ウルトラマンクラウス エピソードEX
第8未満話 フリップ星人の実験島!?
分身宇宙人・フリップ星人、宇宙異次元人・ゼバット星人、異次元合成獣・キングゲノム 登場


「てなわけで、サブタイトルにもある通り、今回は俺様が主役なのだ!! プファファファファ!!」
 フリップ星人は威張った。
 彼が今いるのは、太平洋のど真ん中に人工的に造った孤島である。地球人に見つからないよう、
立体映像で海と空の景色を周りに張って外からは何もないように見せている。
 そんな場所を造ったのは、にっくきウルトラマンクラウスとA&Rを倒し、地球人を恐怖のどん底に
陥れられる最強無敵の怪獣兵器を造るための実験場にするためであった。そのために既に試作型の
怪獣を何体か造り、島の中で戦わせてシミュレーションを続けていた。
 その怪獣の製造に協力しているのが、宇宙異次元人・ゼバット星人の一団である。
 彼らは最近まで別の平行世界の地球侵略活動を行っていたのだが、その世界を守っているウルトラ
戦士との戦いで不利になり、機を伺うために一旦この世界へ避難していた。
フリップ星人「要は逃げたのかよ。だらしねえなあ」
ゼバット星人「そっちだって似たようなもんだろうが。未だに地球侵略を達成してはいないのだろう」
フリップ星人「うるせえな。これからなんだよ、これから。それよりどうなんだ、最強怪獣のほうは」
ゼバット星人「それなんだが・・・思わしくないな」
 ゼバット星人は地球侵略のために過去の多くの怪獣を強化改造した『改造怪獣』を目玉商品として
送り込んできたが、オフィシャルでも最近のブームである旧人気強豪怪獣の度重なるリメイクというか
焼き直しで、かつて強豪といわれた怪獣の株もすっかり暴落してしまっている傾向にあるという。
実際、これまでのゼバット星人の改造怪獣投入の結果も思わしくない。
 予断だが、ゼバット星人自体も、実はかつての侵略者、ゼットン星人とバット星人の本陣合併の結果
生まれた混血種である。頭は黒いとんがり帽子状で一つ目、体はごてごてしてプロポーションの悪い鎧の
ような姿。

ゼバット星人「そっちの世界でもかつてゼットンとキングジョーという強豪が連続投入されながら、結局
最強最速とかいう戦士の新強化アイテムの効果を演出するためのかませにされたそうではないか」
フリップ星人「ああ、あれはがっかりしたよな・・・」
ゼバット星人「そこで提案なのだが、この前ゾーリミオスの元となった種を採取してきた世界に、他にも
非常に有効な戦術的効果を挙げられるサンプルとなる怪獣が多数いるらしいのだ」
フリップ星人「ほほう、どんな?」
ゼバット星人「都市の真ん中でいきなり体重が400万トンくらいになってメルトダウンを起こすとか、
全身が反物質で地球上の物質と接触した瞬間太陽系を対消滅させるとか、或いは全身が単極子で地球圏に
入った途端に地軸を狂わせて地殻の大変動を起こして地上を滅亡させるとか、惑星並の大きさで宇宙の果てから
突撃して地球ごと自爆するとか・・・」
フリップ星人「却下だ!!」
ゼバット星人「え〜、何で?」
フリップ星人「俺様は地球の連中が苦しんで慌てふためく様が見たいんだよ! 地球を人類ごといきなり
消し飛ばしちまったら趣きも何もねえだろうが!!」
ゼバット星人「・・・そんなこと言ってるから苦労するんだと思うけどなあ。結局地球人をぶっ殺すんだったら
じわじわ殺すのもいきなり殺すのも変わらないと思うが・・・」
フリップ星人「変わるの!!」
ゼバット星人「そう? しょうがないなあ。じゃ次点の案で、旧強豪怪獣の各要素を遺伝子レベルの改造で合成して
各能力のスペックを引き上げる方向で」
フリップ星人「合体怪獣か・・・ま、しゃあねえか」

