心につけ込む宇宙怪人。
心の闇をエネルギーにして暴れるサイボーグ怪獣。
卑怯な作戦に怒りを爆発させたロベルトは、大切なものを取り戻すため、今、侵略者に挑む!
次回「大切な友達(アミーゴ)」
(電脳宇宙怪人フラマ星人、怪獣兵器ダイート登場)
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第7話「大切な友達(アミーゴ)」(電脳宇宙怪人フラマ星人、怪人兵器ダイート登場)
放課後、校庭に集まった子供達。
彼らは、数日後に迫った、地区対抗ドッチボール大会に向けて練習をしているのである。
慎太郎「おい幸彦!ちゃんと取れよ!」
大柄で、子供達のリーダー的存在の慎太郎の罵声が一人の少年に向けられる。
少年の名前は、内田幸彦。
運動神経が悪く、気が弱い少年である。
篤「はぁ…。幸彦がいたら大会で勝てっこなんかないよ!」
憎らしい事を言うのは、慎太郎にいつもついて歩き、嫌味な口調が特徴の篤である。
聡「二人とも、そんな言い方は良くないよ!」
三人と同じクラスの聡は、唯一、幸彦の味方である。
しかし、幸彦がチームにとって足手間取いなのは事実。
他のチームメイトも幸彦を白い目で見る。
慎太郎と篤は、どうせ負けるのに、必死に練習するのが馬鹿らしくなってランドセルを背負い、不満をもらしながら帰ってしまう。
それに続くように他の子供達も、塾だ門限だと、適当に理由を作り、校庭には聡と幸彦の二人だけが残ってしまう。
幸彦「ごめんね、聡くん…。」
聡「気にする事ないよ。それより、今から、おもいっきり練習して、明日みんなを驚かせようよ!」
落ち込む幸彦を励ます聡は、二人だけで練習を続けようと提案し、つきっきりで指導を始める。
夕陽が沈む校庭で一生懸命練習する二人、しかし幸彦の腕は簡単には上達しない。
幸彦の投げたボールは、まるで違う方向へ飛び出し、校門をくぐり抜け、車道をたまたまパトロールのため走っていたチームAMKSの専用車「ブシドー」にぶつかる。
今日のパトロールは、ロベルト一人で行っているようだ。
幸彦「うわぁ…ごめんなさい!」
聡「ごめんなさいロベルトさん!」
ブシドーから降りて、ボールを抱えるロベルトに、慌てて謝りながら駆け寄る二人。
ロベルト「いいって!気にする事ないよ!子供が、友達と元気に外で運動する事は大切な事なんだからさ!」
そう言いながらリフティングをして見せ、ボールを軽く蹴り、聡に渡すロベルト。

聡「ありがとうロベルトさん!幸彦くん、もう少し頑張ってみよう!」
そう言って練習に戻ろうとする聡。
幸彦「…いいよ。僕なんか練習なんかしたところで上手くなんかならないんだ。」
そう呟き帰ろうとする幸彦。
聡「幸彦くん…。諦めないで、頑張ろうよ!」
しかし幸彦は、首を縦に振らない。
聡「そっか…、じゃあ幸彦くん、また明日頑張ろうね!」
幸彦「聡くん、君は優しいんだね…。」
聡「だって僕達、友達じゃないか!」
その言葉に勇気づけられる幸彦。
幸彦「うん。ありがとう、聡くん…。じゃあまた明日…。」
聡に励まされ少しだけ明るさを取り戻し、帰っていく幸彦。
ロベルト「あの子、ちょっと元気がなかったけど…。」
幸彦の後ろ姿を見つめるロベルトが、心配そうにそう呟くのであった…。
日が沈み、団地内を歩きながら幸彦は今日の出来ごとを振り替える。
慎太郎と篤のキツい一言、チームメイト達の冷たいまなざし…。
思い出すだけで嫌になってくる。
フラマ「坊や、この星は実に不愉快な世界だと思わんかね?」
突然、声をかけられ、振り向く幸彦。
そこには、マンションの屋上から腕組みをし、幸彦を見下ろす等身大サイズの宇宙人が立っていた。
銀と黒の宇宙金属でできた強化スーツに身をまとった電脳宇宙怪人フラマ星人である。
声の主が宇宙人だと分かり、驚いて腰を抜かす幸彦。
フラマ「そんなに怖がらなくてもいい、君は、この世界で生きていくのが嫌になったんだろう?」
幸彦「そ…それは、そんな事ないけど…!」
フラマ「フフフ…。強がらなくても良い、安心したまえ、この世界が無くなれば、君にはもっと素晴らしい世界が待っているんだよ?」
世界が無くなる、そんな事は、あってはならない事だというのは分かっている。
しかし、もし無くなれば、嫌な思いなどしなくてすむ…。
そんな思いが少しだけよぎる幸彦。
フラマ「君にプレゼントをあげよう。これが君を正しい方向に導いてくれるはずだ。」
そう言いながら、星人はサッカーボール程の大きさの不気味な機械を渡す。
幸彦は戸惑いながら物体を両腕で受け取り、色々な事を考える。

