第一話「戦士と会った日」
UT−005 フィブリオン登場

地球は数匹の怪獣に襲撃を受ける。調査の結果、彼らは次元の穴から出入りしていることが判明。
地球はCAMを結成し、対異次元用の装備開発を進める
一方、違う次元。ウルトラの一族は次元の穴の修復を急ぐ。その間に地球の防衛に戦士ツイストを
派遣することに。しかしツイストはそれに反発する。
ツイスト「人間? あのロクでもない生物のことか。傲慢で、身勝手で、自分のことしか考えない。
おかげで奴らが住んでいる星は、蝕まれているじゃないか。オレが怪獣を倒しても、何れ自分達の
手で滅びるんじゃないかね」
しかし上司に諭され、ツイストは渋々地球の次元へと向かう。
地球のCAMでは、異次元突入戦闘機Dフライヤーの試作機が完成していた。そのテスト飛行を、
チームブレイバーの春日皆人隊員が行うことになった。
御影「どうして春日にやらせるんですか! 絶対に俺の方がいい成績を残せます!」
田辺「これは私の意志だ。彼の父親……春日長官は関係ない」
皆人「このテスト飛行で、僕がただの親の七光りじゃないってことを証明してやる」
しかし異次元突入のテストの際、皆人の乗るDフライヤーは何かと接触。皆人は山奥の
村へとワープアウトし、不時着した。
皆人「……何だ、一体何とぶつかったんだ」
光「それはこっちの台詞だな。お前、人にぶつかって何様のつもりだ」
皆人「!!」

その頃、山道を二人連れが歩いていた。一人は大人、一人は子供だった。二人は親子では
ないが、伯父と甥だった。楽しく山歩きをしていた二人は、突如地震が襲い立っていられなく
なる。
故障したDフライヤーでは、皆人が光=ツイストから事情を聞いていた。ツイストは異次元で
ぶつかった皆人を連れてワープアウトし、保護してくれたのだと言う。礼を言う皆人だが、
ツイストは溜息しか出ない。これからこんな間抜けな地球人達を守護しなければならないかと
思うと気が重いのだ。
むっとした皆人だったが、ふと地震が起こり次元の穴から怪獣が出てきたので慌ててDフライヤー
へと駆け込んだ。だが、Dフライヤーは故障していて、使い物にならなかった。
仕方なく通信で自分の所在地を基地に告げた後、徒歩で山を下りることにする皆人。
と、泣き叫ぶ子供の声が聞こえた。
子供「叔父さん、待って! 待って!」
駆けつけてみると、遠ざかる車と泣き叫ぶ子供の姿があった。
伯父は近くに駐車してあった車で逃げ出したのだが、その時子供がぐずぐずしたので
置いて逃げたのだ。その身勝手さに腹を立てる皆人。そらみろ、と呟くツイスト。
その時、怪獣がジャンプ一番車の前に立ちふさがり、車を持ち上げた。悲鳴を上げる伯父。
ツイストは鼻で笑ったが、皆人は走り出した。ガンで怪獣を撃ち、何とか助け出そうとする。
ツイスト「おいよせ、そんな奴放って置け、自業自得だろう」
皆人「確かに、彼のしたことは最低かもしれない。でもどんな命だって重さは変わらないはずだ」
皆人「それに、僕はチームブレイバーの隊員なんだ。戦士なんだ。ここで逃げるわけにはいかない」
ツイストは唖然とするが、何となく皆人のことが気に入ってしまう。
怪獣は足で皆人を蹴り殺そうとする。何とか逃げる皆人。しかしフィブリオンが火を噴いた。
絶体絶命の時、ツイストの声が響く。
ツイスト「仕方ない。お前を宿主に任命する」

そして光の中から、赤と銀の巨人が立ち上がった。巨人の中で皆人とツイストの意志は混在していた。
皆人「なんだ、これ」
ツイスト「いいからオレの言うとおり戦ってみるんだ」
そして指示通り皆人は戦い始めた。ヴォルトショットで怪獣の腕を痺れさせ、車を奪い取る。
ブラストレイで目を潰した後、クロスインパクトで止めを刺した。
そして敵を倒し、彼方に飛び去っていく巨人。彼はDフライヤーの側で光と皆人に分離した。
皆人「今のは、どういう……」
ツイスト「お前はオレに選ばれたんだ。共に戦う相棒として」
ツイストの言葉に呆然となる皆人だった。

第一話・完
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第二話「赤と銀の力」
UT−007 リデオン登場