 ゼバット星人は決定案となった最強怪獣の製造に入る。
ゼバット星人「ここに『キング遺伝子』という便利なアイテムがある」
フリップ星人「キング遺伝子?」
ゼバット星人「要は『キング』とつけとけばそこそこ強豪レベルの戦闘力が確保できるという優れ物だ」
フリップ星人「・・・・・・」
ゼバット星人「第二期に乱発され、キングマイマイとかキングボックルとかキングゼミラとかガラキングとか
キングパラダイとかいうどうでもよさそうなのにまで使われ、しまいにゃジャンボーグAの敵のグロース星人まで
乱発して、これも大いに株が下がったことがあるので、乱用は禁物だがな。似た例では、レオの時期に乱発された
『ブラック遺伝子』というのが」
フリップ星人「いや、いい。もういい。お前達の知識が凄く専門的なのは判った。とにかく製造を進めてくれ」
ゼバット星人「そう?」
 極彩色のカラーリングの内装の、島の地下の改造怪獣製造工場で、電極に稲妻が走り、絵の具を混ぜて適当に作った
みたいな悪趣味な色の液体がぼこぼこ泡立つ。
「出でよ、異次元合成獣・キングゲノム!!」

 キングゲノムが完成した頃合に、漸く悪者共の企みを察知したA&R一同が島のある海域に飛んできた。
ゼバット星人「きおったな、A&R」
フリップ星人「丁度いい、キングゲノムの力を試すチャンスだ。入れてやれ」
 立体映像が解除されて島が現れ、A&R一同は驚くが、とにかく島の上空に入っていく。

ヒジカタ・ミスカ「何・・・あの怪獣!?」
ハジマ・シュウ「見るからに手強そうな・・・」
 島の中央の広大な荒地に重量級の怪獣が立っており、雄叫びを上げる。
 飛んでくるエーアールαとβの編隊を見つけた怪獣は、口から何かの塊を連射した。
 エーアール編隊は間一髪で避け、そのまま塊が周辺の地上に落ちると、大爆発が起きた。
「・・・あれは、まさか」
 後方に控えた空母・エーアールγ内のスズミヤ・ルイとシゲノ・ナオキが塊の成分を分析。
ルイ「間違いありません! かつて異次元から出現した島、サブジェクト・ファントムにいた怪獣、レッドキング!」
ナオキ「奴が体内に溜め込んでいた、サブジェクト・ファントムを構成していた岩石です!」
カサゴイ・タクヤ隊長「・・・あの、強力な爆発力を秘めた岩か・・・!」
 当時レッドキングと交戦した、A&Rの前身の防衛隊・チームDASHは、その大爆発する岩石を大量に飲み込んでいた
レッドキングを倒すのに大層難儀した。結局、最強最速の巨人が宇宙に持っていって処分するしかなかったそうだ。
シュウ「それだけでも十分警戒しなきゃならねえってことか・・・厄介だぜ!」
カミヤ・レイジ「・・・やってみなくちゃわからないだろう!」
 レイジのエーアールαが突出して怪獣に爆撃を掛ける。
ミスカ「馬鹿、待ちなさいレイジ!」
 案の定怪獣はびくともせず、逆にエーアールαが撃ち出された岩石を翼に被弾した。
シュウ「レイジ!!」
 墜ちていくαのコクピットで、レイジは尚闘志を失わず、
「クラウゥゥゥゥゥゥス!!」
 ウルティメイトストーンを発動させ、ウルトラマンクラウスに変身した。

フリップ星人「出やがったな、ウルトラマンクラウス。この島がお前の墓場だぜ!!」

 クラウスは怪獣キングゲノムの岩石弾を交わしながら素早く近づき、連続チョップを見舞う。
 だが、キングゲノムの黒光りする体は異常に硬く、逆に手にダメージを受けて苦しむクラウス。

ゼバット星人「キングゲノムの体は、用心棒怪獣ブラックキングの、ウルトラブレスレットの斬撃も跳ね返す
防御力を備え」

 キングゲノムは180度回転し、白く長い尻尾をクラウスに巻きつけ、強力な電撃を放つ。

ゼバット星人「尻尾は電気怪獣・・・いや、この次元世界では『放電竜』と呼ばれていたか・・・エレキングの尻尾」

 既にかなりのダメージを受けたクラウスは、力でどうにか尻尾を振りほどき、一旦下がって距離を取る。そして
キングゲノムに向かって両手を伸ばし、ダブルフィンガービームを撃つ。
 と、キングゲノムの頭部の長い二本の角から、電磁フィールドが迸る。それによってキングゲノムの正面に
バリヤーが形成され、ビームを弾いてしまう。
 狼狽するクラウス。

ゼバット星人「ウラン怪獣・キングザウルス3世の角でバリヤーを作り、ビーム攻撃をも防御する!」

 クラウスは諦めず、今度は更に力を貯め、必殺のクラッシュウムカノンを放つが・・・
 バリヤーは、それさえも防いでしまう!