辛い思いをしたのは今日に限った事ではない。いっそ、こんな世界など無くなってしまえば…。
フラマ「そのプレゼント、きっと、気に入ってくれると思うな…。」
そう言いながら、幸彦を見下ろし、星人の侵略は始まったのである…。
その頃、学校から少し離れた河川敷にブシドーを停めて、夕陽を見つめるロベルトと聡。
ロベルト「そっかあ、そんな事があったのか…。」
幸彦の落ち込んでいた理由を聡から聞き、相づちを打つロベルト。
ロベルト「でも、聡くんみたいなアミーゴが側にいるなんて、幸彦くんには、いいことだよなぁ…。」
聡「えっ…?」
ロベルト「ちょっと、オレの子供の頃の事、思い出しちゃってさ!
オレ、子供の頃は孤児院で育ってさ、親がいないからって学校でからかわれてた時期があってさ…。」
聡「えっ!?ロベルトさんに、そんな時期があったの?」
ロベルト「意外だろ?でも、そんな時に、同じ孤児院のアミーゴ達がオレの支えになって、力を与えてくれたんだ…。」
聡「友達が力を与えた…?。」
ロベルト「あぁ、そう!みんなとの深い友情があったから、オレは、そんな辛い事にも負けずに、毎日を楽しく過ごす事が出来たんだよ。」
ロベルトの話を聞き入り、友達の事を、改めて深く考える聡。
ちょうど、その時、ロベルトに、ジェイコブ隊長から通信が入る。
今、ロベルトと聡のいるエリア付近から謎のエネルギー反応を、奈緒がキャッチしたのだと言う。
ジェイコブ隊長に命令により、ロベルトは聡と別れ、ブシドーに乗り、現場の調査に乗りだすのであった…。
しかし、調査は難航し、陽が沈み、すっかり夜になった団地を、小学校の屋上から見下ろす二人の影、幸彦とフラマ星人である。
冷たい表情で、辛い日々を思い出す幸彦。手に持った物体は幸彦の感情と共に、黒く、不気味に光を放つ。
フラマ「素晴らしい、まさか、こうも簡単に計画が進むとは…。」
そう言うと、星人は腕についた発信機で、宇宙金属で覆われた、巨大な卵型の物体を、空から呼び込む。
団地に、砂煙を巻き起こしながら落下した物体の中からは、二足歩行型で、頭部、胸、両腕、両足を特殊な機械で改造された恐竜型の宇宙怪獣が現れる。
怪獣兵器ダイートである。
星人は幸彦に、さらに辛い事を思い出させ、この先、この世界で過ごしていても、さらに辛い日々が待っているんだとけしかける。
幸彦の心が深く沈んだ時、両手に抱えていた物体が、強烈な黒い光を放ったのと同時に、ダイートが眼を覚まし、破壊活動を始める。
突然、姿を現わし、暴れ狂う怪獣を背に逃げ惑う人々。
いち早く現場に駆け付けたロベルトは、怪獣にアンカスガンで攻撃をし、人々の避難誘導を始める。
怪獣出現の一報を受け、ジェイコブ隊長は一号機で、ボムスは二号機、誠也は三号機で出撃し、大地はロベルトと合流し、避難誘導を行うため、チームAMKS専用バイク「ヨコヅナ」で現場に急行する。
チームAMKSのメンバーは、怪獣に向かい攻撃を開始するが、まるで通用しない。
ロベルトと大地が地上から援護しても状況は変わらず、ダイートは両腕からは破壊光線、口からはミサイルを発射してチームAMKSを追い詰める。
その時、逃げ惑う人々とは逆方向に聡が走って来る。
慌てて聡を引き止めるロベルトと大地、聡は幸彦を探しに来たのだと言う。
聡「いつもなら帰って来る時間は、とっくに過ぎているのに、幸彦くん、いつまでたっても帰って来なかったんだって!怪獣も出て来るし、きっと何かに巻き込まれたんじゃないかと思って、僕、戻って来たんだ…。」
聡が心配そうに、そう言った時、作戦室の奈緒から通信が入る。
奈緒の調べによると、怪獣を操っている謎の電波が小学校の屋上から放射されていると言うのだ。
聡「きっと、そこに幸彦くんがいるんだ!!」
そう言い、小学校に向かい駆け出す聡。
ロベルト「聡くん!待つんだ!」
聡を止めようと、共に駆け出すロベルト。
大地は二人が、この場を去るのを確認し
、ウルトラマンフォルテに変身、ダイートの前に立ち上がる。

しかし、敵はチームAMKSの攻撃を、ものともしない強靱なボディを兼ね備えており、フォルテの打撃攻撃も、まるで通用せず、平然としている。
逆に、物凄い力でフォルテを叩きのめすダイート。
殴り飛ばされ、倒れ込むフォルテに向け、胸や膝、両腕からミサイルを発射する。
フォルテは、よろめきながら立上がり、フォルテバリアーを貼る。しかし、無数のミサイルにバリアーは耐えきれず、突き破られ、ダイートが口から発射した大型ミサイルがフォルテに命中する。
この一撃を受け、地面に崩れるフォルテ、チームAMKSの攻撃も相変わらず通用しない。
この絶対絶命の危機の中、聡とロベルトの姿は怪電波の発信源である小学校にあった。
ロベルト「聡くん、ここは危険だ!」
聡「でも、ここに幸彦くんがいるんだ!友達のピンチを放っとけないよ!」
聡を引き止めようとしたロベルトは、友を想う一言に、心をうたれる。
ロベルト「よし、分かった。幸彦くんを見つけたら、連れ出して、すぐに逃げるんだよ?いいね?」
ロベルトの説得に黙って頷く聡。
二人は校内に突入し、屋上に向かう。
屋上では、さっきよりも黒い光が増した物体を持っている幸彦と、破壊されゆく街を眺めるフラマ星人の姿があった。
ロベルトは星人を撃とうと、アンカスガンを構えるが、星人は腕から光弾を放ち、それを正面から受け、ロベルトは、その場に崩れる。
フラマ「邪魔をしないでもらえるかな?」
星人の声をよそに、再び立ち上がろうとするロベルトに、今度は幸彦が、両手に持った物体から、黒い光弾が放つ。
光弾を避けきれず、直撃を受け、ロベルトは再び地面に倒れる。
聡「ロベルトさん!」
叫びながらロベルトに駆け寄る聡。
聡「幸彦くん、どうして?何で、ロベルトさんを攻撃するの?」
フラマ「彼は、この世界が嫌になったんだよ…。」
ロベルト「この世界が、嫌になった…?」
悲しそうに幸彦に問い掛ける聡と、よろめきながら立上がるロベルトに、星人は御丁寧に解説を始める。
フラマ「そう…。だから彼は、私の計画の助手に選ばれたのだよ…。」
ロベルト「計画…?」

フラマ「私の計画は、全宇宙の完全制圧にある。
その為に、宇宙最強の侵略兵器を作り上げなければならないのだ。」
聡「宇宙最強の侵略兵器…?」
フラマ「そう、そこで私は最強の兵器に必要な、最強のエネルギーを求めて、この星に来たのだ。そして、見つけたのだよ、そのエネルギーを…。それは人間の心の闇だ。」
ロベルト「心の闇…?」
フラマ「彼(幸彦)が持っているのは、心の闇をエネルギーに変換して蓄積するマシーンだ。
さっきのように武器としても使えるが、本来の目的は、マシーンに溜ったエネルギーを、
特殊な電波に変換して放出し、怪獣兵器ダイートにエネルギーを与えて操るコントロールマシーンなのだ。」
そう言いながら、星人は、聡とロベルトを見つめる。
フラマ「さぁ、幸彦くん。この邪魔な二人を、消し去るのだ!」
星人に指示され、冷たい表情で、二人に歩み寄る幸彦。頭の中は今までの辛い日々が駆け巡る。
聡「幸彦くん、どうして…。」
フラマ「言っただろう?彼はこの世界が嫌になったんだ。」
聡「幸彦くん、この世界が嫌になったって、僕の事も嫌いになったの…?」
その言葉に幸彦の動きが止まる。
幸彦「聡くん…?」
戸惑う幸彦。その手に持つコントロールマシーンの黒い光も次第に弱まる…。
フラマ「どうしたのだ!?何が起きたのだ?」
聡「答えてよ!幸彦くん!!」
幸彦「そんな事ない!!僕が友達を…聡くんを嫌いになるわけなんかない!!」
必死に呼び掛ける聡に、我を取り戻した幸彦が叫ぶ。
どんなに辛い時にも、いつも聡だけは味方でいてくれた事、支えになってくれた事を幸彦は思い出す。
聡「良かった…。嫌いになったわけじゃないんだね…。」
嬉しそうに、今にも泣きそうな顔の聡。
幸彦の持つコントロールマシーンの黒い光が今にも消えそうになり驚く星人。
フラマ「バカな!?一体、どういう事だ!?」
ロベルト「残念だったな…。この星には、心の闇なんかより強力なエネルギーがたくさんあるんだ!!例えば…友情とかな!!」
ふらふらと立上がり、アンカスガンを構えて星人を撃ち抜くロベルト。