CAM基地本部。ブレイバー、ファイター、スナイパー、バトラーなどの各チームの前で
春日長官がプロジェクターに表示された映像を示していた。
春日「先日、春日隊員が遭遇したこの未確認種……UT−005、コードネーム・フィブリオンは
このUT−006、謎の銀の巨人によって倒された」
その言葉に、おずおずと皆人が手を上げる。
皆人「あの……」
春日「何かね、春日隊員」
皆人「とう……長官、質問があります。この巨人も未確認種として扱うのですか? 彼は、
我々の味方では……」
そのやりとりに周りの目線は心なしか冷たい。だが春日長官は意にも介さず、プロジェクターの
映像を次々と切り替えた。
春日「この映像の通り、巨人はUT−005を光化学兵器のようなもので退治している。春日隊員
の言うとおり、我々の味方という捉え方もできなくもない」
春日「だが、先日にUT−002とUT−003が交戦したという事実もある。単にUT−006
にとって、UT−005がたまたま敵だったという可能性も充分にある」
その言葉に、一同は深く頷いた。
春日「UT−006が我々に害を為す可能性がある以上、放置しておくわけにはいかない。チーム
ハーミット、Dフライヤーの開発状況は?」
隊員「春日隊員の実験により、異次元空間突入能力に若干の問題を認めました。目下調整中です」
春日「了解した。後は……」
そしてミーティングが行われたが、その間皆人は呆然としていた。
皆人「そんな……僕は敵じゃないのに」
そんな彼に、ツイストが声をかけてきた。
ツイスト「言っただろう。人間なんて臆病で、自分勝手に生き物だってな……やめるか?」
皆人「むっ……やめるわけないじゃないか」
そう応えた皆人の脳裏には、先日のツイストとの会話が蘇っていた。

皆人「僕が相棒?」
Dフライヤーの前で、呆然と皆人が聞いた。ツイストが声で頷く。
ツイスト「そうだ。俺は元々この世界を守るためにやって来た。それは説明したな?」
皆人「うん」
ツイスト「が、ここは俺にとっての異次元だ。自由に力が使えるわけじゃない。そこで、その世界の
生物の生命力を借りて、力を具現化させる必要がある」
皆人「具現?」
ツイスト「簡単に言えば、この世界で俺の力はしぼんだ風船みたいなものだ。その世界の生物が息を
吹き込むことで、初めて形を取ることができるのさ。それが相棒……『宿主』だ」
皆人「僕が……その宿主に選ばれたのか」
そして皆人の生命力を使って巨人の姿になれるのだが、それには時間制限があるのだと言う。
三次元世界の時間に換算して、約二百秒。それ以上は宿主が生命の危機にさらされるそうだ。
ツイスト「どうだ、宿主になってみるか? それとも」
皆人「やるよ」
即答だった。ツイストはなおさら皆人のことが気に入ったが、言葉にはしなかった。
ツイストは『リードツイスター』を皆人に与え、自分はその中に収まった。

皆人はチームブレイバーの基地で、ぼんやり自分達が未確認種に認定されてしまったことについて
考え込んでいた。
その肩を、紅一点の近見恭子が叩いた。
近見「どうしたの、随分お疲れじゃない」
皆人「近見隊員……すみません、ちょっと考え事を」
近見「春日長官のこととか?」
当たらずとも遠からずだったので、黙りこくる皆人。しかし近見はそれを曲解した。
近見「そうよねー。皆人くんがあれだけ大変な目に遭ったのに、他人行儀だもんね、お父さん。ちょっと
冷たいよねー」
皆人「……! 僕は……」
御影「まったくだ。最初から俺が乗っていれば、あんな大変な目に遭わずに済んだのにな」
皮肉混じりに御影も頷く。
御影「春日、これで俺に代わる気になっただろう? 次は俺がテストパイロットをやる。いいな?」
皆人「そんな……」
田辺「Dフライヤーの調整は、まだまだ時間がかかるそうだ」
自動ドアを開けて田辺隊長が入ってきた。それまではテスト飛行も中止。怪獣が来た場合は従来の戦闘機、
Fフライヤーで牽制するしかないと。
そんなおり、異次元反応がキャッチされ、市街地に恐竜型の怪獣が現れた。UT−007と認定されたそれは
吸引した生物を強化乾燥させる粉を吐いていた。
春日長官の指示が下る。レスキューチームであるチームナイトに市民の退避を任せ、チームブレイバー、チーム
ファイターに出撃命令が下った。御影、近見、皆人はFフライヤーで出撃する。
を現した。