ゼバット星人「以上、キング遺伝子によって四大キング怪獣で固めた、これがキングゲノムの力だ!」
フリップ星人「おお、すげえすげえ! やるじゃねえか」
ゼバット星人「はっはっは何の何の」

 正面はバリヤーで守られ、後ろに回ってもエレキングの尻尾。非常に攻めづらい。更にキングゲノムは
今度は攻めに回る。素早い上に怪力。防戦一方のクラウス。カラータイマーが鳴り出す!

フリップ星人「いける、いけるぜ! 今日こそ手前の最期だクラウス! 手前を倒した次はキングゲノムで
世界を攻撃し、人間共に恐怖と絶望を与えてやる! プファファファファーーー!!」

 調子に乗っていたとき。
 クラウスに連続パンチを食わせていたキングゲノムの尻尾が、飛んできたエーアールβの翼の刃で根元から
斬り飛ばされた。
 ダッシュバードのコンセプトを受け継いだ翼の切れ味は健在である。

フリップ星人「・・・プファ?」

シュウ「地球を守ってるのは、ウルトラマンクラウスだけじゃねえんだよ!」
 A&R側は、ルイとナオキの分析により、キングゲノムの別々の怪獣の部品を合わせて出来ている体の
接合部分は、エーアールβのフルパワーの斬撃で切れなくはない強度であることを見抜いた。そこで、
シュウのエーアールβが隙を突いてヒットアンドアウェイを食わせたのである。
ミスカ「そういうこと!」
 続いてミスカのエーアールβも急接近し、キングゲノムのバリヤー発生器官である二本の角を斬り落とす。
 誤記ではない。今回、エーアールβは二機ある。件数が増えつつある怪獣事件への対応策として、プロトタイプの
βのレプリカがもう一機予備として造られ、今回試験投入されたのである。

シュウ「今だ、クラウス!」
 クラウスは頷くと、突然の不意打ちに気を取られていたキングゲノムに組み付き、投げ飛ばしてうつ伏せに
転倒させる。そして、尾を切断された尻の断面の防御の弱くなった部分に向け、もう一度クラッシュウムカノンを
放った。今度はダメージがまともに入り、悶絶するキングゲノム。
 だが、その衝撃で、キングゲノムの体内に貯められたサブジェクト・ファントムの岩に誘爆。キングゲノムが
倒れたまま、地鳴りのような音を立て始める。体内から光がじわじわ漏れてくる。
カサゴイ「いかん、爆発するぞ! 退避!」
ルイ「でも、墜落したレイジさんが!」
ナオキ「いや・・・多分」

「おい! どうなってんだ・・・」
 フリップ星人がゼバット星人達に怒ろうとすると、彼らも既に別次元への穴を開けて島のアジトから
退避しようとしている。
「諦めよすぎるだろ手前ら!?」
「失敗したものは仕方ない。又作戦を練り直すしかないだろう」
「所詮単発の番外編ではな」
「我々自身の戦闘力は大したことないし、命あっての物種だ」
「それとも、あんただけ残るか?」
「・・・・・・」
 フリップ星人も退避する。

 閃光が海に迸り、島は跡形もなく大爆発した。
 爆心部から遠ざかっていくA&R。エーアールβのコクピットから振り返るミスカ。
「レイジ・・・」
「おーーーーーい」

 レイジは、A&Rの眼下の洋上にぷかぷか浮かんで手を振っていた。
 救出の際、島が爆発する寸前にクラウスに助け出されたと、レイジは適当に言い訳をした。それで通用した。
ナオキ「ほら、やっぱり」