聡「幸彦くん!!その機械を捨てるんだ!!」
聡がそう叫ぶと、幸彦は頷き、星人に向かってコントロールマシーンを投げる。
その投げ方は、まるでドッチボールのように…。そう、聡との練習の成果が、今、実ったのである!
アンカスガンのビームが体を貫き、胴体にぶつかったコントロールマシーンと共に火花を散らしながら倒れるフラマ星人。
フラマ「この私が、私の宇宙侵略が…。」
星人は無念の言葉を残し、大爆発を起こす。
コントロールマシーンからの指示が無いと、何も出来ないダイートは、狂ったように、わけの分からない動きをしながら、暴れ出す。
さっきまでの怪獣とは、まるで別人…いや、別怪獣だ。
ダイートは、デタラメな動きを繰り返し、体中からミサイルを全弾発射する。
カラータイマーが激しく点滅をする中、立ち上がったフォルテは、サイキックアタックを発動させ、向かって来るミサイルの動きを宙に封じ、怪獣に向け投げ返す。
全てのミサイルが直撃し、大爆発を起こすダイート。
フジヤマ各機では、ジェイコブ隊長、ボムス、誠也が、それぞれ勝利を喜び、カラータイマーが激しく点滅するフォルテは両手を拡げ、空に飛び去る。
幸彦「ありがとう…聡くん!!」
聡「いいんだよ!僕は幸彦くんが無事だった、それだけでいいんだから!!」
喜びを分かち合う聡と幸彦。
ロベルト「二人ともよくやったぞ!!君達の友情が星人の野望を打ち砕いたんだよ!!」
そう喜びながら二人を抱き上げるロベルト。
そんな三人の様子を、フォルテから変身が解け、フラつく足取りで屋上に上がって来た大地は、優しく微笑みながら見つめるのであった。
数日後、子供達の歓声に包まれる中、行われるドッチボール大会。
パトロールの途中で、ブシドーを降り、大会が行われている小学校の校庭を見つめるロベルトと大地。
そこには、見事なコンビネーションでプレーする聡と幸彦の姿があった。
慎太郎「すげぇな、幸彦のやつ!」
篤「あれから毎日、聡と一生懸命、練習したんだってよ。」
幸彦の成長ぶりには、チームメイト達でさえ、目を丸くする。
試合に勝ち、ロベルトと大地に気がついた幸彦は、聡と肩を組みポーズを決める。
その姿を見て、ロベルトも大地と肩を組み、同じポーズを取り、思いっきり微笑むのであった…。

次回予告
多々良島で消息を絶った、高レベル放射性廃棄物を積んだ一機の輸送機。
行方不明者を救助する為に島を訪れたチームAMKSの前に現れる怪獣の王者、レッドキング。
しかし、そのレッドキングは放射性廃棄物を飲み込んでいて攻撃が出来ない!
どうする?チームAMKS!ウルトラマンフォルテ!
次回「孤島の戦慄」(どくろ怪獣レッドキング、友好珍獣ピグモン、岩石怪獣ロワ、灼熱怪獣ヴォルケレス登場)
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ウルトラマンフォルテ第8話「孤島の戦慄」(どくろ怪獣レッドキング、友好珍獣ピグモン、岩石怪獣ロワ、灼熱怪獣ヴォルケレス)

日々、進歩する科学。文明の発展は、私達の暮らしを、より豊かにしてきたが、その影では、多くの課題を残してきたのも事実である。
この日、原子力発電所から出た、大量の高レベル放射性廃棄物を地層処分する為、桜井機長兼操縦士、桑田研究員、そして大地の乗組員三名を乗せた、最新型小型輸送機「ピクシー三号」が多々良島を訪れていた。
この高レベル放射性廃棄物の処理法を巡っては、様々な議論が交わされており、その中で決定した、今回の多々良島での地層処分。この計画は多くの人々の注目を集めていた。
多々良島は、無人島ではあるが、多くの怪獣が生息する島としても有名で、今回の地層処分計画は危険がともない、非常にリスクが大きい。
その為、AMKSドームでは、万が一の事態に備え、チームAMKSのメンバーが待機し、作戦室のメインモニターで輸送機の様子を見守っているのであった。
ロベルト「しかし、いくら怪獣達だけの島とは言え、今回のプロジェクトは納得がいかんな…。
人間が楽に生活する為に使った道具を、使い終わったら、危険物だということを理由に、処分する方法や責任を互いに擦りつけあい、
くだした決断が自然に捨てる…、と、言う事にはな…。」
ボムス「それでも、誰かが、何らかの形で、やらなきゃいけない事ですからね…。」
これでいいのだろうか?と、疑問を抱きながらモニターを見つめるロベルトとボムス。
すると、輸送機の様子を映し出していたモニター画面が突然、乱れだし、異常を知らせる警報音が作戦室に鳴り響く。
ジェイコブ「何事だ?」
作戦室にいたメンバーが慌ただしくなる中、輸送機の機長から、助けを求める通信が入る。
桜井(通信)「こちらピクシー三号!システムに異常が発生!」
奈緒「落ち着いてください。詳しい状況報告をお願いします。」

奈緒の呼び掛けに応じ、大地が通信機を手に取る。
作戦室のモニター画面には、もうピクシー三号からの映像は映っていない。通信機による、音声のみが、頼りである。
大地(通信)「機体のエンジンが、何らかの形で、オーバーヒートを起こし…。」
ジェイコブ「大地?どうした!?」
桜井(通信)「操縦不能…!!うわぁぁ〜あ!!」
もの凄い音と共に、ピクシー三号からの通信は途絶える。
ジェイコブ隊長と奈緒が繰り返し呼び掛けるが、返事はない…。
大地が持っている、チームAMKS隊員が常に携帯している、通信機にも呼び掛けるが、
電波状況の悪い多々良島では、ピクシー三号に搭載された通信機とは性能がまるで違い、全く繋がらない。
ジェイコブ「これより、我々は多々良島へ向かう。ただし、今回のミッションは、人命救助が優先、怪獣達の相手は、その場の状況に応じ、必要最低限に止どめるんだ!」
メンバー「了解!!」ジェイコブ「チームAMKS、出動!!」
奈緒は作戦室にオペレーターとして残り、ジェイコブ隊長はフジヤマ一号機、ロベルトは二号機、ボムスと誠也は三号機に乗り込み、一同、多々良島に向かい出撃する。
現場に辿り着いた、チームAMKSのメンバーは、ピクシー三号が消息を絶った地点に向かい、完全に大破した機体を発見し、近くに着陸を行う。
ロベルト「これは、酷い…。」
救助機から降り、ピクシー三号に近付くチームAMKSのメンバー。
しかし、乗組員の姿は無く、積まれていたはずの、高レベル放射能廃棄物も見当たらない。
ボムスの調査で、ピクシー三号のエンジンは、外部から極度の高熱エネルギーを持つ物体が接近した事によりオーバーヒートを起こした事が判明した。
ジェイコブ「たしかに、この島、少し暑過ぎるが…。」
周りを見ながら不思議そうな顔をするジェイコブ隊長。
ボムス「隊長、このエリアに放射能反応はありません。」
ジェイコブ「何だと!?そんなバカな…。」
ボムス「信じられませんが、高レベル放射性廃棄物は、そっくりそのまま、ここから消えたとしか考えられません…。」
ボムスが放射能検知機で調べ出した不可解な事態に、頭を悩ませるジェイコブ隊長。
すると、突然、辺りを襲う、強い地震。