FフライヤーでUT−007、コードネームリデオンに攻撃を加えながら、皆人は迷っていた。
もしもここで変身すれば、またあの怪獣は倒せるだろう。しかし次には味方に攻撃される可能性が残っているのだ。
ツイストが尋ねてくる。
ツイスト「どうした、変身しないのか?」
皆人「僕は……」
ツイスト「ま、俺はどっちでもいいけどな。俺は人間なんざ大嫌いだ」
その言葉に驚く皆人に、ツイストはいつものように「人間は傲慢、身勝手」と並べる。
ツイスト「だけどな……お前も人間だが、そんなお前を俺は相棒に選んだ。どうしてか分かるか?」
皆人「……どうして?」
ツイスト「お前が、馬鹿だからだ。傲慢や身勝手になりきれそうにない、後先考えない馬鹿だからだよ」
その言葉に励まされ、皆人はリデオンに特攻する。リデオンは目から怪光線を放ち、皆人のFフライヤーは墜落し
そうになった。その時。
皆人「いくぞ、ツイスト!」
ツイスト「おう!」
叫び声と共にリードツイスターから光が溢れ、ウルトラマンツイストが姿を現した。

リデオンと戦いを始めるツイスト。その様子を本部から見ていた春日長官が司令を下す。
春日「各員、体勢を立て直せ。UT−006、007両者に砲撃用意!」
戸惑いながら隊員達もその指示に従う。
その時、リデオンが放った怪光線が近見のFフライヤーを襲ったが、それをツイストが体を張って庇った。
近見「助けて、くれた?」
思った以上のダメージを受けて、地面に屈するツイスト。止めとばかりにリデオンが迫る。
その時、近見のフライヤーがミサイルを発射した。残る機体もそれに倣う。
銀の閃光が降り注ぎ、怯むリデオンに、立ち上がったツイストがブラスターレイを放った。赤い光はリデオンの
体を四散させた。
そしてツイストは、彼方へと飛び去った。
本部で、ブレイバー、ファイターの各隊員は春日長官からきつく注意を受けた。無断でリデオンのみに砲撃を集中
させたからである。しかし結果としてリデオンは倒せたので、口頭注意のみで済んだ。
近見「だって、助けてもらったんだからしょうがないわよねぇ」
御影「ま、受けた恩は返さないとな」
そうあっけらかんに言う近見と御影に、皆人は頭を下げるのであった。
皆人「あの、ありがとうございました!」
近見「は? 何で皆人くんがお礼言うの?」
皆人「あ、僕は……撃墜されたのに、皆が怪獣倒してくれて」
御影「当然だろ、馬鹿が。これに懲りたら次のテスト飛行は俺にだな……」
そして先輩二人から説教を受ける皆人の腰には、リードツイスターが笑うように揺れていた。

第二話・完
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第三話「金神様」
UT−012 キンカミサマ登場

その村は山のすぐ麓にあった。過疎化が進み、若者はほとんどいなくなり、村の存続は不可能かと思われた。
老人達は自分達の将来を憂いつつ、日々を暮らしていた。
そんなある日、山の麓の洞窟に小さな地震が起きた。洞窟には隠し財宝があると江戸時代から伝えられていて、
村人の一人がちょうど宝探しに来ていた。村人は地震の後、洞窟の奥で光る目を見つけ絶叫を上げた。
一ヶ月後。チームブレイバーの基地では皆人が新聞を読んでいた。そこには「敵か味方か、謎の巨人現る」という見だし
の記事があり、リデオンや他の怪獣と戦うウルトラマンツイストの写真が載っていた。
皆人「僕ってこういう姿になっていたんだ」
当然鏡で見たことのない皆人は、感心する。ツイストに「何を感心しているんだ」と呆れられてしまった。
そんな時、御影と近見、田辺隊長、そしてチームハーミットの金森隊員が入ってくる。今からチームハーミットが開発
した、最新の亜空間反応探査装置の実験を行うらしい。それはこれまでの装置の数倍の精度を誇る探査装置で、有効
範囲距離も日本全土を覆うほどに拡大されていた。
実験を行った結果、少し離れた山の麓に微弱な異次元反応をキャッチする。
金森「今までになかった反応だ、実験は成功なんだ、ばんざい!」
御影「馬鹿、喜んでいる場合か。下手したらそこに未確認種がいるかもしれないんだぞ」
田辺は御影と皆人に調査に行くよう命じた。二人はすぐにFフライヤーで飛び出した。