 地球は一部の者だけによって守られているのではない。一人一人の団結の意志が地球を守っているのだ。
フリップ星人「いい話っぽくしておざなりに纏めるんじゃねえ!! 今度こそ見てろよプファーーー!!」
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クリスマス。
それは誰かを不幸にしたい日。
地上ではクリスマスと言う祭りに全世界規模で興じている事を知ったフリップ星人は、
ここぞよとばかりに侵略の準備にいそしんでいた。名づけて、
『クリスマスなんぞに浮かれてる馬鹿な地球人共を恐怖に陥れてやるぜプファファファファ作戦』。
作戦段階第一手段として、地上の彼女もガールフレンドもいない冴えない男に目を付けた。
この男、クリスマスツリーやイルミネーションを見ていちゃつくカップルに嫉妬する輩である。
その嫉妬の執念を利用し、邪悪な怪獣を造り出そうと言う、どこかで聞いたような策略である。
フリップの思惑通り、男の嫉妬は徐々に執念として膨らみ、1匹の怪獣を造り出したのであった。
その名も、‘クリスマスってなんでイブの方が重要なんだろ怪獣・クリスマスクルシミマス’だ。
クリスマスクルシミマスは透明になり、イルミネーションが盛んな夜の街へ繰り出す。
バカップル共が回りの視線も構わずいちゃつく遊歩道に、地響きと共にクリスマ(略)が君臨した。
慌てて逃げるバカップル集団。愛しているはずの恋人を無視して我先にと逃げる輩も。
クリス(略)が暴れ回る中、どこからともなくウルトラマンクラウスが登場、ク(略)に勝負を挑む。
しかしク(略)の強い事。クラウスの放つ光線を全て跳ね返し、圧倒する。
ク(略)は巨大クリスマスツリーを持って武器にし、最終的にクラウスを倒したのであった。
フリップの作戦は大成功、バルキーやバルーパーと共に勝利の宴をあげた。
だが、彼は知らなかった。この物語が、
彼女いない暦20年の、A&R隊員シゲノ・ナオキの夢である事を……。
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『クラウスVSフリップ最終決戦』

風が空気を切り刻む荒野で、ついに最終決戦が火蓋を切った。
「パファファファ、今日で決着を付けるぜ、クラウス!」
「のぞむところだ、フリップ星人!! トァァァァ!!!」
「あぎゃあ!! 不意打ちとは卑怯なりぃぃぃぃ、うりゃああ!!」
「あぽぉぉ!! くそぉ、お前なんか目ん玉にワサビぬりやがれうりゃあああ!!」
「あぼらす!! お前こそ唇にハバネロぬって後悔しろそりゃああああ!!」
「ぬぬ! 手術中に突然バルンガが現れて停電になって手術失敗しやがれほあぁぁぁ!」
「ヤヤ! 育ててた花が実はアストロモンスでうっかり喰われやがれとぁぁぁぁぁぁ!」
「車運転してたら突然ナックル星人が乗り込んできてそのまま引きづられて殺されろ!!」
「野原でのどかに寝転んでいたらその場にスカイドンが落ちて踏み潰されて絶命しろ!!」
「地下鉄に乗っていたらアリブンタとギロン人に襲われて命からがら地下道に逃げたら
 今度はテレスドンに追い回されて命からがら地上に辿り着いた瞬間に心臓麻痺しやがれ!」
「旅客機に乗ってたらバキシムに墜落されたけどパラシュートで脱出したら豚のような
 バルタン星人にパラシュートを切られて自由落下してる途中にブルトンの異次元に逝け!」
「MACステーションでお茶を飲んでたら実はそのお茶はマンダリン茶で苦しもがいてる最中
 シルバーブルーメに基地ごと飲み込まれたけどギリギリの所でマットアロー2号で脱出して
 地上に降り立ったらゴロメデが出現して逃げ込んだ家のタンスの角に足の小指ぶつけろ!」
「山に遠足に行ったらバルダック星人が現れて弁当をよこせと脅されたけど山にパンドンが
 出現して海から現れたゴルザとガチンコバトルおっぱじめてどさくさにまぎれて逃げたら
 ワロガが地響きを立てて現れてその衝撃で弁当を落としちゃって切ない気持ちにひたれ!」
「「チョコボールだと思って口にしたら実はレーズンで貧しい気持ちになれあほぉぉ!!!」」

2人の戦いは 終わらない
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 クラウス
フ ァ イ ト

「彼等に安楽の時は来るのか」

行楽日和のけふこの頃、たまにゃのんびりするのも悪かねぇよなとお弁当を持って山にしゃれこむ者達が。
現れたるは、行楽シートを背負って集団の先頭をのし歩く、普段は極悪非道で名高いフリップ星人、
そしてその後ろでぴったりくっついて歩いていまするはフリップの一の子分、バルキーとバルーパーであります。
いい天気だなぁと呟くフリップに相槌を打つほのぼのとしたその光景は普段からはまったく想像できかねません。
さてさてしばらく、一同は適当な広場を見つけシートを広げ、お待ちかねのお弁当を頬張るようであります。
おや、そこに邪魔をせんとの如くノシノシと現われたるはここいらでは乱暴者で有名なガランではありませんか。
「やいやいここで俺様の許可なく遊ぼうたぁいい度胸じゃねぇか」
と喧嘩を売る命知らずのガラン。
「売られた喧嘩を買わないわけにゃいかねぇぜ」
とフリップもはりきりますが、子分たちはそれをとめている様子。
今日は楽しい行楽日、なにも血の雨を降らせなくてもいいじゃないかと必死になだめてはおりますが、
どうやら最早フリップは聞く耳持たないようであります。