驚くチームAMKSのメンバーの前に、地中から砂煙りをあげ、灼熱怪獣ヴォルケレスが現れる。
この多々良島の異常な暑さ、そしてピクシー三号のエンジンをオーバーヒートさせた原因はコイツである。
誠也とロベルトは、現れた怪獣に向かい、アンカスガンを構えるが、ジェイコブ隊長は二人を止める。
最初に言ったように、今回は、人命救助が目的であり、怪獣退治をしに来たわけでは無い。
幸い、怪獣もチームAMKSのメンバーが目の前にいるのに、気がついていないようだ。
そうとなれば、早速、大地達の捜索に向かおうとするチームAMKS。
しかし、今度は、何かが近付いて来る、大きな物音に気がつく。
密林の木々をなぎ倒し、目の前に現れたのは、どくろ怪獣レッドキングである。
ジェイコブ「相手にするな。奴も、また、我々に気がついていない。本来の任務を遂行する…。」
そう、ジェイコブ隊長がメンバーに指示を出し、改めて捜索に向かおうとする一同。
しかし、その時、ボムスが持っていた放射能検知機の警戒音が鳴り響き、予想外の所から放射能反応をキャッチする。
ボムス「隊長…、あのレッドキング…、ピクシー三号に積まれていた、高レベル放射性廃棄物を、全て丸飲みにしています…。」
ジェイコブ「何だと!?」
ボムス「間違いありません。もし、レッドキングが爆発を起こしたとすると、その爆風で、
地球の30分の1は放射能汚染にさらされ…。日本はもちろん、アジア、西アメリカは、確実に壊滅します…。」
ボムスの推測に、誰もが表情を凍りつかせる。
レッドキングにとっては、そんな事は、知ったことではない、自分の縄張りに現れたヴォルケレスを目の前に、指を鳴らし、戦闘態勢に入る。
誠也「あかん!二匹が戦って、もしレッドキングが負けたら…!!」
焦るチームAMKSを背に、猛突進でヴォルケレスに向かうレッドキング。二匹の怪獣は、互いの腕力を存分に発揮し、強大スケールの攻防戦を繰り広げる。
力では、レッドキングが勝り、ヴォルケレスを追い詰める。
しかし、ヴォルケレスはマグマエネルギーを体中に巡らせ、高熱を発し、急激に赤みを帯びていき、体から蒸気を出し威嚇を始める。
第2話でフォルテと戦ったヴォルケレスと同じ戦法である。
そんな事、知るよしもないレッドキングは、ヴォルケレスに掴みかかるが、相手の尋常じゃない体温に、ダメージを受け、慌てる素振りを見せながら後退する。
ヴォルケレスは、一気にかたをつけようと、口から灼熱の炎を吐き出す。
これがレッドキングに直撃をし、大爆発を起こしたら、先程言ったように、地球の30分の1は放射能汚染で壊滅である。
ジェイコブ「まずい!!」
チームAMKSのメンバーが冷汗をかき見つめる中、レッドキングは近くにあった大きな岩を持ち上げ、迫り来る炎を完全に防ぎ、炎を吐き終えたヴォルケレスに向け、その大きな岩を放り投げる。
岩が直撃して、倒れ込むヴォルケレス。
レッドキングは、相手の高熱の体など、お構いなしに容赦無く襲いかかり、蹴り跳ばし、のしかかり、その拳で、ヴォルケレスの特徴でもある背中の結晶体を次々に破壊する。
無惨な姿で、絶命をするヴォルケレスを背に、勝利の雄叫びをあげ、レッドキングは悠々とその場を去って行く。
この広い多々良島は、何十匹と怪獣が生息する怪獣無法地帯である。
いくら、レッドキングが最強と言えど、縄張り内で、他の怪獣の遭遇する度に、
戦闘を繰り返すのであれば、いつか敗れる事があっても、おかしくない。
あのレッドキングの最期、大規模な核爆発を意味する。
もはや、一秒も無駄な時間は無い。
ジェイコブ隊長はボムスに、三号機に乗って上空からの捜索を指示し、ロベルトと誠也を連れて、地上からの捜索を再開する。
一方、薄暗い洞窟の中、目を覚まし、起き上がる大地。
桑田「やぁ、気がついたかね?」
大地「桑田研究員?ここは…?」
その時、洞窟の出入り口に、赤い体に白い手足の、一匹の等身大の怪獣が現れる。
大地「あれは、過去の資料で見たことある…。たしか、友好珍獣ピグモン!」
桜井「我々を助けてくれたのは彼らだ、この洞窟は、恐らくコイツの住家なんだろう…。」
桑田「負傷した我々を、ここに運んで来たのも、このピグモンなんだよ。」
桑田研究員にそう言われ、自分がどうやって助かったか理解する大地。
大地「そうか…、ありがとうピグモン!」
大地がお礼を言うと、嬉しそうに頷くピグモン。

大地「そういえば、ピクシー三号は…?」
桜井「完全に大破してしまったよ…。」
大地「そんな…。オレがついていながら、すみません…。」
桑田「なぁに、君のせいじゃないさ。」
桜井「それより、高レベル放射性廃棄物の確保が優先だ。それに、チームAMKSの方々が、我々の救助に島を訪れるだろうから、どこか一目のつくところに移動しよう。」
大地「それなら、オレが今、隊長達と連絡を取ってきます!」
大地は、洞窟の外に出て、通信機を使ってジェイコブ隊長達と連絡を取ろうとするが、電波状況が悪くて繋がらない。
大地「参ったな…。」そう呟きながら空を見上げる大地。
その後ろから、ピグモンが励ますように、大地の肩を叩き、桜井機長と桑田研究員も洞窟から出て来る。
桜井「こうなれば、自力で行こうじゃないか!」
桜井機長の言葉に頷く大地と桑田研究員。
すると、ピグモンが突然、跳ね回りながら騒ぎ始め、大地の袖を引っ張って洞窟に戻るように指示をするような仕草を見せる。
大地「ピグモン、いったい、どうしたんだ?」
ピグモンの行動に戸惑う大地。耳を澄ませると、何かが近付いて来るのが分かる。
桑田「怪獣だぁ!!」
桑田研究員が叫び、指を指す方向を見つめる三人。
大地達の見つめる方向から地響きをあげながら現れたのは、四足歩行型で、全身が岩のような頑丈な体を持つ、岩石怪獣ロワである。
怪獣は、目の前の大地達に、敵意を露にし、猛突進で襲いかかる。
大地はアンカスガンを素早く構え、煙幕弾を放つ。
辺り一面に立ち込める煙幕に怪獣は、大地達を見失う。
その隙に、大地は上空に向かい、アンカスガンから閃光弾を放つ。
怪獣が、頭上の輝く眩い光に気を取られている隙に、その場から退散しようとする大地達。
しかし、怪獣は、その場から去ろうとしている三人とピグモンに、気がつき、がむしゃらに暴れ、尻尾で付近にあった木々をなぎ倒す。
倒れた木の下敷きになり、身動きが取れなくなる桑田研究員。
そんな桑田研究員に狙いを定め、歩み寄る怪獣に向かい、大地はペイント弾をアンカスガンから発射、見事、怪獣の目に命中させる。
突然、視界を奪われ慌てふためく怪獣。