近くに降りた御影と皆人は、まずは村人達の様子を見に行くことにする。と、村の様子が変だ。一見のどかな田舎の村
そのものだが、周りにちらほらとベンツやら最新のパラボラアンテナやら、新築の住宅やら、そぐわない高価なもの
が点在していた。訝しがる皆人はとりあえず村人に「最近この辺で変わったことはありませんでしたか」と尋ねる。
すると村人は怪しい素振りで「な、何もない」と叫んで逃げてしまった。
誰に尋ねてもそんな感じなので、不審に思った御影と皆人はとりあえず反応のあった洞窟へと向かう。奥の方へと足を
踏み入れると、眠っている黄金色の怪獣を見つけた。下手に刺激するわけにはいかず、様子を見る二人。と、その怪獣
の体表から流れた汗に、大量の砂金が混ざっていることに気づいた。その直後、二人は背中から襲撃を受け、昏倒して
しまう。
二人が気づいた時、村の倉の中に縛られて入れられていた。村人達が入ってきて、二人に事情を説明する。
怪獣を見つけたのは一月ほど前。最初はCAMに通報しようか考えたが、怪獣の体表から砂金が取れることに気づいて
考えを変えた。こっそり金を持ち出し、換金して村を再建しようと考えたのだ。その試みは上手くゆき、村人達は怪獣を
「金神様」と呼んで崇めるようになった。
村人「この村は若者もいねぇ。冬は寒く、夏はむし暑い。それでも俺達はこの村が好きなんだ。ずっといたいんだ。
だから金が必要なんだ。お願いだ、帰ってくれ」
しかし怪獣がいつ起き出して暴れるか分からない。皆人は村人達を説得しようとするが、彼らは聞き分けなかった。
ツイスト「おい、こんな奴ら放って置け。欲に目がくらんでやがる。怪獣に殺されたって文句言えんぞ」
ツイストは主張するが、皆人は放って置けなかった。御影も珍しく皆人の説得に荷担する。
皆人「お願いです、怪獣は危険な存在なんだ。いつ誰の命を奪うか分からない。それに、そんなことで手に入れた金に
何の価値があるって言うんです! 目を覚ましてください!」
御影「俺達は都会でエアコン利いた部屋で暮らしてる。だからあんたらの気持ちは分からないかもしれん。でもな、あの
怪獣が暴れてあんたらの命を奪って、そうなったら何の意味もないじゃないか。目先の欲に目をくらませるな」

しかし村人達は頑なになり、ついには皆人と御影の命を奪おうという意見になる。金銭欲に目がくらんだ村人達に、正常
な判断はできなかった。小屋の外から火をかけようと、松明を持ってくる村人達。皆人はリードツイスターに手を伸ばし、
ウルトラマンツイストに変身しようとする。
そんな時、遠くから地響きが聞こえて山がなだれを起こした。村は倒壊し、小屋も土砂流に飲み込まれそうになる。
あわや、皆人がウルトラマンツイストに変身して皆を助け出した。山崩れの正体はキンカミサマが目を覚まして立ち上
がったせいだった。呆然となる村人達を降ろすと、ウルトラマンツイストはキンカミサマに対峙する。
御影は皆人がいないことに焦りながらも、Fフライヤーの下へと向かった。本部に連絡を取る。本部は急いで近見とチーム
ファイターを出撃させた。
ツイストはキンカミサマを倒すべく奮戦した。今度はCAM本部も無理にツイストに攻撃を命じなかった。フライヤーと
ツイストの共同戦であっさりキンカミサマは倒せそうだったが、思いもよらぬ展開が起きた。
村人達がキンカミサマを庇うように足下に立ったのである。
村人「村が無くなっちまったんだ! 金神様を失ったらもうおしまいだ!」
村人「金神様の金しか、わしら頼るものがないんだ!」
動きを止めるウルトラマンツイスト。それは村人の願いを聞き入れたからではなく、あまりの身勝手さにツイストの戦意が
消失したせいであった。
皆人「どうしたんだ、ツイスト!」
ツイスト「……本当に、こいつら……ムカつくぜ。未確認種に踏みつぶされてしまえばいいんだ」
そして光になって、ウルトラマンツイストはどこかに消えてしまう。CAMのメンバーは驚き、村人達は喜んだ。
しかし振り返った村人達を待っていたのは、彼らを踏みつけようとするキンカミサマの姿だった。逃げ惑う村人達は、今さら
ながら後悔をする。村人達が邪魔でミサイルを撃てず、御影達も手をこまねく。

そんな折り、皆人がガンを撃ちながら走ってきた。村人達を守るため、地上から攻撃を仕掛ける。例え欲深い人間でも。彼は
見捨てるつもりはなかった。
懸命に戦う皆人。キンカミサマの怪光線が地面を撃つ。土煙が立つ中、ツイストの声が聞こえた。
ツイスト「仕方ない、もう少しお前の馬鹿に付き合ってやる」
ウルトラマンツイストが再度現れた。ジャンプ一閃、キックを叩きつける。パルスショットから、ブラストレイ、そして止め
にクロスインパクトをたたき込み、キンカミサマを倒した。
CAMの隊員達は帰っていった。残された村人達は、潰された村を見回して途方に暮れる。これも自分達が欲を出した罰
なのか。
そこに宝探しをしていた村人が大声を上げて帰ってきた。キンカミサマが潰した洞窟の中から、小判が入った千両箱が見つ
かったのだ。村人達は大喜びをし、これを機に全て一からやり直そう、あくまで金でなく自分達の力で村を作り直そうと決意
するのであった。

第三話・完
__________________________________________________________UT−012 キンカミサマ登場