そこに颯爽と現われたるは我等がウルトラマンクラウス。
普段は血で血を洗う関係ではありますが、今回ばかりはバルキーもバルーパーもクラウスを頼るしかありません。
睨み合うフリップとガランの間に立ち、これこれ無駄な争いはやめなさいと仲裁に入る平和主義者なクラウス。
おっとここでフリップにガラン、邪魔をするなと強烈なラリアットをクラウスに叩き込んだっ。
だがしかしここで怒る猪突猛進なクラウスでは無く、なおも2人をなだめ続けております。
そんなクラウスの紳士ぶりに反するかのようにフリップとガランはクラウスを痛めつけてご機嫌向上、
ついにはタッグを組み始める始末であります。おっと、ガランがクラウスの足をガッツリつかんで振り回したぁ、
そしてフリップがクラウスの頭に脳天割り!! さすがにこれは効いたぁ、クラウス万事休すであります。
「…てめぇら生きて帰れると思ったら大間違いだぞこの下衆野郎共が!!」
よろよろ起き上がるクラウス、頭の打ち所が悪かったのか、先程とは打って変った態度であります。
ここでクラウスの大反撃、ガランの頭に連続チョップをかましてフリップに投げつけたぁ、
フリップはガランの巨体に圧し掛かられてぐったりのびてしまったのでありました。
「やい、次は誰が死にたい、お前等かぁっ」恐ろしきクラウス、当面の2人を倒したにも関わらず
まだ生き血をすすりたい様子、観覧者であるバルキーとバルーパーに襲い掛かります。
「トホホ、行楽すら楽しめないのか」
と心底落ち込みながら逃げ惑うバルキーとバルーパーなのでありました。

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「恋セヨ乙女」

表面上では意識せずとも、ある程度の男女関係を保っているとやはり2月14日と言う日は特殊で、
学校や職場ではなんともはや微妙な雰囲気が流れる日である。
…と、言うものの、実は最近の学生って結構ドライで、あんまりはしゃぎはしない。
むしろこの時期は学生にとって受験真直中で、それどころの騒ぎではなかったりする。
ついぞ最近それを体験した本人が言ってるんだから間違いない。
結論から言うと、2月14日でそわそわするのは純粋な小学生や、成人したいい大人なのである。
例えば―

―A&R日本海本部 ベース・ネプチューン―

「…いくつもらった? 食堂のおばちゃんからの分は除けよ。」
「えーと、ひんがら、ふんがら、みんがら…うぬ、去年より少ないな。ま、俺は既婚者だからいいけどーっ。
ナオキお前、ルイからの義理1個ぐらいしか貰ってないんだろ? ミスカからすら貰ってないんだろ? ん?」
「やがまじぃ、貰った数じゃねぇんだよ、数じゃ!」
「ま、隊長や長官はともかくとして……問題はレイジだ。」
「あんにゃろー、この基地の女性ほぼ全員から貰ってんじゃねぇのか!」
「少なくともトウコちゃんの分は本命だな。あの子からもらったのは奴だけだ。」
「あー、フリップ星人の奴等出てこねぇかなー。俺1人で奴等を倒して好感度アップできるんだけど。」
「あらゆる意味でかなわぬ夢だな。ははっ。」


―マリアナ海溝海底・フリップ星人潜伏アジト―

「…バルキー、なんだこれは。」
「え? わかんない?」
「持つと体温で解け始め手にべとつく挙句舐めてみると妙に塩っ辛いブラウンカラーの物体…としか判らん。」
「あれー、塩っ辛い? 真水が無かったから海水で調理したのがまずかったかなー。」
「一体何がしたいんだお前は。」
「ファファファファファ、地球人のくだらん文化に染まるのもそこまでにしな。さて、次の作戦だが…」
「あー、フリップもこれ食べてよ〜」
「ぬ? パファファ、確かに、作った物を無駄にする道理もあるまい。どぉれ。」
「おい、やめとけ、フリッ……あ〜。」
フリップ星人はその特徴的な細長い口(鼻かもしれない)でバルキーの手料理をずるずる啜った。
その後一週間、フリップは激しい腹痛と頭痛に悩まされ続け、地上では平和なひと時が流れたのであった。

「フリップ〜、おかゆできたよ〜。」
「お前は何もするな!!」

ちゃんっ ちゃんっ


「自分には縁が無いからって別に無理して時節ネタやらんでも…」
ほっとけ。