すかさず大地はアンカスガンから放つナパーム弾で怪獣を攻撃、敵の頑丈な体を粉砕する威力は無いが、確実にダメージを与えている。
視界を奪われた挙句、猛攻撃を受け、怪獣は、方向転換し、慌てて逃げ帰って行く。
一難去り、大地と桜井機長は、木の下敷きになった桑田研究員に駆け寄り、上に乗った木を退けようとする。
しかし、二人が力を合わせても重い木は、動かない。
大地「くそっ!!動いてくれ…。」
顔に汗を流しながら、必死に木を退かそうとする大地。
すると再び、大地達のいる地点に向かい、大きな足音が響き渡る。
桜井「さっきの怪獣が戻って来たのか!?」
慌てながらも、木を退かす事に全力を捧ぐ二人。
どうする事も出来ない大地達の前に姿を現したのは、放射性廃棄物を飲み込んだ、あのレッドキングである。
桜井「あれは、レッドキング!!」
目を見開きながら叫ぶ桜井機長。
桑田「私に構わず、逃げてください…!」
大地「そうはいきません!貴方を見捨てることなんか出来ない!!」
レッドキングは指を鳴らし、大地達に一歩、また一歩と近付く。
すると、突然ピグモンがレッドキングに駆け寄り、大きな声をあげながら、威嚇を始める。
大地「やめろピグモン!!」
大地が叫ぶのと同時に、無謀な戦いを挑んだピグモンは、レッドキングに軽く蹴られただけで数メートル飛ばされてしまう。
大地「ピグモン!!逃げろぉ!!」
大地の叫びが木霊する中、倒れているピグモンを踏み潰そうと片足を上げるレッドキング!
すると突然、レッドキングの、もう片方の足下に向け、上空からミサイル弾が放たれる。
ボムスが乗ったフジヤマ三号機が駆け付けたのである。
突然の攻撃に、その場に転倒するレッドキング。
ジェイコブ「待たせたな大地!!」
アンカスガンを構えながら、ジェイコブ隊長、そして、ロベルトと誠也も駆け付ける。
大地「隊長、みんな!!どうしてここに!?」
ロベルト「お前、さっき閃光弾飛ばしただろ?」
誠也「あの閃光弾が、大地さんのいる位置を示したんですよ!」
そう言いながら、桑田研究員の救助に取り掛かるジェイコブ隊長、ロベルト、誠也。
目の前では転倒していたレッドキングが、ゆっくりと起き上がろうとし、ピグモンは体を痛めたのか、動かず、ぐったりとしている。

大地「まずい、ピグモンを助けに行ってきます!!桑田研究員の事は、お願いします!」
桑田研究員をジェイコブ隊長達に任せ、ピグモンを救う為、アンカスガンを構えて、レッドキングに向かう大地。
しかし、ジェイコブ隊長の言葉が、大地の動きを止める。
ジェイコブ「待つんだ大地!奴に直接攻撃をしてはいかん!!」
大地「何故です!?」
ロベルト「奴はピクシー三号に積まれていた、高レベル放射性廃棄物を飲み込んでいる!!」
誠也「レッドキングが爆発したら、大規模な核爆発が起きます!!」
大地「何だって…。」
ジェイコブ隊長達の話を聞き、唖然とする大地。
しかし、そう言っている間にもレッドキングは起き上がり、戦闘体勢に入っている。足下のピグモンをいつ踏み潰しても、おかしくない状況だ。
考えている余裕は無い。大地は、再び走り出し、レッドキングに弾を命中させないように威嚇射撃を始める。
大地「こっちだ…!!こっちに来るんだ!!」
桑田研究員達や、ピグモンのいない方向にレッドキングをおびき寄せる大地。
ジェイコブ「大地!!無茶はよせ!!」
迫り来るレッドキングの猛攻を回避し続け、大地は、ジェイコブ隊長達から見えない場所でインプラズマを取り出し、ウルトラマンフォルテに変身!!
レッドキングを前に構える。
フォルテの登場に、安堵の色を浮かべるジェイコブ隊長達は、桑田研究員を救出し、ピグモンを連れて後退する。
雄叫びをあげながら突進するレッドキング、フォルテは敵を受け止めようと構えるが、相手の強力のパワーに押され、突き飛ばされてしまう。
少しよろめきながら立ち上がったフォルテは、再び構え、打撃技でレッドキングに攻撃を仕掛ける。
しかし、フォルテの攻撃は、敵にまるで効いていない。
レッドキングは、涼しい顔で、反撃を開始し、打ちのめされるフォルテ、
ふらつきながら、腕を十字に組むが、核爆発の危険性があるので、フォルテッシモインパルスを放てない事を思い出す。
核爆発の危険になす術の無いフォルテに、容赦なく襲いかかるレッドキング。
三号機のボムスがフォルテを援護しようとするが、レッドキングに直接攻撃は出来ないので、威嚇射撃を続ける他無い。
カラータイマーの点滅が始まり、絶体絶命の危険に陥るフォルテ。

しかし、レッドキングが、フォルテにとどめをさそうと、猛突進して来たその時、フォルテはとっさにサイキックアタックを発動。
レッドキングを宙に浮かせて動きを封じ、メゾフォルテスラッシュを二手に放って、命中させ、気絶させる。
フォルテは気絶したレッドキングを持ち上げ、空に飛び立ち、大気圏を抜け、
宇宙へ抜け、地球を背にしてレッドキングの体を投げ飛ばす。
レッドキングの体は地球から遠くへ離れて行き、徐々に、その姿は見えなくなる。
レッドキングの姿が完全に見えなくなるまで見つめていたフォルテは、多々良島に引き返そうとし、体を地球に向け、ふと、動きを止める。
フォルテ(大地)「これが…地球…。」
そう、地球生まれで地球育ち、防衛軍の任務でも宇宙での仕事をした事が無い大地は、この時、生まれて初めて、自分の目で地球を見たのであった。
フォルテ(大地)「なんて綺麗な星なんだ…。」
テレビや写真では無い、目の前に輝く青い星、その美しさに、しばらく感動のまなざしで見つめる大地。
フォルテ(大地)「俺は、ウルトラマンとして、チームAMKSの隊員として、そして何より一人の地球人として、この地球を守らなきゃいけないんだな…。」
そう呟いた大地は、決意を新たに地球へ向かうのであった。
地球に戻った大地は、ジェイコブ隊長達と合流し、一同AMKSドームに帰還する。
桜井「助けて頂き、ありがとうございました!」
メディカルセンターで応急処置を受け、作戦室に姿を見せる桜井機長と桑田研究員。
ジェイコブ「いえ、任務を遂行しただけですから、礼には及びません…。」
お礼を言う桜井機長と桑田研究員に、笑顔で答えるジェイコブ隊長。
その時、作戦室の自動ドアが開き、奈緒に連れられて、手当てを受けたピグモンも姿を現す。
誠也「あれ?ピグモンがどうしてここに?」
桑田「ピグモンは、我々の命の恩人だ。この通りの怪我で、多々良島にいるのは危険だから、
しばらく私達の研究所で預かる事にしたんだよ。」
ロベルト「そうだったのか、良かったなピグモン!」
奈緒「早く元気になるのよ…。」
ロベルト達の暖かい言葉に、嬉しそうに頷くピグモン。
ふと気がつくと、大地がぼんやりとしている事に一同が気がつく。
どうやら、まだ初めて見た地球の光景に思い出し、考えごとをしている様子だ。
奈緒「どうしたんですか大地隊員?」
大地「あっ、いや、有害な物を自然に返さず、美しい地球と共に、
人類が暮らして行く方法って無いのかって、思ってさ…。」
地球を見て、今回の高レベル放射性廃棄物問題を振り返り、感じた疑問。
桑田「今は確かに、その明確な方法は残念ながら無いのかもしれない…。でも、私は必ず方法があり、人類がそれを発見する日が来ると思っている…。」
ボムス「人類が、方法を発見する日…?」
ジェイコブ「成功は、過去の過ちや努力の中に宿っているんだ。
人間が諦めず努力をする事で、必ず答えは見つけ出せると…。」
ジェイコブ隊長の言葉に頷く桑田研究員。
誠也「人類と自然が共存できる日…。そんな日が本当に来るんやろうか?」
誰にとも無く問い掛ける誠也の肩を叩き、陽気に振る舞うピグモン。
まるで、その日が来るのをピグモンは知っているかのようだ。
その様子を見て、一斉に笑いが広がる作戦室。
明るい未来は、私達人類の努力次第で、そう遠くない世界なのかもしれないのである…。

次回予告
ウルトラマンフォルテが倒した宇宙怪獣の残骸を食べ、相次いで怪獣化するカラス達。
東京の空を覆う黒い怪獣軍団を殲滅する為、フジヤマ二号機と共に大地が空へ飛ぶ!!
次回「増殖怪獣800匹」(宇宙怪獣ラチアータ、黒色怪鳥ラチード、融合怪鳥ネオラチアータ登場)
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第9話「増殖怪獣800匹」(宇宙怪獣ラチアータ、黒色怪鳥ラチード、融合怪鳥ネオラチアータ登場)
深夜、爆風と火柱で炎に包まれる東京H地区。
立ち並ぶ高層ビルは次々と崩壊する中、芋虫の様な顔、二足歩行型で恐竜タイプのボディだが、頭から足まで赤紫でゼラチンやスライムのようなブヨブヨとした体を持つ一匹の怪獣が暴れている。
地球に侵入して来た宇宙怪獣ラチアータである。
現場に急行したチームAMKSは、フジヤマ一号機に乗るジェイコブ隊長の指示で怪獣に攻撃を開始。
二号機のロベルト、三号機のボムスと誠也が上空から怪獣を攻撃する。
ブシドーで現場に駆け付けた大地はインプラズマを取り出し、ウルトラマンフォルテに変身し、ラチアータを向かい打つ。
怪獣の戦闘能力は低く、確実に敵を追い詰めるフォルテとチームAMKS。
フォルテは腕を十字に組み、フォルテッシモインパルスを放ち、怪獣を粉砕する。
ラチアータの体は、勢い良く飛び散り、町中のあちこちにスライムのような破片が地に落ちる。
ロベルト「こりゃ掃除が大変だぁ…。」
ジェイコブ「ここからは防衛軍の処理班の仕事だ。ミッション完了、各員、AMKSドームに帰還せよ!」
フォルテは空へと飛び去り、チームAMKSはAMKSドームへ帰還する。
しかし、この時は誰もが思ってはいなかった。この戦いは、まだ続いている事を…。
徐々に空が明るくなる早朝、全身白い特殊スーツを装着した地球防衛軍の第二処理班が、
怪獣の残骸の回収作業に入る。
現場となった街は、まだ煙が立ちこめる中、たくさんのカラス達が餌を求めて街に集まる。
街のゴミ捨て場や、道端に落ちている残飯を啄むカラス達。
しかし、一部のカラス達は防衛軍の処理班の横で、散らばっていたラチアータの残骸を食べ始める。
作業に邪魔になるのでカラス達を手で追い払う一人の作業員。
すると、その作業員は、怪獣の残骸を食べてしまった複数のカラスが、痙攣を起こしながら苦しんでいるのに気がつく。
作業員A「これは…。」
作業員B「怪獣の体に毒でもあったんじゃないのか…?」

ただならぬ状況に、苦しむカラス達を囲み、意見を交わす処理班のメンバー達。
その時、突然一人の作業員の叫び声があがり、驚きながら振り向くメンバー。
なんと、ラチアータによく似た体で、背中に翼を持つ、全身黒づくめで、赤紫色の瞳の鳥のような顔をした等身大の怪獣が作業員を襲っている。
慌てて他のメンバーが助けようとするが、
怪獣は一匹ではなく、次々に現れて処理班のメンバーも襲撃される。
必死に抵抗し、全力で怪獣達から逃れる処理班のメンバー。
そんな中、作業員の一人は、ラチアータの残骸を食べて苦しんでいたカラスが、徐々に怪獣の姿に変わるのを目撃するのであった…。
一方、AMKSドームでは、深夜のミッションから帰還し、
就寝していたメンバーが、慌ただしく隊員服を身にまといながら、次々と作戦室に駆け付ける。
ジェイコブ「いったい何事だ!?」
奈緒「東京H地区で怪獣が多数出現、作業中の処理班を襲撃中。
第二処理班から救援要請が出ています!!」
ジェイコブ隊長の問い掛けに、オペレーターとして情報収集をしていた奈緒が答える。
奈緒「東京H地区の防犯カメラにアクセス完了、
現場の映像をメインモニターに映します!!」
奈緒がそう言うと同時に東京H地区の一角に設置された防犯カメラから、
無数の怪獣が街を飛び回ったり、彷徨い歩いている映像が、メインモニターに映し出される。
ロベルト「こいつら、どっからわき出てきたんだ!?」
誠也「きっと、奴等は宇宙人か異次元人で、一斉に地球に攻めて来たんですよ!!」
メインモニターを睨むような目で見るロベルトと誠也。
奈緒「いえ、第二処理班から、街のカラスがラチアータの残骸を食べて
怪獣化したのを目撃したとの報告があります。」
ボムス「何だって!?」
大地「そんな…!オレのせいだ…。」
ウルトラマンフォルテになり、フォルテッシモインパルスを放って怪獣を粉砕し、
残骸を飛び散らせた大地は、責任を感じ、握った拳を机に叩きつけ、悔しそうにメインモニターを見つめる。
ジェイコブ「何を言っているんだ、大地のせいなんかではない。
むしろ、この様な危険性を視野に入れず、帰還するように指示をした私の責任だ!」
大地がウルトラマンフォルテだと知るよしもないジェイコブ隊長は、自分を責任があると責め始める。

間宮「いいえ、チームAMKSのミッションは宇宙怪獣ラチアータの殲滅でした。あなた達に非はありません。」
そう言いながら、吾郎博士と一緒に作戦室に入って来る間宮長官。
間宮「怪獣のコードネームは黒色怪獣ラチード、現在も数は増殖し続け、その数、推測百匹。」
誠也「ひゃ、百匹!?」
間宮「H地区に隣接するエリアの住民の避難は、完了していません。
怪獣を周囲のエリアに出すと、多数の被災者が出るのは必至です。
何としても、ラチードをH地区内にと止め、殲滅する必要があります。」
ロベルト「しかし、どうやって奴らを仕留めるんですか?
怪獣を倒して、またその残骸をカラスが食べたら、同じ事の繰り返しですよ?」
吾郎「そこでコイツを使用するんだ。」
ロベルトの疑問に答える為、吾郎博士は整備室の現在の様子をメインモニターに映し出す。
間宮「柳本班長、準備はできましたか?」
柳本(モニター)「フジヤマ二号機、スタンバイできました…。」
間宮長官の声にメインモニターに映る整備班の柳本班長が答える。
ボムス「あれは、まさか…。」
ロベルト「どうしたボムス?」
ボムス「間違いない…ネオQXだ…。」
驚くボムスが言う『ネオQX』とは、かつて科学特捜隊が、対ザラガス戦に使用したQXガンをもとに開発した、ビーム砲である。
ボムス「ネオQXは、三発しか完成せず、開発に二十年の歳月がかかったうえに、
その破壊的威力から使用が規制されているはず…。」
間宮「えぇ…、ボムス隊員の言う通りです。
しかし、もはやラチードを倒すには、ネオQXしかないと考え、
今回使用を許可する事にしました。」
誠也「しかし、三発しかないネオQXを、どうやって無数の怪獣達に撃つんです?」
菅野(モニター)「そこで、これを使います!」
誠也の質問に答える為に、久々の登場、整備班の若き女性整備士の菅野がメインモニターに映り、
彼女はフジヤマ二号機のライトをつけたり消したりする。
ロベルト「…どういう事だ?」
ジェイコブ「なるほど、もとはカラスの怪獣達を、
光り物に見せかけたライトでおびき寄せて、一点にまとまったたところを、撃つというわけか…。」

間宮「えぇ…、しかし、この作戦で必ず敵を引きつけれる保証はありませんし、
うまく敵がまとまったとしても、全ての敵を撃ち抜くというのは至難の技です。」
間宮長官の説明に静まりかえる作戦室、たしかに今回の作戦は、高度な技術が要求される。
大地「しかし、これしか方法は無いんですね…。」
大地の言葉に頷く間宮長官。
大地「この作戦、オレにやらせてください。」
大地が作戦に自ら志願するのは、フォルテッシモインパルスで
ラチアータを粉砕してしまった自らの責任から出たものであった。
ジェイコブ「ふむ、たしかに今回のミッションには、大地の腕が適しているな…。
よし、フジヤマ二号機の操縦を任せたぞ、大地!」
大地「了解!ありがとうございます!」
そう礼を言って意気込む大地。
間宮「それでは、大地隊員はフジヤマ二号機でラチードの殲滅、
ジェイコブ隊長達は
地上からフジヤマ二号機を援護、第二処理班の救助をお願いします。」
メンバー「了解!!」
ジェイコブ「チームAMKS、出動!!」
整備室に向かい、フジヤマ二号機に乗り込む大地。
ジェイコブ隊長とロベルトは、それぞれチームAMKS専用バイク「ヨコヅナ」に乗り、
ボムスと誠也はチームAMKS専用車「ブシドー」に乗り現場に向かう。
奈緒「各員に連絡、ラチードの数は、現在八百匹にまで増加、十二分に警戒してください。」
AMKSドームから現場の状況を報告する奈緒。
ボムス「八百匹か、随分増えたな…。」
誠也「まるでゲームセンターのゾンビを撃つゲームみたいですね…。」
ボムス「そんな簡単なモンじゃないだろ…。」
東京H地区では次々とカラス達が怪獣化し、街を徘徊している。
一匹のラチードが飛び立とうとしたその時、突如、怪獣の体をレーザー光線が貫く。
現場に到着したブシドーのレーザー砲からの攻撃である。
ブシドーの存在に気がついた怪獣達は、一斉に襲いかかろうとするが、
ヨコヅナから降りたジェイコブ隊長とロベルトにアンカスガンで次々と撃ち抜かれ、その場に崩れる。

倒れた仲間達を前に動揺して怪獣達が怯んだ隙に、
ブシドーの運転席から降りてアンカスガンを構えるボムス、助手席から降りてアンカスガンを二丁構える誠也。
二人とも、さっきブシドーの中で雑談をしていた時とは、まるで目が違う、鋭い眼差しだ。
奈緒「チームAMKS地上部隊、東京H地区に入りました。まもなく第一、第三処理班も現場に到着します。」
現場の状況を、奈緒が少し早口で間宮長官に報告する。
吾郎「ん?なんで第一処理班と第三処理班も現場に向かってるんだ?」
いつものなまった口調で質問する吾郎博士。
間宮「カラスが怪獣の残骸を食べなければ、怪獣の増殖は防げます。
ネオQX以外の武器で倒したラチードは…。」
吾郎「なるほど…。処理班に回収させて、怪獣化を防ごうってわけか…。」
間宮長官の作戦を理解して深く頷く吾郎博士。
その頃、大地を乗せたフジヤマ二号機は、いよいよ現場の上空に到着。
大地「東京H地区上空に到着、これより作戦に移ります。」
二号機は低空飛行でH地区内を回り、ラチード達の注目を集めてから、一気に高度をあげ、ライトを点滅させる。
突然現れて、宙に輝く二号機に、目を奪われるラチードの集団。
一匹、また一匹と、空に吸い寄せられるかのように、怪獣達は、次々と二号機に向かい飛び立つ。
吾郎「よしっ!!いいぞ!」
奈緒「…。」
メインモニターに映る現場の映像を見て、興奮する吾郎博士の横で奈緒は黙って二号機を見守る。
大地「来たか…。」
地上から迫り来る怪獣達から逃れるように、大地は二号機を反転させて後退する。
間宮「チャンスは三回のみ、出来るだけ多くのラチードを引きつけてから撃つのよ!」
大地「了解!!」
間宮長官の指示を受け、向かって来るラチードの大群にネオQXの標準を合わせる大地。
大地「まだだ、まだ引きつけられる…。」
思わず独り言を呟き、大地は全神経を集中をさせ、狙いを定める。
次第に、敵は、大地の思うように集まり、ついにラチードの大群が二号機の狙いに定まる。
大地「ターゲット複数捕捉…周囲に障害物無し!ネオQX、発射!!」
大地が叫ぶと同時に、二号機から凄まじい光線が、ラチードの大群に向け放たれる。

光線が直撃した怪獣達は、次々と消滅し、跡形も無くなり空に散る。
奈緒「ターゲット、30%消滅…。」
間宮「一撃でここまでやるなんて…。流石は元札幌支部のエースパイロットね…。」
奈緒の報告を聞いて、大地の腕に、思わず感心を寄せる間宮長官。
しかし、当の大地は、唇を噛み締め、前方を見つめる。
大地「ネオQXを放つ反動で、軌道が狂ったか…。」
どうやら、大地の計算では、もっと多くのラチードを仕留めれたはずだったが、ネオQXを発射した時の反動で多少のズレが生じたらしい。
間宮「気にする事は無いわ大地隊員。他の隊員だったら、今の一発では20%の敵も倒すことは出来なかったはずよ。」
大地「長官…ありがとうございます。」
間宮長官にフォローされた大地は、仲間を目の前で消され、警戒心をむき出しにしているラチード達から、一旦、距離を置く為に、再び機体を後退させる。
敵が再び油断したところを攻撃をするという目的もあるが、
今は、何よりネオQXを使いこなす為に、計算する時間が欲しかったのである。
しかし、敵は先手をうって来た。
突如、フジヤマ二号機に衝撃が走る!無数のラチード達が機体に特攻を仕掛けてきたのである。
大地「しまった…!!」
慌てて、敵の襲撃から、全力で逃げる大地。ラチード達の特攻ぐらいで大破する程、柔なフジヤマ二号機ではないが、確実にダメージは受けている。
ジェイコブ「まずい!二号機を援護しろ!!」
地上で、二号機が引きつけられなかった怪獣達と交戦していたジェイコブ隊長は、上空でピンチに陥る大地に気がつき、
ロベルト達に指示を出す。
一斉に上空にアンカスガンを構えて、二号機からラチードの大群を追い払うチームAMKSのメンバー。
地上からの援護を受けて、なんとか怪獣達から逃れる事が出来た大地。
しかし、二号機のモニターを見て、再び大地の顔が曇る。
大地「システムエラー…?どうなってるんだ!?」
ジェイコブ「どうしたんだ大地!?」
大地の様子に異変を感じたジェイコブ隊長は、心配そうな表情で通信機で呼び掛ける。

大地「今の襲撃で、砲台がやられました。ネオQX、発射出来ません…!」
誠也「なんやて…!」
大地の通信を受け、絶句するジェイコブ隊長達。
作戦室にいる間宮長官達にも重い空気が漂う。
その時、再びフジヤマ二号機の周りをラチード達が囲み、今度は次々と機体にへばりつくように、くっつき始める。
ジェイコブ隊長達が慌ててアンカスガンを構えるが、それを無駄だと言うように、
次々と二号機に向かい、エリア内にいた全てのラチードが飛び立つ。
大地「脱出不能!!」
その通信を最後に、大地からの連絡は途絶えてしまう。
それと同時に、ラチード達は次々と集まり、体をスライムみたいにして、互いにくっつき始める。
全てのラチードが集結し、全身赤紫で、ラチアータの頭部と体、ラチードの翼を合わせ持つ、巨大な融合怪獣、ネオラチアータが誕生する。
その左胸には、フジヤマ二号機が剥き出しに取り込まれている。
間宮「なっ…!!」
ジェイコブ「大地ぃー!!」

大地「自ら一つに固まってくれるなんて、こっちにとっては好都合だ…。」
周囲の心配をよそに、コクピットの大地は、冷静にインプラズマを手に取り、
ウルトラマンフォルテに変身、ネオラチアータの前に立ち塞がり、構える。
ボムス「ウルトラマンフォルテ…。」
フォルテが登場してもコクピット内の大地が心配なチームAMKSのメンバーは、依然、揃って眉間にしわを寄せている。
まあ、フォルテは大地なので、その心配は無用なのだが…。
ジェイコブ「大地の事はフォルテに任せ、我々は第二処理班の救助を急ごう!」
そうフォルテを見つめながら指示を出したジェイコブ隊長は、メンバーを引き連れ、第二処理班の救助に向かう。
突如現れたフォルテに向かい、不気味な雄叫びをあげるネオラチアータ。
まるで二度目の敗退はないぞとフォルテに宣言をしているようにも見える。
フォルテは敵に向って駆け出し、接近戦を試みるが、ネオラチアータは、宙に飛び上がり、これを回避する。
フォルテは再び、怪獣と向かい合い、攻撃を仕掛けようとするが、
ネオラチアータは両方の翼を大きくばたつかせ、突風を作り上げ、フォルテをよろめかせる。

怪獣が作り上げた突風に、耐えきれず後ろへ吹き飛ばされるフォルテは、ビル巻き込みながら倒れ込む。
フォルテがネオラチアータに苦戦する中、
ジェイコブ隊長達は怪獣達から身を隠し、救助を待っていた第二処理班がいるビルに到着、一人、一人の避難誘導を始める。
奈緒「チームAMKS地上部隊、第二処理班の救助活動を開始。」
間宮「あとは、大地隊員ね…。」
奈緒の横で、メインモニターを見ながら呟く間宮長官。
奈緒「大地隊員なら、きっと大丈夫ですよ…。」
そう言いながら、奈緒はメインモニターに映る、フォルテを見つめる。
カラータイマーの点滅が始まり、よろめきながら立ち上がるフォルテ。
ネオラチアータはフォルテに狙いを定め、翼を大きく広げ、
特攻を仕掛けるが、フォルテに両腕で掴まれ、投げ飛ばされてしまう。
二号機に受けたラチードの特攻から、フォルテである大地は、この攻撃パターンは読めていた。
フラつきながら起き上がるネオラチアータに向かい、フォルテは腕を十字に組む。
狙いは敵の左胸にあるフジヤマ二号機。
フォルテはフォルテッシモインパルスを放ち、ネオラチアータの左胸を打ち抜く。
フジヤマ二号機が爆発すると共に、搭載されていたネオQXが破裂し、ネオラチアータは完全に消滅する。
それを見とどけ空に飛び去るフォルテ。
奈緒「ターゲット、消滅を確認。」
モニターを見ながら、いつもの口調で報告する奈緒。
ロベルト「でも、大地が…。」
ボムス「大地隊員!」
誠也「大地さぁん!!」
完全に大破したフジヤマ二号機に向かい、駆け出すロベルト達。
大地「おいおい、オレならここにいるよ…。」
軽く笑いながら、メンバーの後ろに現れる大地。
ジェイコブ「大地!無事だったのか!!」
驚きながらも、喜びながらチームAMKSのメンバーは大地を取り囲む。
ボムス「でも、どうやって助かったんですか?」
大地「いや、またウルトラマンフォルテに助けられてね…。」

誠也「なんや、そうだったんですか。もう驚きましたよ!
ウルトラマンフォルテがフォルテッシモインパルスを放った時は…!」
ボムスの質問に答える大地。それを聞き、胸を撫で下ろす誠也。
ロベルト「本当だぜ、大地も、ウルトラマンフォルテも、冷や冷やさせやがる…。」
まあ、同一人物なのだが…。
ジェイコブ「ミッション完了!これよりチームAMKSは第二処理班と共に帰還する!」
奈緒「了解!」
ジェイコブ隊長の報告を聞き、奈緒の横で、笑顔で互いに握手をする間宮長官と吾郎博士。
奈緒「さて、これでようやく寝れるわね…。」
深夜から今まで寝る暇もなかった奈緒は大きなあくびをしながら席を立つ。
東京は、すっかり朝になり、今日も一日が始まるが、チームAMKSの長い一日の終わりは今からなのである…。


次回予告
聡少年達が下校途中に出会った一人の男。
彼が描く、空を泳ぐ金魚、そして街に現れた怪獣の関係とは…?

次回「追い求めた理想郷(ユートピア)」(幻想怪魚アカメ登場)